ナチスへの抵抗描く実話映画『アウシュヴィッツ・レポート』から『復讐者たち』まで

復讐者たち,アウグスト・ディール
https://fukushu0723.com/

過去を忘れる者は、必ず同じ過ちを繰り返す…

第二次大戦中のナチスの侵略と蛮行を描いた映画はたくさんあります。

共通しているのは、圧倒的に実話映画が多いということ。

長い歴史の間に、ややもすると闇に葬られそう事実も絶対に忘れてはならないと映画化があとを絶ちません。

「過去を忘れる者は、必ず同じ過ちを繰り返す。」とは、今回紹介する映画のひとつ『アウシュヴィッツ・レポート』の中の言葉。

合わせて、ナチスへの抵抗をテーマにした新作映画『沈黙のレジスタンス』『復讐者たち』の3作品を紹介しましょう。

いずれも重い映画ばかりです。

『アウシュヴィッツ・レポート』、収容所からの脱走!

アウシュビッツレポート,収容所
『アウシュヴィッツ・レポート』https://auschwitz-report.com/

今でこそ、ナチスによるユダヤ人大虐殺「ホロコースト」を否定するものは誰もいません。

ナチス・ドイツの人種差別政策は、多くのユダヤ人を強制収容所に隔離し強制労働の末、虐殺してきました。

その主な収容所が今作の舞台となる、「アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所」です。

そこで何が行われていたのか、戦後かろうじて生き延びた人たちが語り継いだからこそ知ることがたくさんあります。

しかし、今作が描くのは戦後ならずとも、戦時中、収容所の真っただ中にあって、あまりにもひどい現実を世間に知らせようとした実在人物です。

その人物とは、スロバキア系ユダヤ人の、アルフレート(ノエル・ツツォル)とヴァルター(ペテル・オンドレイチカ)

二人は、毎日無残に殺されていく同胞の、いみじくも「遺体記録係」を担当していました。

日々、収容所内の惨状を目の当たりにする二人は、この「虐殺記録」を脱走してでも世界に発信すべきと考えるようになります。

しかし、ただでさえ問答無用の管理下にあって彼らへの弾圧が止まることはありません。

同じ収容所の仲間が過酷な尋問を受ける中、脱走を現実化していくのでした。

アウシュヴィッツレポート
『アウシュヴィッツ・レポート』https://auschwitz-report.com/

必死の逃走をする二人が思いを馳せるのは、連帯責任を取らされ次々と処刑されていく仲間のこと。

そんな中でやっと出会えた赤十字社の職員。

二人が語る内容が、今作のタイトルとなる「アウシュヴィッツ・レポート」です。

彼らが担当者に語るのは、「これを知った後、何をするかだ」と。

あくまでその使い方を迫ります。

その後も続く大虐殺でしたが、彼らのレポートをキッカケに後に約12万人を救ったと言われる内容が描かれます。

『沈黙のレジスタンス 〜ユダヤ孤児を救った芸術家〜』

http://resistance-movie.jp/

時は同じく、ナチスがヨーロッパ諸国に侵攻し始めた1938年頃。

映画タイトルに書かれる「芸術家」とは、後に伝説的パント・タイマーと呼ばれるまでになった、フランスのパント・マイムの第一人者「マルセル・マルソー」のことです。

「ジェシー・アイゼンバーグ」が演じます。

青年期のマルセル・マルソーは、俳優を夢見る一方でレジスタンス(フランスの抵抗運動)に参加していました。

そんな時、ドイツからフランスに逃れてきていた多くの子どもたち。

彼らは、ナチスによるユダヤ人迫害によって親を失なった孤児たちでした。

傷付いた子どもたちと出会った時、マルセルが心配したのは彼らが生きる未来のこと。

目の前の困難と向かい合った上で、預かった123人に共に生き抜く力を呼び戻そうと考えます。

兄弟たちと協力し、悲しみに暮れる子どもたちに得意のパントマイムで徐々に笑顔を取り戻していきます。

しかし、数年後、ナチス・ドイツはついにフランス全土を占領。

迫る危険を感じたマルセルは、子どもたちを安全と言われたスイスへ逃がすため、まさかのアルプス越えを計画するのでした。

沈黙のレジスタンス,ジェシー・アイゼンバーグ
http://resistance-movie.jp/
マルセル・マルソー,沈黙のレジスタンス
マルセル・マルソー(実物画像) http://resistance-movie.jp/


マルセル・マルソー著 パントマイム芸術 

●ジェシー・アイゼンバーグ(Jesse Eisenberg)

誕生日:1983年10月5日(てんびん座)

身長:171cm

出身:アメリカ・ニューヨーク州

▶ジェシー・アイゼンバーグの出演映画一覧

▶おすすめの代表作品


ソーシャル・ネットワーク (予告編)

※今でこそ普通に使う「SNS」という言葉。Facebookの創始者の伝記的映画です。一見の価値あり!

『復讐者たち』、終戦後すべての希望をなくした人たち

復讐者たち,アウグスト・ディール
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これまで紹介した2作は、いずれも第二次大戦真っ只の「レジスタンス」です。

次に紹介する映画は、終戦後の1945年になります。

終戦を迎え、ヒトラーもナチスも終焉し平和な世界が戻ったはず?

いいえ、今作『復讐者たち』は、なんと戦後さらに「復讐の念」を燃やし続けた人たちの実話なのです。

悪事を尽くしたナチスへの許しがたい怨念は被害者から消えていなかったのです。

ナチスへの恨みが「ドイツ」全体へ向けられていたという終わらない実話なのです。

シルヴィア・フークス,復讐者たち
左:アンナ(シルヴィア・フークス)右:マックス(アウグスト・ディール https://fukushu0723.com/

主人公マックス(アウグスト・ディール)は、あの忌まわしい「ホロコースト」を奇跡的に生き延びた人間だったのです。

妻や子どもはすでに殺され、生きていく希望のないマックスが出会ったのはホロコーストの恨みを晴らすために集まった集団でした。

そしてナチス残党を処刑はおろか、全ドイツ国民を復讐対象とする過激組織「ナカム」という組織の存在を知ることに。

「目には目を」「600万人には600万人を」が何を意味するかを知りマックスは驚きを隠せません。

ちなみに、「ナカム」の主要メンバーであるアンナ役は、『ブレードランナー2049』シルヴィア・フークス

まったくイメージを変えて登場します。

●シルヴィア・フークス(Sylvia Hoeks)

誕生日:1983年6月1日 (ふたご座)

身長:175㎝

出身:オランダ

▶シルヴィア・フークスの出演映画一覧

▶おすすめの代表作品


ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!(予告編) 

※唯一の女優でさわやかに登場!退屈しない楽しい映画です!


ブレードランナー 2049 (予告編)


写真「ブレードランナー 2049」シルヴィア・フークス

参考記事:注目のオランダ女優「シルヴィア・フークス」、モデルから旬のハリウッド映画へ

映画の中でで明かされていく、実際に存在した復讐集団「ナカム」とは?

「プランA」と名付けられた作戦(映画の原題)は何だったのか?

生きる目的を復讐にしか見つけられなく、「絶対に許さない」という信念のマックスが戦後、どう生きていこうとしたのか見どころです。

マックスの無念の叫びと一緒に映画で伝えたかったことを見届けましょう。

合わせて見たい、アウグスト・ディール主演『名もなき生涯』

アウグスト・ディール,テレンス・マリック,名もなき生涯,
http://www.foxmovies-jp.com/namonaki-shogai/

さて、主演のアウグスト・ディールは、ナチスにとことん抵抗したこんな映画でも感動させてくれました。

タイトルは、『名もなき生涯』

オーストリアの草原で家族とつつましやかに暮らす農夫「フランツ・イェーガーシュテッター」に届いた招集令状。

ナチス・ドイツは併合したオーストリアの人々を、ドイツ国軍に組み入れたのです。

そして、忠誠を誓う証として例の「ハイル・ヒトラー!」を宣誓させます。

言葉だけならと、周りの人たちが仕方なく宣誓する中でフランツは頑として抵抗するのでした。

顛末は推して知るべしで、極刑が待っていました。

悲しい映画ですが合わせてぜひご覧ください。

●アウグスト・ディール(August Diehl)

誕生日:1976年1月4日(やぎ座)

身長:180㎝

出身:ドイツ・ベルリン

▶アウグスト・ディールの出演映画一覧

▶おすすめの代表作品


名もなき生涯 (予告編)

※主人公の農夫に最後まで寄り添う妻にも感涙です。

詳細記事:『名もなき生涯』は実話映画。ナチスを拒否した農夫と妻の慟哭に涙

まとめ

最初の紹介映画『アウシュヴィッツ・レポート』の監督兼脚本はペテル・ベブヤク氏です。

オフィシャルサイトの中で、ベブヤク監督はヨーロッパ全体に広がる極右のファシスト思想を心配しています。

冒頭に書いたように、いずれの映画も過去を忘れないためにぜひ見ておきたい映画ではないでしょうか。

『復讐者たち』は7月23日(金)

『アウシュヴィッツ・レポート』は7月30日(金)

『沈黙のレジスタンス』は8月27日(金)の公開です。

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