泣ける映画、なぜか優しくなれるセラピー効果も
不思議なもので、「泣ける映画」はずっと記憶に残っています。
泣ける映画を探していたのではないのですが、こういう映画に出会うと本当に良かったと思います。
映画ファンならではの満足感で、泣いた後は優しくなれるのも事実。
そして、何か分ちあえるものがあればと思い、人にすすめたくなるのも泣ける映画の特徴かもしれません。
泣ける映画が「映画セラピー」と言われるのもそんな事情があるのかも。
それぞれ、「泣ける」意味は少しずつ違うのですが熱く感動すること間違いありません。
(残念ながら、「泣ける」に至る最後のネタバレは伏せていますのでご了承下さい。)
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/Yesterday/)
1.ケイト・ウィンスレット主演、悲しすぎる『愛を読むひと』
『愛を読むひと』の時代背景は、第二次世界大戦が終了して間もないころのドイツ。
15歳のあまり世間を知らない青年が、年の離れた女性に恋憧れるストーリーです。
というと、成就できない恋愛が切なくて泣けるラブ・ストーリー?
いいえ、事はもっと深刻な時代の深刻な事情があったのです。
通学途中で体調を崩した青年マイケル(ダフィット・クロス)は、ハンナ(ケイト・ウィンスレット)というキレイな年上の女性に助けてもらいます。
回復後、マイケルはお礼を言いにハンナのアパートを訪ねることに。
これをきっかけに親しくなった二人はいつしか付き合い出し、夢のようなひと夏が流れていきます。
●ケイト・ウィンスレット(Kate Winslet)
誕生日:1975年10月5日(てんびん座)
身長:169㎝
出身:イギリス
▶おすすめの代表作品
※今や、伝説的名作に。一度は見ておきたい映画です。
何の前触れもなく、姿を消したハンナの事情とは?
ハンナがマイケルに会うたびにせがむのは、学生である彼が持っている本の朗読でした。
実はこの朗読には、ハンナの知られたくない事情が隠されていました。
ある日のこと、いつものようにハンナのアパートを訪れたマイケルは愕然とします。
アパートはもぬけの殻。
何の前触れもなくハンナは忽然と姿を消していたのです。
バスの車掌だった彼女の職場に尋ねるも、急に退職したとのことでした。
どんな事情か見当もつかず、失意に沈み込むしかないマイケル。
それだけでも涙が出そうですが、数年後に再会する場面が衝撃的なのです。
●ダフィット・クロス(デヴィッド・クロス)(David Kross)
誕生日:1990年7月4日(かに座)
身長:181㎝
出身:ドイツ
▶おすすめの代表作品
※元ナチスの空軍パイロットが、終戦後に敵国だったイギリスの名門サッカークラブの名ゴールキーパーに!
※15歳の青年が年上の女性と恋に落ちる。しかし、ある日忽然と消えた女性は、想像以上の秘密を持っていたのでした。
被告人席に座るハンナと、傍聴席のマイケル
時は流れ大学の法科に進学していたマイケルは、学校の実習で実際に裁判が行われている法廷を訪ねていました。
運命のいたずらなのでしょうか、マイケルが再びハンナを見たのは被告人席に座る彼女でした。
裁判は、戦争時代のユダヤ人虐待を裁くもので、ハンナは収容所の看守をしていた時の罪を問われていました。
ハンナは、自らの無実を主張するも当時の収容所の同僚たちは、こぞってハンナに責任があると主張。
看守時代のいきさつをマイケルは知る由もなく、裁判の行方を見守るしかありません。
辛いのは、大好きだったハンナが一生懸命無実を主張する姿です。
もちろん、ハンナは傍聴席にマイケルがいることなど知りません。
無実の主張を突然撤回、自白するハンナ
祈るような気持ちで、ひたすらハンナの無実を願うマイケル。
しかし、裁判は一転、意外な方向に向かいます。
それは、ハンナの罪を裏付ける当時の看守記録が提出された時です。
書類の署名欄にハンナのサインがあり、動かせない事実を突きつけられたのです。
しかし、ハンナは署名は自分のものではないと即座に否定。
結局、裁判官はハンナの筆跡鑑定をするためハンナに自分の名前を書くように指示をします。
その時、法廷内の全員が唖然となります。
ハンナは、収容所で起こったことやユダヤ人への行為はすべて自分に責任があるとして罪を全面的に認めたのです。
あまりにも不条理な結末、物語は涙の結末へ
悲しくて泣けることはたくさんあります。
しかし、その後映画の中で明かされるハンナの個人的事情。
もしかしたら彼女は字が読めない、字が書けない「文盲」だったのでは?
マイケルには思い当たる過去が次々と蘇ってきたのです。
悲しみを通り越し、言葉にできない不条理に気持ちの行き場を失う、そんな辛さが襲ってきます。
そして、さらに時代は流れ初老になったマイケルとハンナがもう一度出会う場所。
それは、無期懲役を言い渡されたハンナに連絡を取り、マイケルが訪れたのは刑務所の中だったのです。
できればハッピーエンドで終わってほしいという願いもむなしく最後は涙が止まらなくなります。
2.感動の『イエスタデイ』、消えたビートルズ!
ちょっと、気分を変えて同じ「泣ける映画」でも『イエスタデイ』は、頬を伝う涙が暖かいのがわかる映画です。
「イエスタデイ」と聞けば、ビートルズの有名な楽曲を思い出しませんか?
まさに映画タイトルは、ビートルズの「イエスタデイ」そのままです。
映画を通して、ビートルズの有名な楽曲がいくつも出てきます。
ただ、映画の切り口がちょっとユニークで、世界中が「ビートルズって何?」と言ったらどうなるの?
という「ビートルズ愛」を逆手にとった発想だったこと。
意外や意外、笑わせ楽しませ、そして最後は感涙に泣かせてくれる映画に仕上がっていました。
ヒメーシュ・パテルと、リリー・ジェームズが主演
主役は売れない音楽家として、ジャック・マリック(ヒメーシュ・パテル)。
彼をずっと支えてきたマネージャーのエリー・アップルトン(リリー・ジェームズ)。
ある日、地球に異常現象が発生しジャックは突然事故に会います。
異常現象はすぐに回復するものの、ジャックの周辺に不思議な現象が残ってしまうことに。
それは、退院祝いにもらったギターで試しに弾いた「イエスタデイ」に友達たちが唖然となったのです!
「ウワッ!その曲、なんて曲?」
いつそんな素晴らしい曲を作ったの?
●リリー・ジェームズ(Lily James)
誕生日:1989年4月5日(おひつじ座)
身長:170㎝
出身:イギリス
▶おすすめの代表作品
※「もしもビートルズが世の中にいなかったら…」というユニークな発想で始まる映画。リリー・ジェームズの可愛さ満開です!
世界中の人たちが知らない、ビートルズの世界
「え?ビートルズのイエスタデイだよ!なんで知らないの?」
と、驚くジャック。
これがそもそも本作の始まりです。
友達がウソを言っているようにも見えず、家に帰ってインターネットで「beatles」と検索すると、出て来たのはなんとクワガタムシだけ!
とにかく、世界が変わったのは確かで、ビートルズを知っているのは自分だけという世界になってしまったようです。
さあ、ここから「にわか天才音楽家」ジャックの快進撃が始まります。
最初は遠慮気味にビートルズを演奏していたのですが、ビートルズを知らない世間はジャックの素晴らしい才能と勘違い。
売れない作曲家は、あっという間に世界のアーティストになってしまうのです。
嬉しくてやがて悲しい、マネージャーのエリー
さて、この映画どこが泣けるのでしょうか?
実は、偽ビートルズとはいえ、映画の中でジャックが演奏し歌う曲はあのビートルズの名曲ばかり。
実際に歌うヒメーシュ・パテルの声も捨てたものではありません。
知っている人には懐かしく、また聞き覚えのある名曲ばかり。
一方、突然売れっ子になったジャックに、学校の教師を兼務するマネージャーのエリーは大忙し!
ジャックを支えるため、超多忙な毎日を過ごします。
ただ、どんどんメジャーになって自分から遠ざかるジャックを感じ出しているエリーがいました。
リリー・ジェームズ、溌剌とした演技に魅了
エリー演じるリリー・ジェームズは、『ガーンジー島の読書会の秘密』や『ベイビードライバー』など、好きなひとを一生懸命に支える健気で溌剌な女性がピッタリの女優。
ジャックを遠くから応援しつつ、次第に身を引こうとするエリーの切ない気持ちを好演してくれる彼女に魅入られていきます。
エリーはきっとジャックのことが大好きに違いない、でも一向に気付かないジャックに苛立ちます。
そして、ジャックの歌うビートルズ曲の歌詞がエリーの心情とオーバーラップします。
忙殺される毎日を過ごすジャックも、やっとエリーの愛情に気付くことに。
もどかしかったジャックが、ステージに上がって観衆の前で自分の気持ちを伝えた方法に一気に涙腺が崩壊します。
もちろん、ビートルズの曲に自らの気持ちを乗せて歌い上げたのです!
3.戦争を生き抜く、優しい『ジョジョ・ラビット』
『イエスタデイ』が、ビートルズの「ヘイジュード」を聞きながら熱い涙を流したのに比べ、『ジョジョ・ラビット』にはそんな派手さはありません。
物語の時代背景が、第二次世界大戦末期だったせいもあります。
内容は、ナチスドイツの悪政と人種差別がテーマなので本当なら暗くならざるを得ない映画。
しかし、映画自体はコミカルに編集されジメジメ感は一切ありません。
むしろ、メインキャストで登場する子供たちが素晴らしく、彼らの目を通し未来への希望に心が安堵する映画となっています。
大人の戦争の犠牲者にならず生き抜いた彼らに、ハッとなって涙がこぼれてしまう、そんな優しい映画です。
ヒトラー・ユーゲントに入隊した10歳の子供
映画の主人公は、「ジョジョ・ラビット」というあだ名をつけられた10歳の子供ジョジョ・ベッツラー(ローマン・グリフィン・デイヴィス)。
大戦末期のナチスドイツは、ヒトラー・ユーゲントという若年者の兵士予備軍まで組織化します。
10歳の男の子ジョジョは、ドイツの敗戦など疑うはずもなく入隊することで国防の一端を担っていると思い込んでいたのです。
ある日ジョジョは、訓練の一環として指導官からウサギを絞め殺せと迫られます。
しかし、そんなことできるはずのない10歳のジョジョは、その場から逃げ出してしまうありさま。
その臆病さに、指導官たちがつけたあだ名が「ジョジョ・ラビット」でした。
二人暮らしの母親が、ジョジョに隠していた秘密
手りゅう弾の扱いに失敗し顔に大けがを負いながらも、一生懸命「ハイル・ヒトラー!」を練習する健気なジョジョ。
そんな彼には、いつも優しく見守ってくれる母親ロージー(スカーレット・ヨハンソン)がいました。
子供ながら、日に日に戦争に洗脳されていくジョジョが心配でなりません。
出兵中の父親の分まで厳しくも温かくジョジョを見守ります。
しかし、ロージーには驚くべく秘密がありました。
なんと2階の隠し部屋に、ユダヤ人の少女エルサ(トーマシン・マッケンジー)を 匿っていたのです。
●スカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)
誕生日:1984年11月22日生まれ(いて座)
身長:160㎝
▶おすすめの代表作品
ゴースト・イン・ザ・シェル (予告編:Amazon) (コミック書籍:楽天)
相談相手は、総統アドルフ・ヒトラーの幻⁈
ロージーが留守中に偶然見つけてしまい、ジョジョは驚くばかり。
ユダヤ人を匿っていることがバレると、本人も家族もどうなるかジョジョは十分理解していました。
何より、一番避けたかったのは大好きな母親が死刑になること。
幼い彼が相談できる者が一人いました。
それはナチスに傾倒するあまり、ジョジョだけの空想上の友達アドルフ・ヒトラー総統(タイカ・ワイティティ=兼監督)だったのです。
しかし、幻とはいえヒトラー総統の答えは決まっていました。
大切な母親ロージー、守りたいジョジョだが…
ジョジョは、毎日落ち着かな日々が続きます。
その一方で、ジョジョは怯えている少女エルサに恐る恐る接近していきます。
ジョジョの興味は、はじめて接するユダヤ人が自分の考えていたことと同じかどうか。
ジョジョはユダヤ人を動物と同じだと思い込んでいたのです。
そんなジョジョは、エルサと何を話すでしょう?
クライマックスは、ロージーが不在時に突然行われた秘密警察の家宅捜索。
そして、一番不可解な母親ロージーの行動!
悲しすぎる結末の一方で、エルサとジョジョの見せるエンディングの明るさに涙を流さずにはいられません。
●トーマサイン・マッケンジー(トーマシン・マッケンジー)(Thomasin McKenzie)
誕生日:2000年7月26日(しし座)
出身:ニュージーランド・ウェリントン
▶おすすめの代表作品
ジョジョ・ラビット (予告編:Amazon) (サントラ デヴィッド・ボウイ:楽天)
※感動のクライマックスと感涙のエンディングが待っています。
まとめ
映画を観て泣くツボは人それぞれかもしれません。
少なくともこの3作に筆者はほぼ最後辺りで涙が流れてきました。
3作中2作はつらい戦争の時代を背景にしていますが、今を生きている人たちにもそれぞれ山あり谷ありの人生があります。
どこかで安ど感に包まれ、ホッとしたい時は必ず巡ってきます。
そんな時、あえて「泣ける映画」を選んで鑑賞すると尖っていた心がほぐれていくのがわかります。
「映画セラピー」(映画での心理療法)とでも言うのでしょうか、ぜひ一度試してみてください。
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