いい映画に出会って「あ~した、転機になぁれ!」
人生は絶対、面白い…はず。
ただ、イラ立つ日々や余裕のない毎日が続くと、大切な何かを見失ってしまうことってありますよね。
そんな時、交差点で信号待ちをするつもりでちょっと立ち止まり、「映画でも見てみるか」と思えば一歩前進。
見終わった後、自分に振り返り「私の人生、まんざらでもない」と思えばしめたものです。
「あ~した、転機になぁれ!」の気持ちを込めておすすめしたい映画を紹介しましょう。
《目次:人生と映画セラピー》
Cinema therapy
ふとした気付きで癒す、「映画セラピー」とは
映画を紹介する前に、「映画セラピー」という言葉があるのをご存じでしょうか。
「シネマセラピー(Cinema therapy)」や「映画療法」と表現されることもあります。
海外発の言葉のようで、映画による心理療法(セラピー)のことを言っています。
日本でも提唱する人がおられ、名越康文さん、杉野 珠理さん、瀬川菜月さん、太田 敦子さんなどが検索ヒットします。
名越康文さんは、精神科医の肩書でTVコメンテーターとしてご覧になられた方もおられるのでは?
人生と映画を結ぶキーワードは、「ふと気付いたこと」
みなさんが著書や講演、あるいはホームページで提唱される「映画セラピー」を一言でいえば、良い映画を観ることが心理的なこころの癒しに繫がると。
心理学的効果や精神科医的な講釈はそれぞれあるようですが、簡単に言えば「映画からのふとした気付き」。
みなさんにもきっとあるはずです。
毎日の生活、ひいては生き方や人生にちょっと影響を与えた映画こそ「映画セラピー」と考えれば十分かもしれません。
前置きはこれぐらいにして、そんな視点からおすすめの映画を紹介していきましょう。
《実話映画編》
1.A Private War
志半ばの戦場記者を描いた、『プライベート・ウォー』
おすすめのひとつは、「一生懸命に生きた実在人物」を描いた実話映画で、見終わった後、心が強くなります。
映画で描かれた人に一様に共通しているのが、みんな山あり谷ありの人生を送ってきたこと。
しかし、中でも、志半ばにして死んでいった人がモデルの映画は間違いなく心が動きます。
戦場記者を描いた、『プラーベート・ウォー』
『プラーベート・ウォー』のモデルは、2012年に死亡した女性戦場記者「メリー・コルヴィン」氏です。
ロザムンド・パイク主演で映画化されました。
メリー・コルヴィンが記者として取材したのは、チェチェン紛争、東ティモール紛争などの激戦地。
戦場で左目を失明した後も臆せず、イラク戦争、アフガニスタン紛争などに出向いています。
無残な光景を目の当たりにするたびに、それがPTSD(心的外傷後ストレス障害)となり彼女を悩まします。
今を生きる自分と、照らし合わせてみる…
彼女は悲惨な現実に出会う度に思うのが、「この仕事、やめるか続けるべきか…」。
常に葛藤の中で悩み抜く様子が描かれています。
現実に今も世界各地で続く紛争の実態は、普通の私たちの周辺では経験しないことばかり。
だからこそ、彼女は真実を世界に知らしめようというジャーナリズムに動かされたに違いありません。
しかし、志半ばにして彼女は爆破された瓦礫の下敷きとなり命を落とすことに。
今作を見て、ふっきれない何かに悩む自分と照らし合わせてみるものひとつかも。
「一生懸命生きる」ということの、何か、きっかけになるかもしれません。
詳細記事:戦場記者の実話映画『プライベート・ウォー』。ロザムンド・パイクが熱演!
●ロザムンド・パイク(Rosamund Pike)
誕生日:1979年1月27日(みずがめ座)
身長:174㎝
出身:イギリス・ロンドン
▶おすすめの代表作品
※クライマックスは、震え上がります!
※ナチスの非情な№3「ラインハルト・ハイドリヒ」の妻を演じます。
2.The Iron Lady
『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』、涙のワケ
人生は、実にはかないもの。
『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』は、ご存じ第71代のイギリス首相「サッチャー」の半生が描かれています。
主演のメリル・ストリープに引き込まれます。
副題に「鉄の女」とあるのは、原題の『The Iron Lady』からきたもので、その彼女が泣いたというのです。
女性初のイギリス首相に就任するも、彼女が打ち出す政策に「議会の男ども」は簡単に従ってくれません。
家庭も犠牲にし、不屈の精神で押し通す彼女の姿勢はいつしか「鉄の女」と呼ばれることに。
冒頭から映し出される、退官後のサッチャー
実はこの映画、冒頭に映し出されるのは年老いたサッチャー。
自宅のテーブルで朝の食事をとりながら、向かいに座る夫デニスに話しかけています。
退官後の寛いだひとコマと思いきや、しばらくしてわかるのはすでに夫はなくなっていたということ。
伝えられるサッチャーの、老後の認知症をリアルに映し出していたのです。
人生は、かくもはかないものと。
栄枯盛衰は誰にも訪れるごく自然なこと、人生の移ろいをしみじみ教えてくれる映画ではないでしょうか。
●メリル・ストリープ
誕生日:1949年6月22日(かに座)
身長;168㎝
出身:アメリカ・ニュージャージー州
▶おすすめの代表作品
※大河ドラマを演じたら右に出るものはいません。メリル・ストリープとクリント・イーストウッドが共演した切ない名作中の名作です。
※ベトナム戦争の現実をスッパ抜いた社会派映画の傑作です。
3.Les Filles du Soleil
『バハールの涙』、普通の母や妻が銃を持つ時
極限の苦しみを経験すれば、今の生活で味わう辛さなんかたかがしれている…。
しかし、誰も好んでそんな生活を経験したいとは思いません。
そんな時見る、『バハールの涙』は映画の世界とは言え、今も世界で起きている悲しい実話がモデルになっています。
「バハール」(ゴルシフテ・ファラハニ)は、かつてIS(イスラム過激派組織)によって村ごと襲撃され、凌辱された多くのクルド人女性のひとり。
村の男はすべて殺され、子どもは兵士に養成するため連れ去られるという想像を絶する経験をします。
「子どものため、家族のため」に決心したこと
バハールは隙をみて脱出、同じ目に合った女性たちを集め子どもを奪還する決意を固めます。
襲撃される前の彼女たちは、みんな普通の主婦や仕事をもつ人たちでした。
そんな彼女たちが初めて手にする銃兵器。
「子どものため、家族のためなら何でもできる」ということを、言葉だけでなく証明してくれる、本当に勇気がもらええる映画に心が震えます。
●ゴルシフテ・ファラハニ(Golshifteh Farahani)
誕生日:1983年7月10日(かに座)
身長:169㎝
出身:イラン・テヘラン
▶おすすめの代表作品
4.On the Basis of Sex
『ビリーブ 未来への大逆転』、男の嘲笑の中で
一生懸命生きた人はたくさんいます。
そう、これを読んでいる人もきっと一生懸命に生きている人に違いありません。
でも、生きている「環境」はひとそれぞれ。
『ビリーブ 未来への大逆転』は、一生懸命頑張れば思いが実現できるという環境がまだまだ整わない時代の話です。
モデルは、RBGの愛称で親しまれたルース・ベイダー・ギンズバーグ氏。
演じたのは真っすぐに生きる強い女性が似合う、フェリシティ・ジョーンズです。
初志を貫いた、アメリカ法曹界の元重鎮
彼女は、アメリカ法曹界の頂点になる連邦最高裁判事を27年間、87歳まで務めた人です。
2021年に亡くなる以前に伝記映画になったというのもスゴイ話ですね。
弁護士を目指した彼女の苦節の歴史は、男女差別が歴然と残る1950代が中心です。
ガンで落命しそうになった夫を支えながら初志を貫くRBGに、必ず勇気づけられるはずです。
詳細記事:RBG死去!伝記映画『ビリーブ』の米女性最高裁判事。米大統領選に影響も
●フェリシティ・ジョーンズ(Felicity Jones)
誕生日:1983年10月17日(てんびん座)
身長:160㎝
出身:イギリス・ バーミンガム
▶おすすめの代表作品
※「スター・ウォーズ」外伝。凛々しい真っすぐなフェリシティ・ジョーンズです。
5.A Hidden Life
『名もなき生涯』、有名人だけでない実話映画
さて、「実話編」で紹介する人物はどうしても著名人が多くなり、それでこそ映画化されがちです。
なにかを成し遂げた偉人・先人を見習い、励まされる人生や生き方も尊いもの。
しかし、今作『名もなき生涯』は『バハールの涙』同様、主人公はほとんど知る人のない人物です。
名前は、フランツ・イェーガーシュテッター(アウグスト・ディール)。
第二次世界大戦が始まった直後のオーストリアを舞台に、ひたすら「信念」に従った人物の話です。
肩書は農夫、なにもないことが最高だったはず
フランツは、逆に今映画で名前を知られるようになったかもしれません。
どんな実績を持つ人なのでしょう?
肩書は農夫。
オーストリアの美しい高原の土地を妻と二人の娘で楽しく守ってきた以外、「なにもない生涯」を送る予定の人間でした。
あえて実績をいうなら、ナチスドイツに兵士として召喚されながら頑として「ハイルヒトラー」を宣誓しなかったこと。
もちろん、それは最後は死刑を意味します。
あえて特筆すべきことのない人生こそ、最高の人生なのではと思ってしまいます。
●アウグスト・ディール(August Diehl)
誕生日:1976年1月4日(やぎ座)
身長:180㎝
出身:ドイツ・ベルリン
▶おすすめの代表作品
※主人公の農夫に最後まで寄り添う妻にも感涙です。
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