青春ムービー『Love, サイモン 17歳の告白』ゲイであることの告白と葛藤、男子高生の物語

ラブサイモン
『Love, サイモン 17歳の告白』引用:Facebook公式サイト

ゲイの告白と友人との関係、葛藤するサイモンの物語

今回紹介するのは『Love, サイモン 17歳の告白』(2018)。(原題:Love, Simon)

日本では映画館で公開されなかった作品ですが、昨今注目のLGBTQ+がテーマの作品です。

他のLGBTQ+作品と異なるのは、ゲイであるサイモンの気持ちがそのままメールや言葉として表現されており、彼の感覚がかなり細かく説明されている点です。

1分で読める、あらすじ紹介

ラブサイモン
https://www.facebook.com/LoveSimonMovie/

主人公サイモン( ニック・ロビンソン)は、ありふれた生活を送る男子高校生。

家族も友人も、何不自由なく仲良しばかり。

しかし彼には秘密があります。

それは、ゲイであるということ。

サイモンはネットの掲示板から、同じ高校の中にゲイの同級生がいることを知り、”ブルー”というペンネームのその彼とメールを通じてやり取りを始めます。

しかしメールの中身を厄介者の同級生マーティンに見られてしまったことがきっかけで、サイモンはゲイであることを隠し切れなくなっていきます。

映画のタイトルにもなっている“Love, Simon”とは、メールの最後に付ける“サイモンより”のことを示していると思われます。

Z世代の青春、悩む姿も愛おしい

”ブルー”という名のゲイの青年、ネット上に現る。

同級生がネット上でゲイを告白したことによって、今まで自分の心の中にだけ秘めていたゲイであるという事実や感情を共有できるかもしれない、とお互いにペンネームでメールのやり取りを始めます。

返信を気にするサイモンの姿が可愛い!と思っていたのも束の間、厄介者マーティンにメールを見られ、サイモンがゲイであることを知る第一号になってしまいます。

このマーティンはクラスに一人はいるようなお調子者で、こいつだけには知られたくないというタイプの人間。

サイモンの周りの友人は、まさに学生コミュニティの縮図なので、誰にでも共感できるように感じます。

友情か、ゲイであることを隠し続けるか

ゲイであることを隠す代わりに、アビーという女の子との間を取り持って欲しいとマーティンに脅されてしまうサイモン。

初めのうちはうまく立ち回っていたサイモンですが、周囲の友人たちが怪しむのも当然。

遂にある事件がきっかけで、サイモンがゲイであることが学校中に知れ渡ってしまいます。

(もちろんマーティンの仕業です。)

Love, サイモン
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ゲイであることを隠していたことよりも、友情を犠牲にしたサイモンの態度に友人一同は怒り心頭。

しばらく絶縁状態に陥ります。

まっすぐに向き合う、サイモン

家族の支えもあり、まずは幼馴染の友人リアに謝ります。

“ゲイであると伝えてしまえば、全てが変わってしまうと思った。リアとの友情は変えたくなかった。”

と伝えるシーンは、とても胸が締め付けられました。

Love, サイモン
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LGBTQ+のカミングアウトに関する葛藤は、当の本人にしか分からないかもしれません。

“なぜゲイだけが苦しまないといけないのか、どんな人でも同じように苦しむべきだ!”

と、サイモンが主張する部分があります。

まさに原作小説の題名『サイモンvs人類平等化計画』の意味がここに込められていますね。

さて最後に、“ブルー”とはいったい誰なのか、サイモンの思いは届くのか、ぜひここは本編で確認してみて下さい。

「母は偉大なり」サイモンにかける温かい英語フレーズ

サイモンが友人たちとも絶縁状態にある中、母エミリーがサイモンへかけた言葉が刺さりました。

非常にシンプルな英語のセリフだったので、ここでご紹介します。

Being gay is your thing.
(ゲイであることは、あなた自身の問題だわ。)

There are parts of it you have to go through alone.  I hate that.
(一人で乗り越えなければならない場面もあると思う。それが辛いわ。)

As soon as you came out, you said “Mom, I’m still me.”
(あなたが伝えてくれた時、“母さん、僕は僕のままだよ”って言ったわね。)

I need you to hear this.
(だから、よく聞いて。)

You are still you, Simon.
(あなたは、あなたのままなの。)

And you are still the same son who I love to tease,
(私はあなたをおちょくるのが大好きだし、)

And who your father depends on for just about everything,
(父さんはあなたを大いに信頼しているし、)

And you’re the same brother who always compliments his sister on her food even when it sucks.
(いつも妹を褒めるし、たとえ彼女の作る料理がまずくても褒めるお兄ちゃんであることに、変わりないわ。)

But you get to exhale now, Simon.
(でも、もう息を吐き出して。)

You get to be more you than you have been in a very long time.
(あなたはこれまでよりも、もっとあなたらしくなれる。)

You deserve everything you want.

(やりたいことは何でもできるわ。)

 

もっと映画が好きになる、『Love, サイモン』プチ情報

ゲイの男性を好きになる女性の物語、という視点

本編ではリアはサイモンのことが好きでしたが、叶わぬ恋に終わってしまいました。

しかし、サイモンがゲイであるとカミングアウトしてからは大切な友人の一人として彼を受け入れます。

ゲイである本人だけではなく、友人たちの葛藤を描いた場面もあり性的思考に関わらず、多くの人に共感できる作品だったのではないでしょうか。

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少し古いですが『私の愛情の対象』(1998)という映画があります。

ジェニファー・アニストンポール・ラッドという2大コメディ俳優が出演。

重すぎず、一方で深い考察を与えてくれるLGBTQ+がテーマの作品です。

こちらはゲイの男性を好きになってしまう女性の心情が中心に描かれています。

どのようにして彼と人間関係を築いていくのか、まさに“愛情の対象”を模索する物語です。

私の愛情の対象 (字幕版)

『Love, サイモン 17歳の告白』の注目女優、アレクサンドラ・シップ

サイモンの友人の一人、アビーを演じたのはこちらの女優アレクサンドラ・シップさん。

【Instagram:alexandrashipppp】

作品数は多くはないものの、最近の出演作品ではキーパーソンを演じることも多いです。

Netflixオリジナル映画『tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!』(2021)では歌声も披露。

tick, tick… BOOM! (Soundtrack from the Netflix Film)

今後の活躍も期待です。

あわせてLGBTQ+への理解、映画を通じて深めていきたいですね。

《ライター:Halle》 担当記事の一覧へクリック→

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