何も起こらない、こと足りた日々の幸福感
約2時間の映画。
普通は、起承転結を微妙に入り組ませながら観ている人をハラハラ・ドキドキと楽しませてくれます。
中には、終始興奮しっぱなしのアクションやホラーも、それはそれで面白いもの。
ところが今回紹介する映画『パターソン』は、ひと言でいえば何も起こらない映画なのです。
そんな『パターソン』を考察してみると、見えてくるのはほのぼのとした詩情豊かなセラピー映画でした。
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/PatersonMovie)
《目次:ほのぼの映画『パターソン』
なにも起こらないって、これは究極の「ネタバレ」かもしれません。
でも、ご安心下さい。
言ってしまうと、特記するような「ネタ」さえありません。
途中で、「もしかしたら、この辺から何か起こるのでは?」と映画を観慣れした人はすぐ想像してしまうのですが、やっぱり起こらないのです。
それって、すごく退屈な映画?
百聞は一見に如かず 「何も起こらないことの幸せ感」をしみじみと噛みしめられる、とっても素敵なセラピー効果のある映画なのです。
1.ほのぼのとした静かな時間
アダム・ドライバー、終始、穏やかな演技
ちなみに、この映画を観てみようと思ったきっかけは主演の二人のうちの一人が、ゴルシフテ・ファラハニだったからです。
彼女は、珍しいイランの出身女優で、『バハールの涙』で強烈なイメージを持っていたからです。
しかし、彼女よりも今作の主役アダム・ドライバーに引き込まれてしまいました。
そう、『スターウォーズ』のカイロ・レンはじめ、超売れっ子の俳優ですよね。
最近は、SF映画『65/シックスティ・ファイブ』で渋さ全開です!
主演アダム・ドライバー
●アダム・ドライバー(Adam Driver)
誕生日:1983年11月19日生まれ
星座:さそり座
身長:189㎝
出身:アメリカ・カリフォルニア州
▶おすすめの代表作品
参考記事:『アネット』アダム・ドライバーがプロデューサーを務めた、鬼才レオス・カラックス監督の新作
※『テネット』の ジョン・デヴィッド・ワシントンと共演です。
今作の簡単なあらすじは、アメリカのニュージャージー州に実際にあるパターソン市に住む「パターソン」(都市名と同名)という男性の、一週間の話。
彼の職業は、市内を循環するバスの運転手です。
劇中登場するのは、主人公以外、一緒に暮らす妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)と、愛犬マーヴィン(イングリッシュ・ブロドッグ)で、コイツがまた可愛い!
あと、バス会社の同僚、バスの乗客、毎夜立ち寄る場末のバーのマスター、店の常連客、通勤途中で出会う少女…といったところでしょうか。
2.日常を詩に書き留める
日頃の何気ないこと、詩に書きとめる習慣
さて、映画の中で「何も起こらない」というのは言い過ぎかもしれません。
正確には一週間の間、パターソンにも妻ローラにも実はいろいろな出来事が起こっています。
しかし、それはあえて映像が急転するような大事件でもなければ、大事故に発展するものではありません。
ネタバレにならない程度に、「取るに足らない出来事」のいくつかを紹介しましょう。
決まったように、朝6時過ぎに目を覚ますパターソンだが、日によっては6時30分ごろになることがある。
バス会社の同僚は、朝の挨拶の後、自分の私生活の愚痴をウダウダと言ってくる。
可愛い愛犬マーヴィンを狙っている奴らがいる。
バーの常連客の嫉妬深い男が、突然銃で自殺しようとした。
3.愛妻ローラとの会話
毎日帰ると、妻の趣味の話を聞く運転手
妻の趣味がちょっと特殊で、部屋のインテリアからファッションまで色を黒白のみでコーディネートする癖がある。
自作のケーキまで黒白にし、売り出そうとしている…。
6.共演ゴルシフテ・ファラハニ
●ゴルシフテ・ファラハニ(Golshifteh Farahani)
誕生日:1983年7月10日生まれ
星座:かに座
身長:169㎝
出身:イラン・テヘラン
▶おすすめの代表作品
ところで、パターソンには思いついたことを詩にしてノートに書き留める習慣がありました。
目の前にあるマッチ箱のデザインに、ちょっと興味を惹かれると早速ノートにしたためます。
ひとりで朝食をとる時、循環バスの発車前の待ち時間、それは彼がノートに詩をしたためていく至福の時間のようです。
妻ローラは、夫のノートの存在を知っていて、そこに何が書いてあるか気になっている様子。
ある日、一度見てみたいと言い出します。
そして、パターソンに週末までにコピーをしてくれるように頼むのですが、パターソンは快く約束します。
4.何も起こらないまま…
このまま、何も起こらないで欲しい!
ローラの悪趣味(?)に表情ひとつ変えず、話を聞くパターソン。
愛犬マーヴィンを狙っていそうな不良に出会った後でも、散歩途中でバーに立ち寄り犬を外に繋ぎっぱなしにするパターソン。
帰宅途中で偶然出会った少女の書いている詩が気に入り、覚えて帰り妻に聞かせるパターソン。
バスの運転中に聞こえてくる乗客のくだらない(?)話も、パターソンには一向に耳に入っていないようです。
彼の頭の中は、ノートに綴られていく穏やかな詩だけが支配しているのでしょうか。
なんだか、主人公と一緒になって幸福な時間を噛みしめている自分に気付きます。
映画も、このまま何も起こらずに終わってほしい…。
あっという間に過ぎる一週間
パターソンの詩と映像が一体となって流れていきます
途中少しだけ、ハッとすることがありますが安心して下さい。
バスが事故に会うこともなければ、自殺しようとした男が問題になることもありません。
幸福感だけが残る不思議なおすすめ映画です。
「百聞は一見に如かず」です。
※作品のメッセージを読み解けるようになれば、感性が磨かれ、教養を深めることができます。映画を意識的に見ることで、人間としての魅力や人生の向上にもつながります。ネット動画をついダラダラ見てしまう方、口コミや評判をもとにコンテンツを受動的に消費しているような方にこそ、そんな自分を変えるきっかけにしてもらえる一冊です。【引用:Amazon】
《まとめ:『パターソン』
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