90年代ファッション【グランジ編】、おすすめの映画3選おしゃれなファッション好きさんに

リアリティ・バイツ,ウィノナ・ライダー
『リアリティ・バイツ』(1994年)

ストリートファッション、ヒップホップ、グランジ、y2k、ギャル、プレッピーetc…古着市場の盛 り上がりもあってか、近年は90年代~00年代のファッションが空前のブームです。

そんな90年代ファッションの中でもグランジ・ファッションを堪能でき、お手本にしたくなるよう な映画3選を紹介します。

まず、グランジ・ファッションとは、 90年代前半に、音楽ジャンルであるグランジ・ロックから派生したファッションです。

カート・コバーンの、穴空きジーンズが原点!

ニルヴァーナ,グランジ・ファッション
「ニルヴァーナ」左:カート・コバーンhttps://www.amazon.de/J-4105-Nirvana-Band-Collections-decorative/

ロックバ ンド「ニルヴァーナ」のボーカルであるカート・コバーンの、カーディガンに穴開きジーンズ、ス ニーカーといった、着古したり破れている服をファッションとして取り入れるスタイルから拡がりました。

80年代後半まではミュージシャンといえば、派手な衣装やメイクで飾り立てるのが基本ス タイル。

カートのようなアメリカの若者の普段着や着古した服を着て、あくまでも日常 的なスタイルでロックバンドをやるということ自体が新鮮だったのかもしれません。

ネヴァーマインド(ニルヴァーナ) Cobain モンタージュ・オブ・ヘック

では、3つの映画を紹介します。

1.『シングルス』作品情報とあらすじ

シングルス.マット・ディロン
https://www.facebook.com/SinglesMovie/

作品情報

映画タイトルシングルス
原題Singles
監督キャメロン・クロウ
出演キャンベル・スコット、キーラ・セジウィック、ブリジット・フォンダ、マット・ディロン他
製作年1992年 シングルス (Amazon:予告編)

あらすじ:シアトルのアパート、若者たちの恋愛群像劇

シングルス,マット・ディロン
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シアトルの単身者専用アパートに住む若者たちの恋愛群像劇。

留学生にだまされて失恋をする女性、なかなか振り向いてくれないロッカーに恋する女性、遊び人のミュージシャンなど、個性的 な登場人物たちの恋の悩みや人生模様が描かれています。

前年にニルヴァーナのSmells Like Teen Spiritが大ヒットし、舞台はグランジ・ブーム真っ 只中のシアトルなので、グランジ・ファッションが登場しまくりの本作品。

主人公はライブで出 会った男性と恋に落ちるのですが、そのライブ演奏者として出演しているのがシアトル出身であ りグランジブームを代表するバンドのAlice in Chains なのです。

また、別のシーンではグランジバンドのPearl Jamが出演していたりします。

ESSENTIAL ALICE IN CHAINS(アリス・イン・チェインズ)Completely Unplugged(パール・ジャム)

グランジ・ファッション、原型コーデが見られる

シングルス,ブリジット・フォンダ
左:ジャネット(ブリジット・フォンダ)右:クリフ(マット・ディロン)https://www.facebook.com/SinglesMovie/

ファッションで特筆すべき点は、やはりミュージシャンのクリフ(マット・ディロン)と、彼に恋する女性ジャネット(ブリジット・フォンダ)のスタイルです。

ライダースやネルシャツ、破れたジーンズ、ミニスカートなどをラフに着こなす、グランジの原型とも言えるべきコーデが出てきます。

主人公とその恋人のリンダ(キーラ・セジウィック)スティーヴ(キャンベル・スコット)は、基本的には80年代の雰囲気が残るジャケットとシャ ツのスタイルですが、ネイビーやオリーブ、グレーという色彩だったり、チェックのシャツを取り 入れていたりと全体的にグランジ感が漂うコーデになっています。

音楽やファッション、街の様子など当時のシアトル、グランジシーンの雰囲気がわかるカルチャー 映画的な側面を持つ映画です。

シングルス,グランジ・ファッション
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愛すべき生活、そして人生を実感できる映画

ストーリーでは、誰にでもある恋の悩み、身近に起こりうるリアルな小話をコミカルに、時に切なく、軽やかに描いています。

恋人に電話をかけるか悩んでゴミ箱で占ってみたり、好きな人に押 すか引くかでカフェで友人と議論したり・・・誰でも一度は経験したり共感できるシーンが必ずあると思います。

映画の世界では恋はロマンティックなのに、現実ではなかなかそうはいかず、失敗したり回り道し たり余計なことをしてしまったり、、みんなそれぞれ悩み、苦労している。

そういうところも含 めて自分の愛すべき生活であり、人生であるということを実感できる映画です。

「みんな回り道を?」—「あたしたちだけよ」

2.『エンパイア・レコード』作品情報とあらすじ

エンパイア・レコード,リブ・タイラー
https://www.facebook.com/Empire-Records

作品情報

映画タイトルエンパイア・レコード
原題EMPIRE RECORDS
監督アラン・モイル
出演リヴ・タイラー、アンソニー・ラパリア、ジョニー・ホイットワース、ロビン・タニー他
製作年1995年 エンパイア・レコード (Amazon:予告編)

あらすじ:田舎町のレコード屋 「エンパイア・レコード」

エンパイア・レコード,リブ・タイラー
左:コリー(リヴ・タイラー)右:ジェーン(デビ・メイザー)https://www.facebook.com/Empire-Records

ある日、店員のルーカス(ロリー・コクレーン)が、小さなレコード店を買収から救おうとして売上金をカジノで使ってしまうことに。

店長のジョーは大激怒、なんとかして 売上金を取り戻そうと奔走するが・・・

この映画の魅力は、なんといっても個性的な店員たちとそのファッションです。

個性豊かでおしゃ れな若者たちが繰り広げるドラマを見ているだけで、この店で働きたくなってきます。

この映画 に憧れてレコード店でアルバイトを始める人も多いのではないでしょうか。

90年代後半~、ポップな「y2k感」ファッションも登場

エンパイア・レコード,ジョニー・ホイットワース
A.J.(ジョニー・ホイットワース)https://voguegirl.jp/fashion/trend_fashion/

コリー(リヴ・タイラー)に恋するA.J.(ジョニー・ホイットワース)のファッションなど全体的にグランジなのですが、90年代後半~00年代に見 られるポップなy2k感があるファッションも登場します。

クロップド丈のタンクトップやチェックのミニスカート、ヘソだしのニットなど、2022年現在に流行っている、韓国ファッションや tiktokの影響を受けたy2kファッションの原型がこの時代のファッションにあることがうかがえます。

特に登場人物の一人であるデブラ(ロビン・タニー)のファッションは、ミニ丈タンクトップやアクセサリーの重ね 付け、ヘッドホンに坊主ヘア、タトゥーなど、バッドガールな雰囲気が現在の流行りとマッチして います。

キメ過ぎず、あくまでもラフに着こなし光るセンス

エンパイア・レコード,ロビン・ダニー
デブラ(ロビン・タニー)https://voguegirl.jp/fashion/trend_fashion/

どのスタイルもキメ過ぎず、あくまでもラフに着こなしていて、かつセンスが光っているのが特徴 です。

そしてこの映画もティーンズの悩みや問題を描きつつも、コミカルに、最後はスッキリする形でま とめています。

音楽愛溢れる若者たちの青春ストーリーとしてとても完成度が高く、観ていて気持 ちが良い映画です。

「まともじゃ生きられない シュガー・ハイにならないと」

3.『リアリティ・バイツ』作品情報とあらすじ

リアリティ・バイツ
https://www.facebook.com/RealityBitesMovie/

作品情報

映画タイトルリアリティ・バイツ
原題Reality Bits
監督ベン・ステイラー
出演ウィノナ・ライダー、イーサン・ホーク、ジャニーン・ガラファロー他
製作年1994年 リアリティー・バイツ(Amazon:予告編)

あらすじ:はぐれものどうしの共同生活、厳しい現実

リアリティ・バイツ,ウィノナ・ライダー
左:サム 中左:リレイナ(ウィノナ・ライダー)中右:トロイ(イーサン・ホーク)右:ヴィッキーhttps://www.facebook.com/RealityBitesMovie/

大学を卒業しテレビ局に勤めるリレイナ(ウィノナ・ライダー)は、仲間を撮ったドキュメンタリーフィルムを作ることに。

ある日、ささいなことでテレビ局をクビになってしまい、同じく職につかないバンドマン のトロイ (イーサン・ホーク)と、その友達のサム、女友達のヴィッキーの4人で共同生活を始める。

彼らの日常にカメラを向けながら、恋に悩み、仕事に悩み、厳しい現実に立ち向かっていきます。

ラフな中にもグランジのベース、飾らないファッション

リアリティ・バイツ,ウィノナ・ライダー
左:ヴィッキー(ジャニーン・ガラファロー)https://voguegirl.jp/fashion/

この映画でウィノナ・ライダーが着用していた、小花柄のワンピースと、赤いタンクトップ×ブルージーンズのコーデはあまりにも印象的。

ショートボブと赤リップに合わせたベーシックで飾らないファッションは一度は真似したくなります。

オーバーサイズのTシャツやタンクトップにサン グラスを合わせたコーデなど、ラフな中にもグランジのベースが見られるスタイリングです。

主人公の友人のヴィッキー(ジャニーン・ガラファロー)が着ているノースリーブのワンピースや、GAPと古着のアイテムを合わせたコーデも90年代感満載でかわいいです。

就職難の時代、生きる若者たちの苦悩する姿

この映画のおしゃれなファッションはもちろん印象的ですが、見どころはやはりビター&スイートなストーリーにあると思います。

作中で描かれるのは「ジェネレーションX」と呼ばれる、日本では「しらけ世代」や「新人類」に 相当する年代の若者たち。

個人主義で、政治や社会に対して冷めている傾向が強いと言われてい ます。

主人公のリレイナは大学を首席で卒業したにも関わらずささいなことで職を失い、再就職 をしようにもなかなかうまくいきません。

就職難の時代に生きる若者たちの苦悩する姿がリアルに描か れています。

また、バンドマンのトロイは定職に就くことを嫌い、社会のシステムに冷めた目線を投げかけています。

リアリティ・バイツ,イーサン・ホーク
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そんな虚無感や生きづらさを感じる時代の中で、恋をしたり仕事を探してもが いたり、友人と語り合ったりする等身大の姿を描いたこの作品。

昨年ヒットし、多くの若者の共感を得た邦画「花束みたいな恋をした」にも似ていると思います。

90年代に青春を過ごした世代だけでなく、現代の若者が見ても共感できる作品です。

筆者は3作品の中でもこの映画が最も共感する部分が多く、これは何年経っても観たくなる作品だなと思いました。

「僕はこれだけで満足だ タバコとコーヒー おしゃべり 君と僕と5ドル」

関連記事:『ファッション解説』

まとめ

以上3作品、いかがでしたでしょうか。

どれもカルチャー的な側面やファッションの部分で参考になることはもちろん、内容も濃く一見の価値のある作品です。

ぜひ、映画から90年代グランジファッションを取り入れて楽しんでみてください!

《ライター:selena

3 Comments

  1. この3作品は、ポスターがもはやアートとして成り立つくらいオシャレですよね。
    ファッションはこの時代ならではの主張強めのものが多くて興味深いです。
    キラキラした青春映画といえば80年代、時代の流れと共に少し不穏な空気が流れ始めた90年代。そんな中でも恋に仕事にまい進する登場人物たちに自分自身を重ねて楽しませてもらったなあ。
    「エンパイア・レコード」はレネー・ゼルウィガーの歌声も聞けるし、隠れた名作ですよね。大好きです。
    今のZ世代向けの映画も90年代を彷彿とさせるものが多いことを考えると、90年代は沢山の文化が誕生した時代だったのかもしれませんね。

    • ライターの方はファッション関係に強い方です。数本書いていただきましたが、ちょっと途絶えています。継続して執筆をお願いしているのですが実現していません。sophieさんも映画あはもとより、映画の時代背景もお強いようですね!これからもよろしくお願いします。

    • さすがsophieさんの、新旧作品いずれも守備範囲は凄いですね!”今のZ世代向けの映画も90年代を彷彿とさせるものが多い”、具体的にどんな作品があるのでしょうか。お時間あるときまた教えて下さい。少しそれますが、Z世代の彼ら彼女らにしたら、レディー・ガガが「懐メロ」になっているんですって!

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