超高評価のワケを解説、ドラマ『ラスト・オブ・アス』あらすじ＆キャスト・見どころ！

2023年1月から3月にかけて※U-NEXTで配信され、大絶賛されたHBO制作のドラマ『ラスト・オブ・アス』。

同年度9月に開催されるエミー賞では、作品賞などの主要な部門での有力候補となっています。

原作は同じタイトルのゾンビゲームで、一見、すでに手垢のついた題材に見えます。

しかし、細かい描写やテーマ性など、あらゆる所が丁寧に作られた本作は、実際に見れば引き込まれること間違いありません。

今回は、ドラマ『ラスト・オブ・アス』のあらすじ＆キャスト、そして超高評価を得た魅力と見どころを解説していきます！

あらすじ：「人類最後の希望」、アメリカ縦断の旅する父親

本作は、いわゆるポストアポカリプスもの。

人体に寄生し、感染した人を凶暴に変えてしまうウイルスが蔓延する2023年の世界が舞台です。

主人公は、感染の混乱が始まった20年前に、テキサスで一人娘のサラを亡くした過去をもつジョエル（ペドロ・パスカル）。

パンデミック後はボストンの隔離区域に流れ付き、パートナーのテスと共に運び屋の仕事をしています。

ジョエルは、消息を絶った弟を探しに行くため、車のバッテリーを手に入れる算段を立てようとします。

バッテリーのありかを追ううちに、反乱グループ「ファイアフライ」のリーダーであるマーリーンに辿り着くジョエルとテス。

しかし、マーリーンはバッテリーと引き換えにジョエルにある条件を持ちかけました。

それは、ウイルスの抗体を持つと思われる少女エリー（ベラ・ラムジー）を、隔離区域の外にある研究施設まで「運んで」欲しいというもの。

二人はバッテリーのため、渋々仕事を引き受けることにしましたが……。

▶メインキャスト①

ジョエル役：父親役のアイコン、ペドロ・パスカル

主人公のジョエル役を演じるのは、スター・ウォーズのスピンオフドラマ『マンダロリアン』でも主演を務めたペドロ・パスカル。

「エイリアンの養い子を連れた賞金稼ぎ」という、子連れ狼さながらのキャラクターを演じて、不器用ながらも良い父親というイメージが定着しました。

『ラスト・オブ・アス』でも、10代の少女に振り回されつつ、人としての距離を縮めていく様子を見事なユーモアと共に演じています。

原作ゲームでのジョエルは白人男性として表象されていましたが、ペドロ・パスカルはチリ出身のヒスパニック系の俳優。

「終末世界で命を預けられる頼もしい存在」というポジションに、こうした人種的にマイノリティの俳優がキャスティングされるのは喜ばしいことです。

▶メインキャスト②

エリー役：実力派の19歳、ベラ・ラムジー

ジョエルと共に旅をする少女エリー役は、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ミルドレッドの魔法学校』に出演したベラ・ラムジー。

ペドロ・パスカルに負けないエネルギーと強さで主役を張っています。

ドラマに明るさや無邪気さをもたらしてくれるエリーですが、徐々に過去や心情も深く描かれていきます。

哀愁や悲しさといった本作のエモーショナルな部分は、ドラマの前半では主にジョエルが背負うものとして描かれます。

話が進むにつれて、次第にエリーがそれらを対等に担うようになっていく様は見事としか言いようがありません。

また、ベラ・ラムジー本人はノンバイナリーの俳優であることが知られています。

こちらも、性的マイノリティの俳優がメジャー作品の大きな役にキャスティングされた、業界の進歩の一例と言えるでしょう。

▶超高評価のワケ

ドラマ『ラスアス』の魅力、当たり前にあるものを堂々と！

本作の魅力といえば、評判となっているアクションやゲームの再現性などがもちろん挙げられます。

今回は、キャラクターそれぞれの人間的な部分、そして、今までに描かれてこなかったような要素がしっかりと描かれているところにフォーカスしていきます！

では、いくつかピックアップして解説しましょう。

①当たり前のものとしての生理

例えば、ジョエルと旅をするエリーが行った先々で生理用品を手にする場面。

廃屋の地下室でナプキンを手に入れたり、隔離コミュニティにいる大人の女性から月経カップを渡されたりします。

今までの映像作品で存在しないかのように扱われてきたこともあった生理を、ごく普通のこととして描いた場面です。

②恐怖を吐露する男性像

また、ジョエルが自分の「老い」を実感して、「自分やエリーを守ることができないかもしれない」と恐怖を告白する場面も。

ジョエルのようなキャラクターには、「強くて逞しい」「弱音を吐かない」というようなことが求められてきた節がありますよね。

しかし、男性だからといって、常に逞しく、弱音を吐いてはいけないなんてことはないはずです。

本作での恐怖や怯えを（戸惑いながらも）吐露する姿は、ジョエルのキャラクターを一層複雑に、人間的にするものとして作用しています。

もちろん、この場面のペドロ・パスカルの演技も必見です！

③丁寧に描かれた、男性同士のパートナーシップ

第３話では、男性同士のカップルの物語が80分近くの尺を使って丁寧に描かれています。

それぞれの信条の違いや、終末世界の恐怖と共に生きるビルとフランク。

ゾンビが蔓延する世界という環境は決して普通ではありません。

しかし、喧嘩したり仲直りしたりしながら生きる様子は、ごく普通のパートナーそのものです。

『ラスト・オブ・アス』には、こうした「今までもごく普通に存在していた、でも描かれてこなかった」ものが沢山登場します。

特にビルとフランクの物語などは、それを説明なく「最初からそこにあった当たり前の」ものとして描かれています。

そうすることで、少数派に属する人々の存在を、過去も未来も含めて「あるもの」だと肯定していると言えるでしょう。

まとめ：ゾンビの造形や、アクションにも注目！

さて、『ラスト・オブ・アス』のあらすじやキャラクター描写などについて解説してきました。

本作は、「ゲームの画面そのまま」と評判のアクションにも注目です。

特に、人間にキノコが生えたような見た目をしている感染者のビジュアルは強烈そのもの。

原作ゲームは18歳以上のみ対象、ドラマはR15＋のレーティングです。ホラーやゾンビものが苦手な人は注意してください。

逆に、こういったジャンルが好きだけどまだ見ていない！という方。一見の価値ありです！

ホラー／ゾンビものの過酷な描写と並走して描かれるキャラクターのエモーショナルな部分や、優しさ、寂しさといった本作の世界に、ぜひ出会ってみてください。