2026年公開映画の中でかなりの話題作、『Michael/マイケル』を観てきました!
私はめちゃめちゃファンというわけではないですが、名曲ぞろいのマイケルの音楽には親しみがありますし、『THIS IS IT』も何度か観ているくらいには好きです。
なので今回は好きだからこそ…の正直レビューとなっています!
(トップ画像:https://www.facebook.com/michaelmovie/)
世界的スターの、半生を描く意欲作

『Michael/マイケル』は、ジャクソン5として活動していた幼少期から、アルバム『Bad』を発表した1987年頃までのマイケル・ジャクソンの人生を描いた伝記映画です。
厳しい父ジョセフとの複雑な関係や、ソロアーティストとして世界的な成功を収めるまでの軌跡をたどりながら、「キング・オブ・ポップ」どのように生まれたのかを描いていきます。
マイケルの甥であるジャファー・ジャクソンが主演を務めることも大きな話題となりましたが、本作は単なるヒット曲の再現映画ではなく、世界的アイコンの人間的な一面を描こうとする意欲も感じられる映画でした。
ただ、その試みが最後まで十分に実を結んでいたかというと…すこし疑問も残ります。
家族を描くことで、人間性に迫ろうとするが…

本作で印象的なのは、幼少期からの家族関係描写に多くの時間を割いている点です。
厳格な父ジョセフのもとで育ち、幼い頃から大人顔負けのパフォーマンスを求められ続けたマイケル。
その過酷な環境が彼の人生に大きな影響を与えたことは十分に伝わってきます。
しかし一方で、出来事そのものは描かれていても、それによってマイケルの内面がどう変化していったのかまではあまり深く掘り下げられていないように感じました。
特に象徴的だったのが、ペプシのCM撮影中に起きた事故のくだりです。
事故からの立ち直りが本作では比較的あっさりと処理されているところが残念でした。
身体的・肉体的苦しみや葛藤、そこからの回復がスムーズに描かれるため、人間としての複雑な感情の揺れよりも「困難を乗り越えるスター」という物語が全面に出ている印象を受けました。
映画全体のテンポは非常に良いのですが、その分だけマイケルの苦悩や迷いが淡々と流れてしまい、観客が感情的に寄り添う、または揺さぶられる余白が少なくなっているようにも思います。
圧巻のライブシーンと、その輝きが生む余白

一方、本作最大の見どころがライブシーンであることは間違いありません。
『Billie Jean』『Beat It』『Thriller』などの再現シーンはどれも素晴らしく、ジャファー・ジャクソンの表現力には驚かされました。
ダンスのキレや立ち姿、話し方だけではなく、ステージ上で放つオーラまで再現しようとしているのが伝わってきます。
映画を観ながら「マイケル・ジャクソンはやはり特別なスターだったのだな」と改めて感じられます。
ただ、ここにも少しもどかしさがあります。
ライブシーンがあまりにも魅力的なため、映画がマイケルの内面へ踏み込もうとするたびに、再び華やかなステージへと戻ってしまうのです。
人物描写を深めるべき場面でも、次のパフォーマンスがまた挿入されることで感情の流れが途切れてしまうように思いました。
ライブ映画としてみれば大きな長所ですが、伝記映画として見た時に、その輝きが人間ドラマを描く妨げにもなっているように感じます。
「記号」としての、ピーターパンや動物たち

本作には、マイケルを語るうえでおそらく欠かせないモチーフも数多く登場します。
ピーターパンへのあこがれや、チンパンジーのバブルスをはじめとする動物たちとの暮らしです。
本来であれば、こうした要素はマイケルという人物を理解するための重要な手がかりになり得ます。
失われた子供時代への執着や、孤独感、現実世界への居心地の悪さなど、さまざまな解釈につながるからです。
ところが本作ではそれらが少々表面的な描写にとどまっている印象を受けます。
ピーターパンや動物を愛していることはわかるのですが、「なぜそうだったのか」があまり見えてこないのです。
そのため、人物を掘り下げるための要素というより、「マイケルらしさ」を示す記号として配置されているように感じられました。
神話の再起動としては成功、伝記映画としてはこれから

『Michael/マイケル』は、ライブ映画として観れば非常に満足度の高い作品です。
ジャファー・ジャクソンの熱演も素晴らしく、マイケル・ジャクソンという存在がなぜ世界中を熱狂させたのかを改めて体感できました。
またマイケルを語る上で必ず付きまとう黒い疑惑などについては一切触れていないので、万人におすすめできる作品とも言えます。
ただ、伝記映画として観ると少し物足りなさも残ります。
本作は人間マイケルを描こうとしているように見えながら、最終的にはマイケル・ジャクソンという神話を再び輝かせることを優先しているように感じられるからです。
その結果、一人の人間としての複雑さや矛盾よりも、「キング・オブ・ポップ」という伝説的なイメージが残ります。

『Michael/マイケル』オリジナル・サウンドトラック(管理人選)
まとめ:ひとりの人間としてのマイケルにも…

もちろん、「伝説は続く…」と幕を引いていることからも明らかですが、本作が描いているのはマイケルの人生の前半部分にすぎません。
様々な製作上の制約はあるとは思うのですが、もし続編が制作されるのであれば(してほしい!)、
次はスターとしてのマイケルだけではなく、ひとりの人間としてのマイケルにもより深く迫ってほしいところです。
【おすすめの参考本】(管理人選)

※出版社コメント:夢多き少年時代、名声による孤立感、著名人との交流、マイケル自身が語った決定版。全盛期の秘蔵写真も収録…。


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