トップシークレットを背負う、女性スパイたちの物語
今記事で紹介するのは、現代の米ロ関係、東西冷戦時代、そして第二次大戦と各々の時代を生き抜いたスパイ、あるいは生き抜けなかった女スパイを描いた映画3選です。
スパイ活動の後ろで見え隠れするのは、いつも国際政治の駆け引き。
時々の政策と思惑に翻弄され、かつ消耗しながらも生き抜くスパイを描いた3作品です。
《目次:女スパイの生きた時代》
今、こうしている時間も某国の使命を負ったスパイは、通勤する電車、繁華街の居酒屋で誰かの隣に座り、何食わぬ顔で呼吸をしているのかも。
今回紹介するスパイ映画のひとつ、『レッド・スパロー』(Red Sparrow)のフランシス・ローレンス監督をして、「アメリカとロシアの対立は、
今日にも通じる現実的な問題だ。」と公言しています。
国のトップシークレットを背負いながらも、時に国に見放されることさえ覚悟してミッションを遂行するすさまじい現実がスパイの世界です。
対米工作向けロシアスパイ
1.ロシアの対米工作向け、女スパイ『レッド・スパロー』
主人公は、ロシア人のドミニカ・エゴロワ(ジェニファー・ローレンス)。
彼女は将来を嘱望されるバレリーナでした。
しかし、彼女の叔父でロシア政府の情報局高官ワーニャに、はめられる形でスパイ養成所に送られます。
ワーニャがはめた罠とは、ドミニカのスパイとしての胆力と精神力を見抜き、あえてバレリーナとしての将来を断つために負傷させるという汚いやり方。
一切の収入を断たれた彼女は、唯一の身内である病弱の母親の治療費を担保に取られ、国家兵器「レッド・スパロー」の道を選択するのです。
主演ジェニファー・ローレンス
●ジェニファー・ローレンス(Jennifer Lawrence)
誕生日:1990年8月15日生まれ
星座:しし座
身長:175㎝
出身:アメリカ・ケンタッキー
スパイ養成所送り
性的な誘惑から武闘スキルまで、スパイ養成所での試練
スパイの素質があったとはいえ、養成所でドミニカに課せられた訓練は壮絶を極めます。
武闘訓練から精密機器類の扱い、そして性的な誘惑の仕方まで…。
多岐にわたるスパイ・スキルを、実践で修得していく過程はなかなか興味深いものがあります。
しかし、ドミニカはすべての項目で優秀な成績を収め、晴れてスパイ名「カテリーナ」の名前で対米工作の最前線へと放たれます。
CIAエージェントとの対峙
因縁のCIAエージェントと直接対峙
カテリーナの究極のミッションは、「マーブル」を見つけること。
「マーブル」とは、ロシア政府内にあってアメリカに機密情報を送る内通者のことです。
そして、カテリーナはマーブルと接点をもつと思われる、アメリカCIAエージェント・ネイト(ジョエル・エドガートン)への接触を試みるのでした。
しかし、CIAのネイトはすでに自分に接近してくるであろうロシアスパイ、カテリーナの情報を事前に知っていたのです…。
■同名原作本
※元CIA局員で、旧作戦本部、現国家秘密本部に在籍していた。33年にわたる勤務期間、海外で国家安全保障に関する秘密裏の情報収集活動に携わり、敵に絶えず監視された地域での工作を専門としていた。(中略)CIA海外支局長を歴任して“ならず者国家”の大量破壊兵器計画に対抗するための隠密作戦計画を管理するとともに、諸外国と連携して対テロ作戦にかかわった。【引用:Amazon】
『レッド・スパロー』まとめ
(ネタバレなし)
ここから始まる、国家の使命を受けたスパイ対スパイの腹の探り合い。
そこには、二人が男女だからこその関係を利用した絶妙な駆け引きがあるのでした。
見どころは、騙したつもりが騙されていたという繰り返しが何度も続きます。
最後のドンデン返しが終わっても、「いや、まだ何か裏があるはず!」といつまでも余韻の続く映画です。
ぜひ、おすすめします。
東西冷戦下で暗躍するスパイ
2.東西冷戦下で暗躍、女スパイ『アトミック・ブロンド』
『レッド・スパロー』は、退路を断たれたヒロインが主役のスパイ映画で、ピリピリとした神経戦が特徴。
それにくらべて、この『アトミック・ブロンド』(Atomic Blonde)はアクション満載の武闘編といったところでしょうか。
しかも、体躯のよいシャーリーズ・セロンの迫力あるアクションが思う存分楽しめる映画です。
映画の冒頭から、瀕死の重傷を負った主人公「ロレーン・ブロートン」が登場。
彼女は、イギリス秘密情報部MI6の女スパイ。
凄惨なミッションを今終えたばかりのロレーンが、上層部に今回の仕事の顛末を語り始めます。
主演シャーリーズ・セロン
●シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)
誕生日:1975年8月7日生まれ
星座:しし座
身長:177㎝
出身:南アフリカ共和国
スパイリスト
世界で暗躍する、スパイたちのリスト!
舞台となるのは、※ベルリンの壁が崩壊する直前のドイツ。
ロレーンのミッションは、世界各国で活動する諜報部員のデジタルリストが仕込まれた時計の回収でした。
MI6のロレーンの同僚ガスコインが時計を追っていたのですが、※KGB(当時のソ連の諜報機関)に先を越されることに。
結果、ガスコインは殺され、時計も何物かに奪われてしまいます。
奪ったKGBスパイは、そのままなんと壁の向こう側、東ベルリンに潜伏してしまったのです。
ロレーンは、ミッションを達成するため、西ドイツを経由し東ベルリンへの潜入を試みます。
しかし、聞きしに勝る「ベルリンの壁」。
そう簡単には超えられません。
■参考:ベルリンの壁とKGB
※これは東ドイツの厳しい歴史の中で、最も驚くべきエピソードの一つだ《エコノミスト》。スリラーよりも手に汗握る。裏切りと挫折を経て勝利に至る、衝撃の実話だ《タイムズ》。【引用:Amazon】
KGBの男-冷戦史上最大の二重スパイ (単行本)
※本書は、伝説のロシア人エージェント、オレーク・ゴルジエフスキーについて、 本人インタビューやMI6関係者証言から、 その至難の諜報人生を克明に辿った英国発の世界的ベストセラーである。1938年生まれのソ連KGBエリート将校が、共産主義の現実に幻滅し、 1974年にイギリスMI6の二重スパイとなる。 以後、その暗躍が20世紀後半の冷戦構造を決定的に変えることになる。
MI6ベルリン支局員
MI6・ベルリン支局からの協力者?
そんなロレーンに協力者として差し向けられたのは、MI6ベルリン支局のデヴィッド・パーシヴァル(ジェームズ・マカヴォイ)。
東西のベルリン事情に精通しているデヴィッドに信頼を寄せるロレーン。
しかし、このデヴィッド、なかなかの曲者だったのです。
ロレーンのベルリンでの行動が筒抜けになる中、彼女は自分に仕組まれた罠にだんだん気付きはじめるのでした。
●ジェームズ・マカヴォイ(James McAvoy)
誕生日:1979年4月21日(おうし座)
身長:170㎝
出身:イギリス・グラスゴー
▶おすすめの代表作品
※一瞬のラブストーリーも、世界の涯てに離れていく二人に胸キュン!
『アトミック・ブロンド』まとめ
(最後のネタバレなし)
スパイと言うだけで、複雑な裏事情を背負って活動するスパイたち。
もしかしたら、デヴィッドが二重スパイかも?
という疑念が映画の途中から感じはじめ、ますます緊張感の高めながらクライマックスへと…。
しかし、この映画、そう単純ではありませんでした。
もし誰かが、三重スパイだとしたらどうでしょう?
最後のドンデン返しに、唖然とする仕掛けがされていたのです。
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第二次大戦下のフランススパイ
3.第二次大戦下、フランス女スパイ『マリアンヌ』
同じアクション・スパイ映画でもこちらは、派手な銃撃戦を見せてくれます。
そして、『レッド・スパロー』よりもさらに神経戦で、かつ『アトミック・ブロンド』よりも深刻な背景をもつのがこの『マリアンヌ』。
原題は『Allied』(同盟)。
第二次世界大戦のヨーロッパ戦線は、アメリカを中心とする連合国軍がイギリス、フランスと同盟を組みナチスドイツと対峙していました。
ヨーロッパを席巻するナチスの侵攻を止めるために共闘。
中でも、フランスの抵抗勢力(レジスタンス)は、ドイツ占領地にスパイを放ち連合国軍との橋頭保とするのでした。
対ナチスドイツ向け偽装夫婦
偽装夫婦で迎えた、対ナチスドイツ向けの女スパイ
そんなフランス人女性スパイ(=マリアンヌ)(マリオン・コティヤール)が、ドイツ占領下のモロッコ・カサブランカで迎えたのは、
連合国軍諜報員マックス(ブラッド・ピット)でした。
二人のミッションは、偽装夫婦に成りすまし在任のドイツ国大使を暗殺すること。
映画の最大の見どころは、初めて出会うマリアンヌとマックスが、どこまで夫婦を「偽装」できるかどうか。
周囲の目のある社交の場より、マリアンヌが「夫婦」にこだわったのは、おそらく誰も見ていないはずの場所。
マリアンヌは、そこであえてマックスにキスを求めるのでした。
結婚そしてスパイ容疑の妻
悲哀のスパイ、物語はここから始まる!
そして、いよいよ決行の日、ドイツ大使出席のパーティー会場で激しい銃撃戦の末、二人は大使暗殺に成功したのです。
しかし、ここまではあくまで映画の序章。
スパイ映画の悲しい物語はここから始まっていました。
ミッションを無事終えた二人は、共にカサブランカを後にするのですが、戦地を離れた二人に芽生えていたのは共に死闘を潜り抜けた戦友以上の絆。
二人は、「偽装」を自ら解き結婚をすることに。そして、二人の間には娘も生まれます。
その後も軍の諜報活動に従事するマックス。
しかし、ある日上官に呼ばれたマックスは耳をも疑う話を聞かされることに。
なんと妻マリアンヌがドイツ軍の二重スパイで、マックスから得た機密情報を流しているというのです。
『マリアンヌ』まとめ
(最後のネタバレなし)
まさか、自分の妻が偽装結婚までした二重スパイだった?
妻を信じ、上官の疑いをなんとしてでも晴らしたいマックスは、妻「マリアンヌ・ボーセジュール」の過去を調べることに。
すると、意外なことがわかったのです。
そこには、前章のロシア人スパイのエゴロワや、MI6のロレーンとはまた違う、悲しい結末が待っていたのでした。
主演マリオン・コティヤール&ブラッド・ピット
●ブラッド・ピット(Brad Pitt)
誕生日:1963年12月18日(いて座)
身長:180㎝
出身:アメリカ・オクラホマ
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《まとめ:女スパイの生きた時代》
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