毎年話題を呼ぶ映画の祭典、アカデミー賞。
中でも、第92回アカデミー賞(対象:2019年)は話題作、秀作が並び立つ激戦でした。
アカデミー賞の部門数は、全部で24部門ありますが、主だった部門でノミネートされた作品と人物は次の通りです。
ノミネートで最多部門作品は、1位『ジョーカー』(11部門)、2位は同数で『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『アイリッシュマン』『1917 命をかけた伝令』(10部門)でした。
これだけ見ても、いかに秀作そろいの激戦だったことがおわかりになると思います。
今回はその中から、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、略して「ワンアポ」(あるいは、「ワンハリ」)を紹介しましょう。
作品賞・監督賞・主演/助演男優賞など10部門ノミネート!
多くの部門で賞獲得が期待され、大本命の評判が高かったのが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』!
ノミネートされた部門は以下の通りです。
作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞、衣装デザイン賞、撮影賞、美術賞、音響編集賞、録音賞の10部門です。
いかがでしょうか!
堂々たるノミネートぶりですね。
もちろん、部門間の優劣はないとはいうものの、映画という作品全体への評価という点では「作品賞」「監督賞」のノミネートは素晴らしい評価といえるのではないでしょうか。
日本通「タラちゃん」、クエンティン・タランティーノ監督
監督賞の対象となるは、あのクエンティン・タランティーノ監督です。
「あの」という意味は、日本通であり日本の知人も多い監督という意味で、あえて形容詞を付けてみました。
自らを、日本語で「タラちゃん」と呼んでとPRするほどです。
これまで9作品を送り出しましたが、映画名を聞けば思い起こす人もたくさんいるのではないでしょうか。
主人公が日本刀で活躍する『キル・ビル』の作風は、見るからに日本映画の影響を受けているのがわかります。
それともう一点、驚くのが脚本賞もタランティーノ監督です。
●クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)
誕生日: 1963年3月27日
身長:185㎝
出身:アメリカ・テネシー州
▶おすすめの代表作品『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
※古き良き時代のハリウッドが、シャロン・テート事件とともに蘇ります。
これについては、実は過去に『パルプ・フィクション』(94)、『ジャンゴ 繋がれざる者』(12)で同賞の実績を持つほどです。
今回の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、9本目の監督作品で「1969年のハリウッド」がテーマ。
暴力も涙も笑いもありの、「タランティーノ」ワールド全開の作品です。
直近の前作、『ヘイトフル・エイト』はこのマガジンで紹介していますのでご覧ください。
参考記事:タランティーノ監督のバイオレンス満載映画!『ヘイトフル・エイト』は雪原の密室殺人!
男優賞:主演レオナルド・デカプリオ、助演ブラッド・ピット
さて、実際に映画を見て面白くて興味がある賞は、やっぱり主演、助演はじめするキャスト陣と役どころ。
見どころを紹介しながら、主だったキャストを紹介していきましょう。
ストーリーは、1969年に実際に起こった「シャロン・テート殺人事件」を題材にしながら、当時のハリウッド映画界のノスタルジーが満喫できるように組み立てられたなんとも楽しい映画です。
主演に、落ち目俳優のリック・ダルトンにレオナルド・デカプリオ(主演男優賞ノミネート)。
この落ち目の雰囲気が漂う演技が素晴らしい!
そして、助演にリックの運転手兼スタントマンのクリフ・ブースとしてブラッド・ピット(助演男優賞受賞!)。
レオナルド・デカプリオの陰の存在でありながら、自らも愛される独特のキャラクターとして登場します。
もう一人、シャロン・テート役にマーゴット・ロビー。
いずれも主役級の俳優ばかりで、これだけでも見応えのある素晴らしいラインナップです。
●レオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)
誕生日:1974年11月11日
身長:183㎝
出身:アメリカ・カリフォルニア州
▶おすすめの代表作品
●ブラッド・ピット(Brad Pitt)
誕生日:1963年12月18日生まれ
星座:いて座
身長:180㎝
出身:アメリカ・オクラホマ
▶おすすめの代表作品
痛ましい「シャロン・テート殺人事件」、追悼映画!
シャロン・テート殺人事件とは、当時駆け出しの女優だったシャロン・テートが自宅で知人らとともに惨殺された事件です。
いまだに謎の残る事件で、彼女が妊娠中だったこともあり世間の大きな注目を集めました。
映画の最初はリックとクリフのやりとりが中心ですが、後半以降、知らず知らずのうちに事件の核心に迫っていきます。
シャロン・テート事件が凄惨だっただけに、マーゴット・ロビー演じる可愛いシャロン・テートにはなんだか癒されます。
1969年というのは、今からほぼ50年前。
音楽、ファッション、街並み、価値観、どれをとっても今とは違うひと時代前の世界が蘇ります。
映画の中に自然と出てくるこれらの風景は、逆に新鮮ささえ感じさせてくれます。
アル・パチーノを筆頭に、オール・スター・キャスト!
この映画のもうひとつの見どころは、なんといってもバラエティに富んだ、オール・スター・キャスト!
最近では『アイリッシュマン』に登場したアル・パチーノが、レオナルド・デカプリオとの絡みで渋いところを見せてくれます。
また、若手のマーガレット・クアリーは、「プッシーキャッツ」と呼ばれる、当時の流行だったヒッピー役で登場。
ダコタ・ファニングは、これもヒッピーの教祖の世話役。
どちらかといえば汚れ役で、「こんなところに出てくるんだ!」という場面に登場、ハッとさせてくれます。
さらに、ブルース・リー、スティーブ・マックイーンまで登場。
ただ、この二人は故人なのでそっくりさんが登場しますが、往年のファンにはたまらない存在。
一瞬、ドキッとすること間違いなし!
まとめ
ここまでいろいろと書いてきましたが、一言でいえばいかにも「映画らしい映画」です。
その娯楽性や、次々とテンポよくストーリーが進んでいくワクワク感と最後のクライマックスへ収斂されていく流れは全く飽きさせません。
かといって、「ワンアポ」がまったく思想のないお祭り映画かといえば、全然そんなことはありません。
なんといっても、映画人(ファンを含み、映画に携わる人すべて)の聖地、ハリウッド賛歌の熱い思いをあちこちで感じさせてくれます。
ぜひ、ご覧ください!
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