
イギリスの歴史を語る時、女王なくしては語れません。
現在にあっても、イギリス王室のニュースはいつも注目されています。
さて、今回紹介する映画『エリザベス』は、在位が1558年~1603年の「エリザベスⅠ世」の物語です。
映画の公開は少し古く1998年。
人気のイギリス王室の歴史映画、たとえば『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』(18)や『女王陛下のお気に入り』(18)を観る時に、今作を観ておくとさらに興味が深まりおススメです。
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/blanchettcatherine/)
あらすじ:25歳にして即位、激動のイングランド女王

主演は、ケイト・ブランシェット。
数々の映画で、主演女優賞、助演女優賞などにいつも名を連ねる名優ですが、今作はケイト・ブランシェットが20代の時の作品です。
この映画でも多くの映画賞で主演女優賞を獲得し、一躍トップスターとして名を挙げました。
エリザベスがイングランド女王として即位するのは25歳ですから、ほぼ同じ年齢だったわけです。
映画では、即位前の若くて初々しい時代から、取り巻きの貴族の様々な陰謀に弄されながらも次第に影響力を強めていく過程まで描かれています。
一生独身で過ごしたことでも有名で、「ヴァージン・クイーン」という言い方をされることも。
周囲のすすめる政略結婚を嫌う経緯や、幼なじみロバート・タドリー伯(ジョセフ・ファインズ)との恋愛を通じて彼女の特徴的なキャラクターが明らかにされていきます。
●ケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)
誕生日:1969年5月14日生まれ
星座:おうし座
身長:174㎝
出身:オーストラリア
▶おすすめの代表作品
※『エリザべス ゴールデン・エイジ』の2作は、イギリス王室を知る上でもぜひ見ておきたい映画です。
即位直後は安定しない治世、二分されていたブリテン島…

エリザベスの即位に際しては、彼女を庶子(非嫡出子)あるいはプロテスタントの理由で姉メアリー1世から疎まれ、彼女を後継の女王にすることにはかねてより猛反対。
一時はロンドン塔に幽閉されるなど虐げられた存在でした。
子供のいなかったメアリー1世の死後にかろうじて即位するも、支持者の少ない彼女の短命を予想する者ばかりで、即位直後は安定しない治世が続きます。
当時のブリテン島は、北がスコットランド、南はイングランドという2つの国がありました。
北のスコットランドには、夫と死別してフランスから出戻ってきたメアリー・スチュアート女王が君臨。
イングランドの正統な後継女王は自分だとして、スコットランドから攻め込まれていました。
●ジョセフ・ファインズ(Joseph Fiennes)
誕生日:1970年5月27日生まれ
星座:ふたご座
身長:183cm
出身:イギリス・イングランド
▶おすすめの代表作品
※ケイト・ブランシェットが演じた「エリザベス」の最愛の男性を演じます。存在感のある脇役として印象に残ります。
現在でいえば、スコットランド対イングランド

このスコットランド対イングランドの、二人の女王・メアリー対エリザベスが女王の正統性を争う姿を描いた映画が『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』です。
メアリー女王をシアーシャ・ローナン、エリザベス女王をマーゴット・ロビーと、最旬の女優が登場し女の戦いが繰り広げられます。
この映画の原題「Mary Queen of Scots」からわかるように、メアリー女王から見た当時の二人の確執が描かれています。
一旦は、イングランドを負かし優位に立つメアリーですが、取り巻きの貴族の策略にはめられ次第に影響力を失っていくプロセスは悲しいものがあります。
逆にエリザベスがなんとか苦境を脱することができたのは、スコットランド内の内紛や重臣の裏切りによるメアリーの失脚があったからだともいえます。
スコットランド対イングランドといえば、まるでライバル心をむき出しにするラグビーの試合のようですが、当時からイギリス本島ブリテン島には二つの国があり覇権を争っていました。
エリザベスの結婚観と恋愛、政略結婚を無視…

さて、基盤の弱いエリザベス女王を支える側近たちの課題は、早くエリザベスに結婚させ世継ぎを作らせること。
当時の常識は、対岸の強国フランスやスペインとの融和を考えた政略結婚でした。
女王の重臣ウィリアム・セシルは、エリザベスを結婚させようと暗躍し候補者を紹介するもエリザベスは一向に従いません。
むしろ、エリザベスの関心事は幼なじみだったタドリー伯との刹那的な男女関係でした。
二人の関係は周囲が知る公然の事実であり、身分が高くなく、なにより妻のあるタドリ―と付き合うエリザベスに多くが眉をひそめていました。
危ういエリザベス女王を、絶対女王へと導いた者

そんな中、即位後のエリザベスをなんとか支えてきた貴族たちですが、女王に見切りを付け失脚を企むものと、影のように寄り添うものとに別れてきます。
失脚を企むのは、ノーフォーク公。女王を支えるのは、影の重臣ウォルシンガム。
映画の終盤は、この二人の陰謀合戦が見どころです。
特にウォルシンガムは、王室の諜報機関のような役割をもっており、何度も暗殺されかけるエリザベスを救うのです。
当初、長くは続かないであろうと思われたエリザベスの時代は、彼の出現により失脚を狙う連中もあぶり出していきます。
まとめ:あわせて観たい『女王陛下のお気に入り』

映画『エリザベス』と『二人の女王』をていると、女王を担ぐ周辺貴族や取り巻きたちのあさましい権力争いに驚きます。
なんとか女王にこびへつらい気に入られようとする者、反対に違う君主の擁立に動こうとする者など魑魅魍魎の世界に辟易します。
「お気に入り」と言えば、王室映画のもうひとつのおススメは『女王陛下のお気に入り』。
17世紀初頭のアン女王の時代に、女王に「こびへつらう」二人の側室が描かれています。
滑稽さと痛快さで、また違った王室の歴史観が堪能できます。
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