■目次・後半~心温まる映画 8選~
5.Lady Bird
『レディ・バード』、誰にもあったあんな時代
多感な17歳の女子高生が、自分のことを呼ぶときはこう呼んでと名付けた名前。
それが、「レディ・バード」でした。
特に何かと口うるさい母親にも、徹底して自分の本名クリスティン(シアーシャ・ローナン)と呼ばせません。
そんな、反抗期の典型のような彼女が学園生活や男友達との交流を通じてなんとか成長していく姿が描かれています。
見る人は、「私にもそんな時があったよね。」と共感を呼ぶ映画として話題になりました。
自称「レディ・バード」の毎日は、やりたい放題。
見ていて危なっかしさともどかしさでいっぱいです。
しかし、高校生活も終盤になり、進学のことでは急に神妙になり悩むという可愛い面も。
あまり勉強しなかったくせに、地元を離れたい一心で母親の反対するニューヨークの大学を志望していたのです。
そんなレディ・バードの将来が気になります。
助けてくれたのは、彼女をじっと見守っていた父親でした。
なんとか新しい門出のできた「レディ・バード」でしたが、新天地で初めて出会う男の子への自己紹介を聞いた時、ホッとする瞬間!
彼女は、自分のことをなんと言ったのでしょう!
作品詳細:卒業・入学式、旅立ちの日のおすすめ映画『レディ・バード』
6.The Bra
『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』青いブラのメルヘン
こちらの映画は、これまで紹介した心温まる映画とは少し趣が変わります。
大きな特徴は、全編を通じて一切セリフがありません。
それが逆に登場人物の温かさを際立たせ、映画全体を微笑ましく仕上げているのです。
「ブラ」は、持ち主がわからなくなった青いブラジャーのことで、マジメな初老の男が一生懸命に所有者を探すというちょっと変わった物語です。
一体、「ブラ」に何があったのでしょう。
主人公となる初老の男は、アゼルバイジャンの草原を走る貨物列車の運転手ヌルラン(ミキ・マノイロビッチ)。
優雅に山あいを走る時はいいのですが、途中の難所は、洗濯物が線路を跨いで干された街中でした。
一日の勤務を終え列車を清掃するヌルランですが、列車の取っ手に引っかかったブラを発見します。
街中をすり抜けた時に、きっと引っかけたのかもしれません。
定年が近い真面目なヌルランは、仕事を最後まできっちりしておきたくて、捨てればという同僚の言葉を無視。
翌日、通過した街中に戻りブラの持ち主探しを始めるのでした。
民家を一軒一軒回り、「このブラに心当たりはありませんか?」と尋ねまわります。
ブラを見せた途端、変態扱いされ門前払いを食らうこともあれば、キレイなブラに興味を持ち試着を始める若い女性もあらわれます。
しかし、一向に現れない持ち主にさすがのヌルランも疲れ切った様子。
とぼとぼと線路沿いを歩いていると、視線の先にあるものを見てヌルランはハッと喜びます!
大人のメルヘンのなんとも嬉しい結末に出会い、ヌルランの姿にホッとするのは私だけでしょうか。
作品詳細:『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』アゼルバイジャンに溶け込むメルヘン
7.Green Book
『グリーンブック』、天才ピアニストと元用心棒
この映画『グリーンブック』のテーマは、いまだ根強く残る黒人差別の問題です。
しかし、見終わった後に残る印象は差別問題を超越し、もっと大事な人間対人間の心温まるふれあいに感動します。
長旅を終えた二人のエンディングのシーンに、感極まって下さい。
時代は1960年代で、黒人差別が今よりもっとあからさまだった頃。
黒人の天才ピアニスト、ドクター・ドナルド・シャーリー、通称ドン(マハーシャラ・アリ)が、特に差別のひどいアメリカ南部へ一か月の興行ツアーに出る話です。
一緒に同行するのは、運転手募集広告で高額というだけで応募してきたイタリア系のトニー(ヴィゴ・モーテンセン)。
ナイトクラブをクビになった元用心棒で、ピアニストの通称ドンとは正反対の粗暴な男でした。
トニーは、必ずクリスマス前までには帰らせてほしいという約束を取り付けて出発します。
南部各地のコンサート会場を転々とする車中は、ドンとトニーは二人きり。
趣味も価値観も違う二人の会話は、滑稽そのもので見どころです。
なんの気遣いもせず話しかけるトニーに、ドンのうんざりした表情に先が思いやられます。
しかし、意外なことに黒人ドンがコンサート会場で受けひどい差別に対して、トニーは感情もあらわに怒り出します。
逆に、ドンがもういいからと、なだめに回るぐらいでした。
そんなことから、次第にドンとトニーはお互いに惹かれだすものを感じます。
コンサートも終盤にさしかかり、約束のクリスマス前の到着を目指して二人は旅路を急ぎます。
途中、ドンは家族のあるトニーを気遣い、家で帰りを待つ妻に手紙を書くように勧めます。
ところが、手紙など書いたことのないトニー。
文章の手ほどきをドンから教えてもらうシーンは、なんとも心が和みます。
さあ、後半の強行スケジュールをこなしやっとたどり着いたトニーの我が家。
そこには、彼の帰りを今か今かと待つファミリーがいるのでした…。
作品詳細:アカデミー賞受賞、黒人差別の『グリーンブック』を観ると、ますます映画ファンに!
8.Lion
『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』、奇跡の実話
さて、最後に紹介する『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』は奇跡の物語といっても過言ではない実話映画です。
タイトルが示す通り、25年目にしてやっと生家に戻った青年の話です。
その青年とは、インド出身でオーストラリアで育った実在のサルー・ブライアリー(デーヴ・パテール)です。
インドには5歳まで家族一緒に住んでいたのですが、兄と近くの駅舎近くまで出掛けた時、間違って乗った長距離列車が彼の運命を変えてしまったのです。
広大なインドを横断し、降りた駅は家から数千マイル。
以降、話す言葉ももどかしく、サルーはストリートチルドレンになってしまいます。
その後、孤児院を経由し養子縁組で出会ったのは、なんとオーストラリアに住む親切なブライアリー夫婦でした。
母親スー(ニコール・キッドマン)たちの温かい愛情に恵まれすくすくと育ったサルー。
大人になったサルーは、ある日、インド特有の揚げ菓子のにおいに出会います。
これこそ、サルーが小さい頃、貧しくて食べられなかった懐かしいお菓子。
これをキッカケに、自分のルーツ探しにいてもたってもいられなくなるのでした。
さあ、5歳の時の断片的な記憶は繋がるのでしょうか?
育てのスー家族も友人たちも、一緒に故郷探しに協力してくれました。
そして、今の時代だからこそ記憶を繋いでくれたのは「Googleearth」でした。
細い糸を一本、一本と手繰り寄せながら記憶を紡いでいくとそこには奇跡が待っていたのです。
(映画の最後の映像は、実際の感動の再会シーンとなっています。)
●ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)
誕生日:1967年6月20日(ふたご座)
身長:180㎝
出身:ハワイ~オーストラリア
まとめ
小さな子どもも、成長した大人も、また男も女も、それぞれの場所でみんな一生懸命生きている姿が描かれています。
主人公はじめ、助け合う人たちにしばらく自分を投影してみると面白い人生ドラマが出来上がります。
ぜひ一作、一作を丁寧に見てもらえれば、期せずして込みあげてくるものをきっと感じることでしょう。
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