母について考え、思いを馳せる「母の日」
優しい母親、強い母親、可愛い母親といろいろな形容詞で表現される母親。
あなたにとって母親とは?
「母の日」が近づくと、世間がザワつくのはプレゼントやメッセージのことばかり。
母の日はあくまできっかけで、今お母さんの人も含め、この日は「母」について考える日にしませんか?
いつまでも愛し続けていたい母親にフォーカスすると、浮かんでくるのは粘り強く頑張るお母さんではないでしょうか?
今記事のテーマは、「強いお母さん」。
そんなお母さんが描かれた3作品を紹介したいと思います。
実話ベースも小説原作もありますが、いずれも衝撃の強さに感動せずにはいられません。
《「強い母」の映画:目次》
1.The Secret Scripture
『ローズの秘密の頁』、色情狂にされ精神病院で妊娠
最初からショッキングな映画、それは『ローズの秘密の頁』です。
しかし、最後まで子を思う母親の執念に心が揺さぶられます。
第二次大戦中の不安な世相のアイルランドで、主人公ローズ(ルーニー・マーラ)は、産後間もないわが子を殺したとして精神病院に収監されていました。
閉鎖的な田舎町での事件で、戦犯疑惑のある男性マイケルとつきあっていたことが発端でした。
美人だったローズへのやっかみもあり、彼女はなんと色情狂にまでされてしまったのです。
必死の抵抗は逆効果となり、彼女はなんと精神病院に隔離。しばらくして発覚したのが妊娠でした。
堕胎するか、病院で産んでもいいが一緒には暮らせないと病院側から究極の選択を迫られます。
●ルーニー・マーラ
誕生日:1985年4月17日
身長:160㎝
▶おすすめの代表作品
※切なさがほとばしる表情が、とってもかわいい演技派女優の代表!
海岸の暗い洞窟で、石を振り上げていた?
しかし、ローズが選んだのはそのどちらでもなかったのです。
臨月を迎えると同時に病院を抜け出し、ひとりで出産するために海岸沿いの洞窟に逃げ込んだのです。
ローズに目をかけていたゴーント神父(テオ・ジェームズ)が彼女の発見。
連れ戻そうと近づいた瞬間、ローズは手に持った石を振りかざし赤ん坊を一撃していた…。
神父ともう一人の目撃者がいて、この証言が彼女を将来にわたり子供殺しの烙印を押してしまうのでした。
しかし、神父自身がローズに必要以上にまとわりついていた経緯もあり、映画の最後に目撃の真実が暴かれることになります。
40年後、再診で訪れた医師に渡された聖書
時は流れ、40年ほど経過したある日、病院が老朽化したため全員、転院しなければならなくなります。
転院にあたって全員を再診するためにやってきたのは、精神科医スティーヴン・グリーン(エリック・バナ)。
ローズ(40年後:ヴァネッサ・レッドグレイヴ)の入院の経緯を看護師から聞き、いざ対面するのですが、グリーン医師は妙な違和感を感じたのです。
ローズから差し出されたのは、一冊の擦り切れた聖書。
頁(ページ)を開くと、余白にびっしりと文字が並んでいたのです。
聖書に綴られた苦しみ、感動は突然にやってくる!
(最後のネタバレなし)
書かれていたのは、ローズが愛し合っていたマイケルと無理やり離された時の経緯。
そして、「子どもを絶対に殺していない」、「息子が必ず助けに来てくれる」とありました。
実はローズは入院して以降、自分は正常であると抵抗し続けていたのです。
そのたび無理やり施される、沈静化のための電気ショック。
きっともうろうとする意識の中で、自分の信念を書き綴っていたのでしょう。
これを読んだグリーン医師は、ローズが入院した経緯に疑問を持ちはじめ、聖書に書かれた手記と入院記録を照らし合わせることにします。
すると、「子供」に関して、驚くべく事実に直面。
最後は、母親の祈りにも似た執念が実るという奇跡に行き当たりきっと涙が止まらなくなることでしょう。
2.Lion
『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』、母に会いたい!
『ローズの秘密の頁』が、40年という歳月を経て「わが子」との再会を願い続けた強い母親なら、今作、『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』は、母子の再会に25年を費やした奇跡の物語です。
こちらは、実話に基づいています。
冒頭の画像(https://www.facebook.com/LionMovie/)は、主人公である子供サルー(サニー・パワール)をしっかり抱きしめる母親スー(ニコール・キッドマン)がいますが、彼女は育ての母だったのです。
肌の色が違うのもそのはず、スーはオーストラリア人、子供のサルーはインド人。
実は、サルーの過去はストリートチルドレンで、預けられていた孤児院からスー一家が養子として迎えていたのでした。
いったい、何があったのでしょう。
また、サルーの本当の母親はどこでどうしているのでしょう。
●ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)
誕生日:1967年6月20日生まれ
身長:180㎝
出身:ハワイ~オーストラリア
▶おすすめ代表作
※エンディングのニコール・キッドマンはさすが見どころ!
まさかのストリートチルドレン、なってしまった経緯
インドで貧しいながらも家族と楽しく暮らしていたサルーが、5歳の時、ストリートチルドレンになったのはこんな悲しい経緯がありました。
兄に連れられ石炭拾いに出かけたのは、家の近所の鉄道貨物の駅舎。
兄から駅のベンチで待つように言われたのですが、サルーは寝入ってしまいます。
そして、目が覚めたサルーは、まだ戻ってこない兄を探すうちに停車中の貨物列車にうっかり乗ってしまうのです。
これが、兄そして母親たち家族との25年の別離の始まりでした。
大人になったサルー、きっと母親が心配している!
動き出した列車が、広大なインドの中央部を延々と走る長距離列車だったのを5歳のサルーが知る由もありません。
次の停車駅に停まるまで、移動した距離は1600キロ。
降りた時、それがまったく見知らぬ土地であることだけは5歳のサルーでも理解できました。
出会う人に助けを求めるのですが、多言語のインドではすでにサルーの使う言葉が通じない地域まで来ていたのです。
あとは、ストリートチルドレンとして知らない土地を転々とするだけのサルー。
その後預けられて孤児院が、子供がなくて養子を探すスー一家との出会いでした。
赤い揚げ菓子の記憶、グーグルアースが繋ぐ
サルーが迷子として転々とした経緯などまったく知らない中で、スー達は、新しい家族として育ててあげるのでした。
そして、それから25年。
立派に成人し30歳になったサルーは、育ててくれた母親スーが本当の母親であり、自分のルーツはタブーのようにしていました。
しかし、ある日のこと、ふとしたことからかすかな記憶が忽然と蘇ります。
それは、友人の家でパーティーに出された、インドによくある赤い揚げ菓子。
その色、匂いは、小さいころ欲しかったけど貧しくて買ってもらえなかったお菓子…、そんな記憶が突然蘇ったのです。
ルーツ探しに協力する友達、そして実母との再会!
(最後のネタバレなし)
それ以降、サルーの頭の中は「故郷インド」のことで頭がいっぱいになります。
悲しいのは、そんなサルーを見て自分たちから離れていくと感じるスー達家族。
取るに足らない5歳の時の記憶からの生まれ故郷探し、その先にある実母との再会は到底無理だと思われていました。
そんな時、友人の一人が「グーグルアース」で記憶の断片を繋げないかと提案してくれます。
列車に乗っていたおおよその時間、住んでいた土地の地形などかすかな特徴から「出発した駅名」に迫る過程は、次第に込みあげてくるものが…!
「25年目のただいま!」となった、実母との再会をしっかり見届けて下さい。
そして、「サルー」という名前から明かされる映画タイトル「ライオン」の意味を知った時、さらに深い母の愛情を感じずにはいられません。
3.Three Billboards Outside Ebbing, Missouri
『スルー・ビルボード』、娘のレイプ犯を探す母親
『スリー・ビルボード』は、第90回のアカデミー賞で7部門にノミネートされた評判の映画です。
観ている人も多く、さまざまな観点から映画評コメントが寄せられた作品です。
娘が何者かによってレイプされ、のちに焼かれるという痛ましい事件でありながら、7か月経っても犯人が捕まらないことに業を煮やした母親ミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)が戦う話です。
映画の終わり方として、犯人は結局誰だったのか不明のまま終わっているため、映画の感想は「真犯人」捜しや「3つのボード」の本当の意味などを考察したものが多いのも事実。
しかし、そんな中で娘のレイプ犯を探し続ける「強い母親」の言動に賛同する声が多くあります。
●フランシス・マクドーマンド(Frances McDormand)
誕生日:1957年6月23日生まれ
出身:アメリカ・イリノイ州
身長:165㎝
▶おすすめの代表作品
※主演フランシス・マクドーマンドがアカデミー賞主演女優賞を受賞した名作です。
捜査が進まない、警察へのいら立ちの結果
主人公ミルドレッドが取った行動、それはいまだに犯人を逮捕できない地元の警察署長を非難する巨大な広告看板でした。
タイトルのスリー・ビルボードは、まさにこの3枚の看板のこと。
大看板に書かれていたのは、「娘はレイプされて焼き殺された」「未だに犯人が捕まらない」「どうして、ウィロビー署長?」というもの。
看板が設置された場所は街の幹線道路沿いだったので、ほとんどの住民がこれを目にすることになります。
ミルドレッドのやり方に賛否両論が起こり、彼女は一気に街の話題の中心になります。
地元や警察を敵に、なお悪態をつく母親の本音は?
一番驚いたのは、もちろんウィロビー署長(ウディ・ハレルソン)。
せいいっぱい努力をしていることを彼女に訴えますが、ミルドレッドは悪態をつき非難をやめません。
これを見た署長の部下であるディクソン巡査(サム・ロックウェル)が間に割って入ります。
しかし、ディクソンは必要以上に署長を庇い、ミルドレッドの気持を察する気配など全く感じられない男。
二人の罵り合いはますますエスカレート。
ついには、警察署の焼き払い事件にまで発展します。
●ウディ・ハレルソン(Woody Harrelson)
誕生日:1961年7月23日
身長:177㎝
出身:アメリカ・テキサス
▶おすすめの代表作品
※太平洋戦争の日米決戦、雌雄を決したプロセスが見られます。
※ウディ・ハレルソンが魅せる、弱小新聞社の記者魂を好演!
憎まれることなど、決して望んでいないはず…
街の人たちは、ウィロビー署長が慕われていただけに、「なにもそこまでしなくても!」という声が多くあったのも確か。
本来なら同情されてしかるべき被害者の母がどんどん孤立し、狂暴化していく様子はこの映画の見どころです。
あえてそこをクローズアップさせることで、母親の悲しみの深さを狙っているような気もします。
(とにかく、ミルドレッドを演じるフランシス・マクドーマンドの演技が素晴らしい。)
(少しネタバレあり)そんな中、映画の後半に入ったところで、ウィロビー署長が遺書を残して自殺してしまいます。
映画では謎となるところですが、このことで物語のムードは一変します。
また、ミルドレッドの別れた夫が登場し、殺される前の娘にスポットが当たることで母親の悲しみが次第に見えてきます。
憎まれることなんか決して望んでいない、あるのは一つ、娘の殺害者に辿り着かない母親の無念さだけなのではないでしょうか。
エンディングは、その無念さをそっと包んでくれる終わり方に強い母親を感じて、ホッと安心したのは私だけでしょうか。
まとめ~背景にある愛情の「強さ」~
《「強い母」の映画:まとめ》
「強い母親」を切り口に紹介した3つの映画、いかがでしたでしょうか。
ぜひご覧になって、この記事を読み返してもらえればうれしいです。
それぞれ、母親の愛情が発露される方法は三者三様です。
「じっと待つ」「子供を失う」「子を思い続ける」「当たり散らす」、キーワードはいくつも見えてきますが、結局、これらの背景に愛情の「強さ」がないことにはどれも成立しません。
そもそも、母親には強さが備わっているものと考えるのは甘えすぎでしょうか。
母親として見る?母親を子供の立場から見る?
ぜひ、母の日をきっかけに参考にして下さい。
最後に、Youtubeで見つけたこんな動画を紹介しておきましょう。
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