世界的カーレースに挑んだ、男臭い歴史が再び
世界的に有名な、自動車耐久レース「ル・マン24時間レース」が、再び映画となりました!
「ル・マン」といえば、往年のファンには、1971年の『栄光のル・マン』(スティーブ・マックィーン)を思い起こす人がいるかもしれませんね。
今作のタイトルは、『フォードvsフェラーリ』。
ヨーロッパ各国でのタイトルが、『Le Mans 66』となっているように舞台となったのは、1966年です。
カーレースとなると、映画的には『ワイルド・スピード』のような派手なカーアクションを想像する人も。
もちろん、実話ベースの映画ならではの、ギリギリの緊張感が漂うカーレースシーンも期待通りです。
一方で、さらなる見どころは、「栄光のル・マン」に命がけで挑戦した男たちの人間臭さだったのです。
クリスチャン・ベールと、マット・デイモンのW主演
今作の主人公は、ひとりは、フォード車のレースドライバーとしてルマンに挑戦した実在のケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)。
もうひとりは、倒産近い整備工場でくすぶるケンに目を付け、ル・マンという晴れ舞台に押し出したカーデザイナーキャロル・シェルビー(マット・デイモン)。
半世紀前の出来事とはいえ、二人はノスタルジーどころではない、すごい臨場感で映画に引き込んでくれます。
●クリスチャン・ベール(Christian Bale)
誕生日:1974年1月30日(みずがめ座)
身長:182㎝
出身:イギリス・ウェールズ
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●マット・デイモン(Matt Damon)
誕生日:1970年10月8日(てんびん座)
身長:178㎝
出身: アメリカ・マサチューセッツ
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※火星でじゃがいもを栽培した男!そして奇跡の脱出劇とは?
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さらに映画をドラマティックに盛り上げてくれるのは脇を固めるキャスト陣です。
ケンとキャロルの二人に、会社の命運をゆだねることになったフォード社の幹部連中に注目して下さい。
世界のマーケットを舞台に、し烈な競争を繰り広げる自動車メーカー。
アメリカのフォード社と、イタリアのフェラーリ社にはこんな経緯があったのです。
フォード対フェラーリ、因縁の対決とは?
ル・マンの歴史は古く、1923年にさかのぼりますが、1960年代まで優勝した自動車メーカーはヨーロッパばかりでした。
イギリス・ジャガー、フランス・ブガッティ…そして、この映画の舞台となる60年代の初めといえば、圧倒的にイタリア・フェラーリ社の時代が続いていました。
一方、今作で登場するフォード社は、アメリカを代表する大自動車メーカーで創業者の後を継いだヘンリー・フォード二世(トレイシー・レッツ)が君臨していました。
彼の課題は、戦後のベビーブーマー世代へ新たにフォード・ブランドを訴求できるイメージ戦略。
そんな中で、フォードは「フェラーリ」に目を付け買収の触手を動かすのでした。
買収の交渉役となったのは、社の№2であったリー・アイアコッカ(ジョン・バーンサル)。
カーアクションへの期待は映画の後半に譲るとして、前半の見どころはビジネス交渉のシーン。
なかなか見ごたえがありますよ。
フェラーリ買収に失敗、フォードの一大決心!
フェラーリ社の買収が失敗に終わり、状況をヘンリー・フォードに報告する副社長リー・アイアコッカ。
フェラーリが何を言ったのか!、とフォード二世は副社長に迫ります。
経緯を隠さずに話すリーの口から出た言葉は、フォード社そしてフォード二世を徹底的に愚弄するものでした!
しばらくの沈黙が続いた後、ヘンリー・フォードが感情を押し殺して言い放った言葉。
「優秀と言われるエンジニア、そしてレーサーを全部かき集めて来い!金は出す!」
フォード二世の脅迫のような特命は、「ル・マン」でフェラーリを完膚なきまで打ちのめせということでした。
ル・マン優勝経験のある、元レーサーといえば!
リー・アイアコッカがすかさず交渉したのが、カーデザインなどを事業とするキャロル・シェルビー。
しかし、キャロルはただのカーデザイナーではなかったのです。
アメリカで唯一、ル・マン優勝(車はイギリス車・アストンマーティン)の経験を持つ元レーサーですが、心臓病のため以降はレーサーを断念した経緯があります。
アメリカ車として初めてル・マンを制覇し、フェラーリ社に一泡吹かせたいフォード社の野望とキャロルのくすぶっていた夢が合致。
そしてキャロルは、レーサーとしてその実力に目を付けていたケン・マイルズを推薦します。
車を知り尽くした男が、レースへの誘いをためらった理由
推薦されたケン・マイルズは、自ら経営する工場で車の整備をする傍ら国内レースに出場していました。
彼は、マシーンとして車の品質には徹底的にこだわり、車を知り尽くした上でレース展開をするという男。
頑固で変わりモノだったのですが、キャロルが目を付けたのは車の知識とドライビング・テクニックでした。
しかしケンは、フォード車でル・マン出場をしてみないかと誘われた時しばらくためらいます。
理由は、大企業の中で自分の意見なんか所詮、通らないと言うのでした。
ガンコ者を説得した妻、その驚くべき方法とは?
返事を保留し、いつまでも煮え切らないケンの尻を叩いたのは、妻のモリー(カトリーナ・バルフ)でした。
常にケンの良き理解者であるモリーは、ある日ケンを横に乗せたドライブで唐突に問いかけます。
このシーンは見どころですよ!
モリーから愛されていたケンの横顔を見ることができます。
それは、資金繰りに困る工場の窮状を知らないのか、フォード社からの高給な誘いに一向に返事をしないケンに本音を吐かせようとしたものでした。
呑気にチップスをかじり、生返事ばかりのケンを横にしてモリーは運転する車を急発進させたのです!
制止するケンを無視し、あわや正面衝突!
という状況の中で、ついにケンは本音を吐きます。
●カトリーナ・バルフ(Caitriona Balfe)
誕生日:1979年10月4日(てんびん座)
身長:177cm
出身:アイルランド
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目指す「ル・マン24時間」は、過酷そのもの
叩き上げのレーサーと、ル・マンを知り尽くした男の強力タッグがついに実現!
一方、フォード社が社運をかけて投入したのがフォード・GT40でした。
二人が組んで挑戦した初年度以降、試行錯誤の連続で、この車にさまざまな改良を加えてル・マン優勝へ照準を合わせていきます。
ただ、残念なのは味方であるはずのフォード社の幹部が、さまざまな横やりを入れ出したこと。
ケン・マイルズのドロ臭いイメージが気に入らない副社長レオ・ビーブは、なんとケン・マイルズ降ろしを始めたのです。
ここは、映画後半の見どころです。
烈火のごとく反発するキャロル・シェルビー、その取った行動に感動します。
それはヘンリー・フォード会長への抗議と同時に、ケン・マイルズとの信頼関係を取り戻すための行動だったのです。
最高のエンディング・シーンに感動!
さて、何度もくじけそうになりながらも、再起して挑んだ「Le Mans 66」。
最後の最後までちょっかいを出す副社長には本当にイラ立ちますが、それを乗り越えたキャロルとケンのコンビネーションには感動します。
エンディングに近いシーンでは「対フェラーリ」の緊迫のレース展開が見られます。
まさに、手に汗握る瞬間をしっかり見届けて下さい。
しょっちゅう喧嘩をしながらも、決して信頼関係を崩さなかった二人の男。
そして、二人を支えたレーシング・スタッフの素晴らしいチームワークがビシビシと伝わる最高の映画です。
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