イギリス人俳優でイケメンと名高いジャック・オコンネル、演技派女優ローラ・ダーン主演の、90年代に実際に起こった冤罪事件を元に描かれた社会派ドラマ映画。
原題『Trial By Fire』、直訳すると「火による裁判」なのですが、邦題は『炎の裁き』と付けられていて、映画の真意が分かりづらいのが残念です。
監督は『ラスト・サムライ』『ブラッド・ダイヤモンド』などの名映画を手がけた、エドワード・ズウィック。
子殺し冤罪事件、実話を元に描くストーリー
1968年アメリカテキサス州で、3人の幼い子供を放火で殺害した罪で死刑判決を受けたキャメロン・トッド・ウィリンガム死刑囚の実話ベースの物語となっています。
無罪を訴え続けた彼ですが、無念にも2004年2月17日(享年36歳)に死刑は執行されてしまいました。
しかし死刑執行後、キャメロンの放火火災ではない事が判明。
冤罪で死刑に処されるまでの絶望感、もしかしたら無罪を証明出来るかもしれない期待で揺れ動く主人公トッドを、主演のジャック・オコンネルが素晴らしい演技で表現しています。
死刑制度については人によっていろんな考え方があるかと思いますが、間違う事もあるのが人間だとしても、決して間違ってはいけないこともあるのだと気づかされる映画です。
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見どころ① 最初から放火犯だと決めつけられていた…
妻のステイシーが働き、その頃では珍しい専業主夫をしていたトッド。
火災に気づきなんとか家の中にいる3人の娘たちを救い出そうとしますが、錯乱状態となった彼は車を押して移動させ、炎に包まれている家の中に入ることが出来ず、三人の愛娘は焼死。
錯乱状態になっていたトッドを見ていた隣人の証言、火事を調べていた調査官の思い込み、刑務所で同房だった囚人の偽証。
これらにより、妻のステイシーがどんなにトッドが娘たちを愛していたかを証言しても、裁判は不利な方向へとどんどん進んでいくのです。
見どころ② トッドに希望をもたらすエリザベスとの出会い
囚人仲間にTCAPD(テキサス死刑廃止連盟)を教えてもらったトッド。
そこでエリザベスと出会い、彼の無実を信じるエリザベスの調査により冤罪が晴らせるかもしれない希望が出てきます。
しかし死刑執行日を告げられ、あきらめと期待の狭間でトッドの気持ちが揺れるシーンは胸を揺さぶられるでしょう。
主要キャストをご紹介
ジャック・オコンネル/トッド・ウィリンガム役
愛する愛娘を火事で失い悲しみにくれる暇もなく、放火の疑いで逮捕され裁判にかけられる夫トッドを演じるのはジャック・オコンネル。
筆者も二人の子を持つ母親ですが、このような凄惨な事件で子供を救えなかった場合、自責の念で後を追いたい気持ちになるかもしれません。
ですが、自分で死にたいと思う気持ちと、放火犯として死刑を言い渡されるのは絶対的に違うのです。
トッドは亡くなった子供のためにも「愛する子供を殺す父親ではない」と信念を曲げず、何年も上訴し続けます。
90年代の事件を忠実に再現するため、ジャック・オコンネルがマレットヘアで演じているのも必見です。
●ジャック・オコンネル(Jack O’Connell)
誕生日:1990年8月1日生まれ
星座:しし座
身長:173cm
出身:イギリス・イングランド
▶ジャック・オコンネルの出演映画一覧
▶おすすめの代表作品
ローラ・ダーン/エリザベス・ギルバート役
トッドの判決が出てから7年後、劇作家のエリザベス(ローラ・ダーン)はひょんなことからTCAPD(テキサス死刑廃止連盟)の女性と知り合い、トッドと文通を始めることになります。
エリザベスは子供達に反対されても、テキサスで有名な子殺しの死刑囚トッドに面会に行き、親交を深め、事件の再調査を引き受けることに。
(冒頭画像:https://www.facebook.com/TrialByFireTheFilm/)
●ローラ・ダーン(Laura Dern)
誕生日:1967年2月10日生まれ
星座:みずがめ座
身長:179㎝
出身:アメリカ・カリフォルニア州
▶おススメの代表作品
※4人姉妹の優しいお母さん「ミセス・マーチ」はぴったり!
エミリー・リード/ステイシー・ウィリンガム役
トッドの妻役で登場するのが、エミリー・リード。
働かない夫の代わりに仕事に出ている間に、自宅火災で3人の娘を失います。
裁判では職に就かない夫は負け犬だが、決して娘たちを殺すような人間ではないと強く証言。
死刑判決の後は離婚し、一切トッドとは接触をしませんでした。
冤罪の可能性を知った彼女はどのような行動にでるのでしょうか?
ジェフ・ペリー/ジェラルド・ハースト役
エリザベスが見つけ出した優秀な火災調査官。
冤罪だと証明し彼の汚名を晴らすことが出来る準備が整った時には、トッドの残された時間はあとわずかに…
クリス・コイ/ダニエルズ役
死刑囚として収監されたトッドを、冷酷に扱う看守ダニエルズをクリス・コイが演じています。
アメリカの刑務所では、特に性犯罪者や子供殺しの受刑者は忌み嫌われ、最悪殺されてしまう可能性があるため一般受刑者から隔離されるのです。
7年もの間トッドを担当していたダニエルズが、最初に抱いていたトッドへの嫌悪感がしだいに変わってゆく姿に、看守と受刑者の見えない絆のようなものを感じさせてくれます。
【Instagram:christopherjamescoy】
まとめ
映画は衝撃のラストとなりますが、なぜシングルマザーのエリザベスがトッドの冤罪を晴らすために奔走したのかを、娘に語るシーンがあります。
このエリザベスのセリフは、映画の要と言ってもいいかも知れません。
今もなおテキサス州のペリー知事は、テキサス州の司法制度は凶悪な犯罪を働いた人間は究極の正義“死刑”に処すと明言しています。
科学の発達していなかった時代、冤罪で無念にも処されてしまった人は一体どれほどの数になるのでしょう。
重いテーマの映画ではありますが、実話を忠実に再現し、いま一度死刑制度について考えさせてくれる映画です。
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