映画『マイ・ブックショップ』、小説ロリータを店頭に並べた女性の勇気

ブックショップ,エミリー・モーティマー,本屋
■エミリー・モーティマー《マイ・ブックショップ》

本好きの人なら、ぜひ、見て欲しい映画『マイ・ブックショップ』を紹介しましょう。

ページをめく度に感じる高揚感、紙の匂いに囲まれて暮らす毎日。

それが、自分のお気に入りの本を誰にも気にせず取り揃え、しかも本好きな人たちと交流できればどんなに楽しいことでしょう。

思うことはひとつ。

小さくてもいいので、「マイ・ブックショップ」を経営する夢を見たひとりの女性がいました。

舞台は、戦後まもない50年代、イギリスの海岸沿いの小さな街。

戦争で未亡人となってしまったフローレンス(エミリー・モーティマー)は、夫との夢であったブックショップの開業を目指します。

原作は、イギリスの小説家ペネロピ・フィッツジェラルドの『The Bookshop』です。

ブックショップ (ハーパーコリンズ・フィクション 8) [ ペネロピ・フィッツジェラルド ]

ブックショップがよく似合う、古びた建物

マイブックショップ,エミリー・モーティマー
マイ・ブックショップ (引用:https://www.facebook.com/mybookshoop/)

フローレンスがブックショップの候補として目を付けたのは、風情のある古びた建物。

資金の相談をした銀行は、田舎町での本屋なんか流行らないと難色を示しますが、フローレンスは頑なに意志を貫き開業にこぎます。

しかし、この街にはフローレンスの純粋な気持ちとは関係なく、書店の開業を快く思わない人物がいました。

それは、地元有力者のガマート夫人(パトリシア・クラークソン)

彼女は主催するパーティーの席で、フローレンスが開業した建物を街の芸術センターにする計画があると伝えたのです。

長らく放置されていた建物に、今さらながら興味を示すガマート夫人。

あきらかに、夫人のフローレンスへの嫌がらせの始まりでした。

今は亡き夫、一緒に夢見た小さな書店

フローレンスがこころを通わせる、最初の顧客

周囲の声を無視し、なにはともあれ頑張って開業したブック・ショップ。

最初にお客さんになったのは、街はずれの豪邸に住むブランディッシュ(ビル・ナイ)という孤独な老紳士。

開店早々、フローレンスにおススメの本を届けて欲しいという手紙が届きます。

ここから始まる、フローレンスとブランディッシュの本を通じた交流

優しい気持ちになれる、見どころのひとつです。

実は、ブランディッシュは、ガマート夫人によるフローレンスへの嫌がらせを察していたのです。

当時の話題書が登場、懐かしく思い出す人も…

マイブックショップ,ビル・ナイ,華氏451度
ビル・ナイ《マイ・ブックショップ》(引用:https://www.facebook.com/mybookshoop/)

一方、この映画は、読書好きの人にはたまらない理由があります。

それは、1959年当時の話題書が、フローレンスの書店に何気なく並べられているのです。

また、フローレンスがブランディッシュに薦める本のタイトルに、ハッとする人がいるかもしれません。

たとえば、1953年の『華氏451度』(Fahrenheit 451)や、1955年の『ロリータ』(Lolita)

読まれた人には、この映画の主旨がさらに深まるはずです。

ちなみに、「華氏451度」は紙、つまり本が燃え出す温度でこの映画のエンディングの伏線になっています。

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思い切って、「ロリータ」を店頭に並べると…

さて、フローレンスはある時、街の知り合いから『ロリータ』という本を販売してみないかと誘われます。

この本は、現在の「ロリコン」や「ロリータファッション」などの語源ともなった有名な本。

現在、ロリータは少女趣味といった意味合いで使われますが、実際の小説は後に名作と言われるようになった本です。

しかし、当時の評判は少女との性的描写が強すぎると批判的な意見も。

フローレンスは店頭に置くべきかどうか悩みますが、ブランディッシュにも相談した結果これを大量に仕入れることを決心。

すると、街の人気を呼び、彼女の書店には多くの人が駆けつけるのでした。

物語は予想外の展開、追い込まれるフローレンス

マイブックショップ,エミリー・モーティマー
(引用:https://www.facebook.com/mybookshoop/)左:オナー・ニーフシー 右:エミリー・モーティマー

店も繁盛し、喜ぶフローレンス!

しかし、意外な理由で彼女の書店は足をすくわれていきます。

例のガートン夫人が悪知恵を出し、店の前の人だかりを交通の妨げだと言い出したのです。

嫌がらせは、これだけでは終わりません。

書店でフローレンスの手伝いをしていた少女クリスティーン(オナー・ニーフシー)を指して、児童を無理やり働かせていると役所に指摘させたのです。

ガートン夫人によって、八方ふさがりにされていくフローレンス。

エンディングと感想

(最後のネタバレなし)

さて、この映画、本を愛したフローレンスが大きな力にやり込められていくのがテーマではありません。

クライマックスからエンディングに導く意外なキーマンがいたのです。

それは、算数は好きだが本は嫌いだったお手伝いのクリスティーン。

書店を辞めさせられたあの「少女」です。

彼女が取った行動は、映画の中でさりげなく紹介される2つの小説に被せていると思うのは筆者だけでしょうか。

(ちなみに、クリスティーン役の子役オナー・ニーフシーは、『ねじれた家』(アガサ・クリスティー原作)にも登場しますがそこでもスゴイ役を演じています。)

小説のテーマを知って映画を鑑賞すると、さらに深い感動を得ることでしょう。

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マイ・ブックショップ (引用:https://www.facebook.com/mybookshoop/)

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