フランス映画大好きなライターsanaeが、今回ご紹介するのは映画『アメリ』です。
2001年に公開され、フランスで大ヒットを記録した本作。
2002年のアカデミー賞では5部門がノミネートされ、ヨーロッパ映画祭を含む6つの映画祭で多くの賞を受賞しました。
当時の日本では公開前からファッション雑誌などて紹介され、注目されていたにもかかわらず、なんと公開されたのはミニシアター「渋谷シネマライズ」(現在は閉館)のみの限定公開。
「観たいのに観られない」という声と、テレビや雑誌などで紹介されたことによって、その後全国47都道府県、160館の映画館で上映したというまさに社会現象を巻き起こした作品です。
そんな本作が22年の時を経てデジタルリマスター版で再上映。
ということで、今回は作品の魅力を中心にご紹介していきます。
(冒頭画像:引用https://twitter.com/amelie_1117/)
社会現象となった『アメリ』:あらすじ
神経質な母と冷淡な元軍医の父をもつアメリは、父親から心臓に障害があると勘違いされ学校にも行けず、やがて母が事故で亡くなりいつもひとりぼっちでした。
そんなアメリは、ひとりで空想の世界を想像しながら日々を過ごし、周囲とコミュニケーションをとるのが苦手ななまま大人に成長していきます。
22歳になったアメリは、モンマルトルにあるアパートで一人暮らしをしながら元サーカス団員が経営するカフェで働きはじめます。
ある日、自宅でとあるニュースに驚いたアメリは、持っていた瓶の蓋をバスルームで落としてしまいます。
転がっていく蓋を追いかけると穴と穴の中にある箱を見つけます。
箱中には子供が集めたであろう宝物が入っていました。
アメリは、宝物を持ち主に返すため前に住んでいた住人を探すことにします。
『アメリ』の見どころ:3つの魅力
1.周囲の人をちょっとだけ幸せに、アメリのお節介にほっこり
宝箱の持ち主を見つけたことをきっかけに、初めて人と調和が取れた気がしたアメリは、同時に人を楽しませることに喜びを見つけだしました。
そんなアメリが思いついたのは、実家にひとりで暮らす父を楽しませること。
庭の置き人形を持ち出し、世界旅行に出かけているかのように写真を撮り続けました。
そして、次なる相手は、不倫相手と駆け落ちした亡き夫を想い続けるマドレーヌ(ヨランド・モロー)。
過去に夫が書いた手紙をアメリは捏造します。
その手紙を読んだマドレーヌは幸せな気持ちになるのでした。
他にも、カフェで働くジーナ(クロティルド・モレ)を別れても監視していた元恋人ジョゼフ(ドミニク・ピノン)と、店でたばこを売る病弱なジョルジェット(イザベル・ナンティ)を恋に陥らせることに。
また、八百屋を経営し従業員をいじめるコリニョンには、ある仕掛けをして懲らしめるのでした。
2.初めての恋、ほっこりする恋の行方
今まで周囲の人を楽しませる=幸せな気持ちにさせることばかりを考えていたアメリは、自分にとっての幸せを考えたことがありませんでした。
そんなアメリが証明写真を収集するニノ(マチュー・カソビッツ)と出会い一目惚れをします。
それからというものアメリはニノのことで頭がいっぱいに。
ひょんなことからニノが落としたアルバムを拾ったアメリ。
彼女が、アルバムを探すニノの張り紙を見つけても連絡する勇気が持てません。
レイモンのアドバイスによって彼の職場に行っても結局会えなかったアメリは、宝探しのようなメッセージを残します。
このメッセージがきっかけで、アメリの存在が気になって仕方ないニノはアメリを探します。
互いを想いながらも、すれ違うふたりの恋の行方にほっこりさせられますよ。
3.アメリをはじめ、個性的な登場人物
アメリ役:オドレイ・トトゥ
キュートなアメリを演じているのは、フランスの女優オドレイ・トトゥです。
1996年、フランスのテレビ映画『Coeur de cible』で女優デビュー。
1999年に公開された映画『エステサロン/ヴィーナス・ビューティ』では、翌年のセザール賞で有望若手女優賞とシュザンヌ・ビアンケッティ賞を受賞。
しかし、オドレイが世界的に注目されるきっかけとなったのが2001年に公開された本作『アメリ』でした。
その後、本作で監督を務めたジャン・ピエール・ジュネと再タッグによって2004年公開の『ロング・エンゲージメント』に主演。
2006年にはハリウッド初出演となる『ダ・ヴィンチ・コード』でヒロインを演じ、2009年、ココ・シャネルの生涯を描いた『ココ・アヴァン・シャネル』では主演を演じています。
オドレイ出演作で、筆者おすすめの作品は2002年公開の『愛してる、愛してない…』です。
妻子のいる医師と付き合う美大生が、現実と空想の境がなくなってしまうサスペンススリラーで、予想もできないラストの展開に驚かされる作品です。
●オドレイ・トトゥ(Audrey Tautou)
誕生日:1976年8月9日生まれ
星座:しし座
身長:160cm
出身:フランス
▶おすすめの代表作品
レイモン役:セルジュ・メルラン
本作の中で、とても重要な人物となるのはアメリと同じアパートに住むレイモン(セルジュ・メルラン)。
骨がもろく何十年も外出できないため「ガラスの男」と呼ばれ、部屋でルノワールの模写をして過ごしています。
レイモンは、アメリがバスルームで見つけた宝箱の持ち主を教えたことをきっかけに彼女と親しくなります。
ニノに恋したアメリの相談を聞いては背中を押したり、とても心優しい男性です。
レイモンを演じたセルジュ・メルランは、本作がきっかけで国際的に知られるようになり、2014年には芸術文化勲章の司令官に選ばれました。
ニノ役:マチュー・カソヴィッツ
アメリが一目惚れするニノを演じたのはマチュー・カソヴィッツです。
映画監督、脚本家、俳優と多彩に活躍しているマチューですが、彼の父親は監督としても活躍するペテ・カソヴィッツ。
父の影響で映画業界に興味を持ち高校卒業後に裏方として働き始めました。
1993年、映画『カフェ・オ・レ』では監督、脚本、出演を務め同作出演女優ジュリー・モードゥエックと結婚。
1990年から手がけた長編映画で1995年に公開された映画『憎しみ』では1996年セザール賞で最優秀作品賞、カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞しています。
ジャン=ピエール・ジュネ監督
フランスを代表する映画監督ジャン=ピエール・ジュネ。
彼が手がけた作品は今まで多くの賞を受賞してきました。
ハリウッドデビュー作は、1997年の映画『エイリアン4』です。
その後、2001年に本作を発表し2001年セザール賞で作品賞、監督賞を含む4部門で受賞。
アカデミー賞では、脚本賞を含む5部門でノミネートされています。
2004年、オドレイ・トトゥとの再タッグ作『ロング・エンゲージメント』でも多くの賞を受賞しました。
本作では、主人公の愛らしさに加え、ブラックユーモアたっぷりの作品に仕上げたジャン監督。
2013年公開の映画『天才スピヴェット』もおすすめです。
まとめ:ファッションやおしゃれな部屋も必見!
「幸せになる」というキャッチコピーの通り、たくさんの「幸せ」が散りばめられている本作。
周囲を楽しませることで自身も幸せな気持ちになる素敵な思想をもつアメリ。
自分自身の幸せと向き合う姿はもちろん、クレーム・ブリュレの表面をスプーンで割る瞬間や、サン・マルタン運河での石投げでひとり妄想にふける姿など、観ている側をも幸せな気持ちにさせるアメリです。
そんなアメリ役は、当初エミリー・ワトソンに決まっていたようですが妊娠によって登板。
その後、オドレイ・トトゥに決まったそうです。
エミリーだったら、雰囲気の違うアメリだったかもしれませんね。
アメリのファッションやヘアスタイル、おしゃれな部屋も必見ですよ。
筆者は、2001年公開当時に映画館で鑑賞し、ファッションの刺激を受けたひとりです。
その後DVDを購入して何度も鑑賞したくらい大好きな作品で、デジタルリマスター版も劇場で絶対観たいと思っています。
アメリの幸せをおすそ分けしてくれる素敵な作品です。是非、観てみてくださいね。
《ライター:sanae》
毎週金曜日は映画館に出没する某新聞社エンタメニュースライター。
子供の頃から観た映画は数知れず、気になった作品はジャンル問わず鑑賞。
日常生活を彩る映画との出会いのお手伝いができたら幸いです。
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