今回紹介するのは、2022年4月に公開を迎えたマイク・ミルズ監督の『カモン カモン』です。
マイク・ミルズ監督は、ユアン・マクレガーが主演を務めた『人生はビギナーズ』(10)やエル・ファニングなどが出演した『20センチュリーウーマン』(16)など、“家族”を題材にした作品を撮ってきました。
世の中の家族物語がベースで、家族の絆や愛など分かりやすい映画が多い気がします。
監督の作品には「上手くいくかはわからない。でも、前に進んでみよう。」といった曖昧だけど前に進む力をくれるような優しいメッセージがあり、心地よく胸にストンと落ちてくれます。
「A24」が製作を手がけ、『ジョーカー』(19)で話題を生んだホアキン・フェニックスが主演。
作品への高まる期待と一緒に、「A24」そして大好きな「マイク・ミルズ監督」を紹介しましょう。
あらすじ~9歳の甥を預かったジャーナリストは…
NYでラジオジャーナリストとして1人で暮らすジョニー(ホアキン・フェニックス)は、妹から頼まれて9歳の甥ジェシーの面倒を数日間みることになります。
好奇心旺盛なジェシーとの共同生活は、戸惑いの連続。
ストレートな疑問を投げかけてくるジェシーは、ジョニーを困らせます。
しかし、ジョニーの仕事や仕事で使う録音機材に興味を示し、二人は次第に距離を縮めていきます。
仕事のためNYに戻ることになったジョニーは、ジェシーを連れて行くことを決めますが…
主演:ホアキン・フェニックスについて
『ジョーカー』(19)で話題を生んだホアキン・フェニックスですが、ご存知の方も多いようにかなりの演技派俳優です。
例えば、第86回のアカデミー賞で脚本賞を受賞した『her/世界でひとつの彼女』(13)では、人工知能型のネットから発せさせる“声”に恋に落ちる役を演じています。
少し自信なさげな男性が、存在しないAIにどんどんのめり込んでいく姿はある意味ジョーカーとは真逆のような人物だったように思います。
個人的に印象的に残っている作品は、『グラディエーター』(00)です。
西暦180年の大ローマ帝国を舞台に争いを繰り広げるのですが、ホアキン・フェニックスの冷血で捻くれた役の演技には、身の毛がよだつ思いでした。
今まで狂気な役のイメージが強かったので、今回はジェシーに翻弄される少し不器用な叔父として全く違う優しい表情を魅せてくれるはずです。
●ホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)
誕生日:1974年10月28日生まれ
星座:さそり座
身長:173cm
出身:プエルトリコ
▶おすすめの代表作品
新進気鋭の「A24 」が配給、エッジの効いた作品
今作で、映画好きには目が離せないのは「A24」が製作・配給しており注目してほしいポイントです。
マイク・ミルズ監督は『20センチュリーウーマン』(16)以来で、A24と再タッグ。
A24は、ホラーなのに終始明るい映像で不気味さを生んだ『ミッドサマー』(19)や、13歳の少年が背伸びして青春を謳歌する『mid90sミッドナインティーズ』(18)など、次々に話題作を生んでいます。
どの映画作品も映像が洒落ていたり、音楽のクオリティが高かったりで、いつもエッジの効いた強烈な印象を残してくれます。
なので、新作が出るとついついチェック。
その意味では、本作もA24のブランドカラーにぴったりな作品ですよね。
(公式インスタグラムもかっこいいのでオススメです。https://www.instagram.com/a24)
マイク・ミルズ監督の魅力、溢れるセンスと才能
マイク・ミルズは、私が大好きな監督の一人。
映像が綺麗、音楽がかっこいいなどひとつの点だけ優れている監督はたくさんいます。
しかし、彼はなんといっても全てのセンスが素晴らしく、才能に溢れた監督で好きにならずにはいられません。
監督自身が手掛ける脚本、前向きなメッセージ
監督の作品数は多くないのですが、私が観てきた作品では一貫して“家族”を題材にしたストーリーでした。
そして言葉選ばず言うと、彼の作品は外れがないです。
いつも良い意味で予想がつかない視点で、家族の形を描いています。
主観ですが、監督が描く家族は、ありきたりな“愛”とか“絆”という言葉が似合わない気がするんです。
共通しているのは、「柔らかい空気感の中で前向きになれるようなメッセージを残してくれる」こと。
そして、そのメッセージの受け取り方は人によって違うのではないかと思います。
私の心を掴んだのは、監督の代表作でもある前述の『人生はビギナーズ』(10)です。
75歳になった父から同性愛をカミングアウトされた主人公は、自身も恋をしながら家族を受け入れていきます。
マイク・ミルズ監督自身の体験を取り入れており、一番オススメしたい作品です。
(クリストファー・プラマーがアカデミー賞助演男優賞を獲得しており、作品としても高く評価されています。)
美しい陰影を取り入れた映像と音楽
映像や音楽のセンスが、とにかく良いです。
先ほども触れた『人生はビギナーズ』や『20センチュリーウーマン』、『サム・サッカー』などは淡い色使いで魅了してくれるのですが、本作はモノクロというのが特徴です。
予告編一つでも光の入れ方が優しいのが伝わってきて、監督の秀逸なセンスを感じます。
モノクロならではの陰影が映像の美しさを際立てていますよね。
監督の作品は、映画として流れる映像を一枚に切り取って写真として残しておきたくなるくらい見惚れてしまいます。
(参考:2019年の約26分のショートフィルムも本作と同様モノクロで撮っています。映画を観たいけどちょっと2時間は長い…そんな時にぜひ鑑賞してみてください。)
【YouTube:”I Am Easy To Find” – A Film by Mike Mills】
まとめ
マイク・ミルズ監督の最新作は本当に楽しみにしていました。
だからこそ、大好きな監督について綴ることができて心から嬉しい気持ちでいっぱいです。
文章でも触れた『人生はビギナーズ』は、ずっと心の片隅に温かく残り続ける作品でDVDも購入したくらい大切な作品。
だからこそ、少しでも多くの方にマイク・ミルズ監督の素晴らしさを知ってほしいという思いで今記事を書くことにしました。
是非映画館に足を運んで下さい。
映像や音楽で私たちを優しく包み込み、そっと気持ちを前向きにしてくれると思います。
監督・脚本/マイク・ミルズ
出演/ホアキン・フェニックス、ウディ・ノーマン、ギャビー・ホフマン、モリー・ウェブスター、ジャブーキー・ヤング=ホワイト
音楽/アーロン・デスナー、ブライス・デスナー(ザ・ナショナル)
2021年/アメリカ/108分/ビスタ/5.1ch/モノクロ/日本語字幕:松浦美奈
日本公開/2022年4月22日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給/ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト
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《ライター:anzu》 クリックで担当記事一覧へ→
大学生時代にフランス文学を専攻していたこともあり、ヨーロッパ映画に惹かれる傾向にあります。
映像や台詞、音楽のときめき、ホラーやサスペンスのような怖さの驚き等、ドキドキする作品がたまらなく好きです。
今まで観てきた映画の数は1400本を越え、今も更新中です。
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