映画『FALL/フォール』は、超絶の高所恐怖スリラー!地上600mの絶望感映像の先にあるテーマ

FALL,フォール
(C)2022 FALL MOVIE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

今回は、超高層タワーの先端に置き去りにされた人たちの姿を描いたサスペンス映画『FALL/フォール』を紹介します。

老朽化した超高層タワー登頂のチャレンジにて、事故により頂上に取り残された二人が生き残るべく奮闘する姿を描きます。

高い塔に置き去りにされた人たちの姿、という実にシンプルな骨子でありながら、臨場感あふれる映像と生死に言及したメッセージなど、非常に深いテーマをはらんだ作品であります。

映画『FALL/フォール』:作品情報

愛する人の喪失感を埋めるべく赴いた超高層タワー登頂にて、ハプニングにより地上600メートルの頂上に取り残されてしまった二人の女性の生き残り劇を描いたスリラー。

『ファイナル・スコア』『タイム・トゥ・ラン』などのアクション映画を手掛けてきたスコット・マンが監督を務めました。

主人公ベッキーを『シャザム!』『アナベル 死霊人形の誕生』グレイス・キャロライン・カリー、その親友ハンターをドラマ「マーベル ランナウェイズ」『ハロウィン』(18)、のヴァージニア・ガードナーが担当しました。

またベッキーの父親役としてドラマ「ウォーキング・デッド」シリーズや『ランペイジ 巨獣大乱闘』などで個性的な演技が光るジェフリー・ディーン・モーガンが出演を果たしています。

FALL,フォール
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映画タイトルFALL/フォール
原題Fall
監督スコット・マン
出演グレイス・キャロライン・カリー、バージニア・ガードナー、メイソン・グッディング、ジェフリー・ディーン・モーガンほか
公開日2023年2月3日(金)
公式サイトhttps://klockworx-v.com/fall/ 【YouTube:予告編】

■2022年 /イギリス・アメリカ合作/カラー/107分

地上600メートルのサスペンス:あらすじ

FALL,フォール
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夫婦で赴いた山でのフリークライミング。その途中に発生した事故で、ベッキー(グレイス・キャロライン・カリー)は目の前で夫を亡くしてしまいます。

事故から1年が経っても悲しみから立ち直れず引きこもったままのベッキーを案じた親友ハンター(バージニア・ガードナー)は、そんな彼女を元気づけるべく、新たなクライミング計画を提案します。

それは、とある荒野にそびえ立つ地上600メートルの超高層テレビ塔の先端に登ること。

現在は使用されていないその塔に赴いた二人は梯子を登り、頂上へ到達することに成功します。

ことを成し遂げ歓喜に沸く二人。ところが地上に戻ろうとしたその時に老朽化した梯子が突然崩れ落ち、二人は塔の先端から降りれなくなってしまいます…。

「誰にでも起こりうる」こと、思わせる絶対絶命の状況

FALL,フォール
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本作はいわゆる「シチュエーション・スリラー」と呼ばれるジャンルの作品。

このジャンルでも多くの作品が発表されてきました。代表的な作品としては、2004年に発表された『ソウ(SAW)』シリーズなど。

そんな中で本作のように、まずありえないシチュエーションでありながらそれほど遠い話でもない、すなわち「誰にでも起こりうる」と思わせるスリリングな出来事を描いた作品は、それほど大きなヒットはないものの発表のたびに話題作として取り上げられてきました。

これら作品群の中で一貫して描かれるのは、登場人物の絶体絶命の場に置かれた絶望感、そして生への渇望感という拮抗した二つの感情がぶつかる姿。

本作も同様に絶体絶命の状況の中で、観るものは生きることを求めて必死にもがく人間の姿に共感し、いつしか死の風が自分に吹いてくる錯覚すら覚えてくるでしょう

▶「絶体絶命」のスリル感がたまらない!おすすめシチュエーション・スリラー作品

127時間(作品情報)

原作:アーロン・ラルストン 奇跡の6日間

※登山家アーロン・リー・ラルストンの自伝が原作のシチュエーション・スリラー。『スパイダーマン』(02)のジェームズ・フランコが主演を務めました。

フローズン(作品情報)

※スキー場のリフトという「高所」のシチュエーションで起こったハプニングを描いた作品。『HATCHET/ハチェット』シリーズなどのホラー作品えお発表してきたアダム・グリーン監督が作品を手がけました。

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「最先端技術」でも救えない、絶望感が示すもの

FALL,フォール
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一方で本作のユニークなポイントとして、スマホやSNS、ドローンなどといった近年広く普及しているデバイス類の登場が挙げられます。

塔の先端に取り残された主人公たちは、助けを求めるべくこれらのデバイスを使用して奮闘します。

しかし物語の展開では、これらの最先端機器の優れた機能が、ことごとく自然と不運の脅威にはねのけられてしまいます。

最先端技術により続々登場してきたこれらデバイス類は、それまで人間には不可能であったチャレンジを次々と可能にしていき、今はもはや先端技術に不可能はないとすら思わせてきました。

時にその思いは、無茶とすら思わせる行為に平気で走らせる無謀さすら生み出している感もあります。

近年「※エクストリーム・スポーツ」なるアクティビティーがにわかに話題を呼んでいますが、このポイントはその裏にある問題、課題のような部分に通じるものもあるといえるでしょう。

この物語は、そんな「最先端」を過信する人々に向けた警鐘のようなものがあると感じられます。

■高所が得意な人へ参考です【管理人・選】

※エクストリーム・スポーツ

超人の秘密:エクストリームスポーツとフロー体験

※レイ・カーツワイル絶賛
「人間の潜在能力の未来へようこそ。本書『超人の秘密』は人間が発揮する究極的なパフォーマンス能力の秘密に迫る、一気読み確実の、革新的な1冊だ」

※高層マンション並みの大波にサーフィンで乗る。万里の長城をスケートボードで飛び越える。一切の登山用具なしで、時には命綱さえつけず数百メートルの垂直の断崖を登る……極限の状況に挑むエクストリームスポーツのアスリートたちは、自殺志願者ではない。彼らは自分が成功することを知っているのだ。

※著者:スティーヴン・コトラー(Steven Kotler)

《ニューヨーク・タイムズ》、《ワイアード》、《GQ》、《ポピュラー・サイエンス》に寄稿するジャーナリスト、ライターにして起業家。著書に本書のほか、『楽観主義者の未来予測』(ピーター・ディアマンディスと共著)、A Small Furry Prayer、 West of Jesus、 The Angle Quickest for Flightがある。【参照:Amazon】

「高さ」の恐怖、徹底的に追究した映像

フォール
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この画像、いかがでしょう?大スクリーンでかつ動画で見ると、この迫力はもう比ではありません。

特撮の不自然さも感じられずまさに地上600mのスリリングなシーンが連続します。

地平を狙ったカットでは広大な景観が雄大さを醸し出す一方で、塔の頂上から地上を見下ろすシーンはスリル満点。

そこに「落ちそう!」という寸止めハプニングの連発

グロテスクな演出などほぼ皆無、にもかかわらず下手なB級映画など太刀打ちできないほどの緊張感を味わえるでしょう。

まさに高所恐怖症の方は要注意、ハラハラドキドキ抜群のシチュエーション・スリラーです。

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《ライター:黒野でみを》 クリックで担当記事一覧へ→

黒野でみを,プロフィール40歳で会社員からライターに転身、50歳で東京より実家の広島に戻ってきた、マルチジャンルに挑戦し続ける「戦う」執筆家。「数字」「ランク付け」といった形式評価より、さまざまな角度から「よさ」「面白さ」を見つめ、追究したいと思います。

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