映画『ファーゴ』実話かフィクションか?ダークすぎる狂言誘拐のクライムサスペンス!

ファーゴ
『ファーゴ』

コーエン兄弟が放つ、サスペンス映画の金字塔

今回紹介するのは、ジョエル・コーエン監督『ファーゴ』

イーサン・コーエンとともに、コーエン兄弟による脚本のクライム・ダーク・サスペンスです。

第69回米アカデミー賞脚本賞、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)の受賞作品。

非常に展開が早く、98分と短くも内容が詰まっている作品です。

【YouTube:予告編 Fargo (1996) | Official Trailer | MGM Studios】

本作品のテーマ:悪事が悪事を呼ぶ、負の連鎖現象

コーエン兄弟作品の中でも、ひときわ“真っ黒”な雰囲気を醸し出す作品。

終始ドキドキさせられっぱなしでした。

その原因は、映画の開始早々に表示される、以下の謎めいた文章にあると言えます。

This is a true story.
(これは実際に起こった物語である。)

The events depicted in this film took place in Minnesota in 1987.
(この映画で描かれる事件は、1987年ミネソタ州で起こったものである。)

At the request of the survivors, the names have been changed.
(生存者の要望により、人物の名前は変更している。)

Out of respect for the dead, the rest has been told exactly as it occurred.
(死者への敬意を表し、その他の部分は忠実に再現している。)

誰かが犠牲になることを既にここで宣言するとは、なんと不気味な…

どんどん悪いことが起こりますので、覚悟をお願いします。

1分で読める、あらすじ紹介

自動車販売店に努めるジェリー(ウィリアム・H・メイシー)は、借金まみれのサラリーマン。

借金返済のために思いついたのは、裕福な家出身の妻が誘拐されたように見せかけ、義父に身代金を要求するというもの。

その身代金は最終的に自分の懐へ…という企みでした。

しかし、怪しげな2人の協力者が大層なヘマを犯し、計画は思わぬ方向へずれていく…

さまざまな痕跡が明るみに出てしまい、地元警官の署長であるマージが調査に乗り出します。

マージは的確な証拠と証言を集め、ジェリーを追い詰めていきます。

ファーゴ,フランシス・マクドーマンド
マージ(フランシス・マクドーマンド):アカデミー賞主演女優賞 https://www.facebook.com/Fargo/photos

●フランシス・マクドーマンド(Frances McDormand)

誕生日:1957年6月23日生まれ

星座:かに座

出身:アメリカ・イリノイ州

身長:165㎝

▶フランシス・マクドーマンドの出演映画一覧

▶おすすめの代表作品

フランシス・マクドーマンド,ノマドランド
https://www.facebook.com/NomadlandFilm

ノマドランド (予告編) 

※飄々として、時にはにかむ優し気な顔。現実の厳しさを垣間見せながら淡々と進む素晴らしい映画、そして女優です。なんと3度目の主演女優賞。

スリー・ビルボード (予告編)

※いかつくも頑固な役を好演。主演フランシス・マクドーマンドが2度目のアカデミー賞主演女優賞を受賞した名作です。

参考記事:強い母を記憶にとどめる映画3選。全ての母親に贈るプレゼント・メッセージ

事態が大きくなるも、最後まで隠し抜こうとする犯人たち

①滑稽すぎるジェリーの振る舞い

2人の協力者から随時、妻誘拐計画の進捗をうかがうも、事態は悪くなる一方。

署長マージに突き詰められても、諦めずしらばっくれる姿は何とも言い難い…

救いようがない、とはこのことだな…と思わずにはいられません。

ファーゴ,ウィリアム・H・メイシー
ジェリー(ウィリアム・H・メイシー)https://www.facebook.com/Fargo/

②怪しい協力者2人組の、思わず笑ってしまうやり取り

さらに注目は、妻誘拐計画の協力者の2人。

いかにもデコボココンビで、やり取りはもはやコメディ。

この2人が、常識の域を超えた行動をします。

(これ以上はネタバレになるため、本編をご堪能下さい。注意:少々グロ要素あります。)

何でも屋を演じた俳優は、スティーヴ・ブシェミ(左)とピーター・ストーメア(右)。

ファーゴ
https://www.facebook.com/Fargo/

二人ともどこかで見たことあるよな~という名脇役です。

スティーヴ・ブシェミといえば、『コン・エアー』『アルマゲドン』『アイランド』あたりでしょうか。

ピーター・ストーメアといえば、『プリズン・ブレイク』のアブルッチ役の印象が強いですね。

最後のオチに、驚きを隠せない!?

この映画はラストの展開も十分衝撃的ですが、エンドロールに重要なことが隠されています。

それは、この物語は“フィクションである”ということ。

“The persons and events portrayed in this production are fictitious.”と記載があります。

「なにっっ?!」

開始10秒で表示された怪しげな文章、

This is a true story.(これは実際に起こった物語である。)

はどこに行ったのか…?

そう、冒頭に表示された文章そのものからフィクションである、というオチ

観客の心をつかむ方法としては大成功で(少なくとも私は騙されました)、なかなか見かけない手法だと思いました。

さすがコーエン兄弟…練り方が一味違います。

映画『ファーゴ』がさらに面白くなるプチ考察・プチ情報

①追う者vs.追われる者、2人の対比が秀逸

ファーゴ,フランシス・マクドーマンド
https://www.facebook.com/Fargo/photos

●夜中に呼び出されても、朝食を作るために一緒に起きてくれる夫のいるマージ。
vs.
●借金返済のために妻を出しに使うジェリー

◆危険な場面でも冷静沈着なマージ
vs.
◆常に焦りっぱなしのジェリー

家族背景や人物像の差がくっきりと浮かび上がり、両極端な対比でした。

2人とも、このような人物像に色を加える素晴らしい俳優さんでした。

ファーゴ,ジェリー
https://www.facebook.com/Fargo/

②ポール・バニヤンとは?

この映画には、もう一つ怪しい要素であるポール・バニヤンの巨大な像が数回出てきます。

ポール・バニヤンとは、アメリカ開拓時代に生み出されたとされる巨人のこと。

もちろん伝説・ジョーク・民話であり、特にアメリカやカナダではよく知られた伝承だそうです。

この物語が全てジョークのように思えてきましたが、それこそがポール・バニヤンを登場させた目的かもしれません。

それにしても、非常に不気味な像でした…

③ドラマ版『ファーゴ』

映画『ファーゴ』に着想を得たドラマ版『ファーゴ』が2014年~制作されています。

人物、時代などは異なっているものの、映画版のエッセンスがかなり散りばめられているとの事。

サスペンス系の海外ドラマは体力をかなり持っていかれますが、私はまだ未鑑賞のドラマなので、そろそろ観始めようと思います!

ドラマ版ファーゴ
公式ポスターのセンスも最高です。)https://www.facebook.com/FargoFX/

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暇さえあれば、映画観る!がモットー。
映画が好きになったきっかけは、時間を持て余していた大学時代。
うかつにも数々のシリーズ映画に手を出してしまったのです。
Marvel、DC、スター・ウォーズ、トランスフォーマー、パイレーツ…
今ではすっかり映画が生活の一部になってしまいました。

Twitterでも、気ままに映画・海外ドラマネタでつぶやいています。
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