北欧で、ヘヴィメタルがポピュラーな音楽ということをご存知でしたか?
それも、なんと「北欧メタル」というヘヴィメタルのジャンルがあるんです!
主に、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、アイスランド出身のバンドがそう呼ばれるとのこと。
筆者は今回紹介する映画を観るまで知らかったのですが、こんな風に知見を広げられるのも映画の素敵なところ。
「ヘヴィメタの映画?理解できるのかしら…」と、触れたことのないジャンルの映画に、不安80%期待20%くらいの気持ちで本作を見始めたのですが、終わる頃には「ヘヴィメタ最高!」となっていました。
とんだミーハーです。
話は脱線しましたが、今回は、2018年公開の『ヘヴィ・トリップ/ 俺たち崖っぷち北欧メタル!』を紹介したいと思います!
『ヘヴィ・トリップ(原題:Hevi reissue)』あらすじ
フィンランドの田舎町で12年間アマチュアヘヴィメタバンドをやっている4人組バンド。
12年間もバンドをやっているのに、オリジナル曲もなければ公衆の前でライブをしたこともありません。
ヘヴィメタバンドをやっている傍ら、メンバーは普段介護施設や図書館など、ヘヴィメタルとは真逆に思えるような職場で真面目に働いています。
ある日、ドラムのユンキ(アンッティ・ヘイキネン)が「ライブに出てみないか」という話をメンバーに持ち掛けます。
そこで、インテリで寡黙なベーシスト、パシ(マックス・オヴァスカ)から、「オリジナル曲を作らなければ」と提案されます。
目指すは、北欧のライブ・フェス!
そこから4人はライブに出演するために全力疾走。バンド名は「インペイルド・レクタム(直訳:直腸陥没)」に決定。
その後、ライブのためにオリジナル曲を作成することになります。
紆余曲折の末に「これだ!」というキャッチーな曲を生み出し、ちょっと危ないやり方でアーティスト写真を撮ったりします。
そしてひょんなことからノルウェーで開催されるフェス、「ノーザン・ダムネーション」へ出演権を手に入れます。
そのことでフィンランドの田舎町中がお祭り騒ぎになり、インペイルド・レクラムは一躍街のヒーローになります。
彼らのライブへの道は順調であるかのように思えるのですが・・・!?
↑「なんだこの写真?」と思いますよね…筆者も、映画を観る前は「???」な一枚でした。
「インペイルド・レクタム」、大きすぎる日常ギャップ
まず、出だしの長髪でいかつそうな男性が、何もない田舎町で自転車に乗っているところから面白そうな予感。
尖ったいかつい私服を着ていて、ヘヴィメタバンドをやっている。
それだけで、「気性の荒い人たちが喧嘩しそう…」という偏見を抱いていました。
ところが、あらすじに書いた通り、バンドメンバーは介護施設や図書館、両親が経営するトナカイの解体業を手伝っていたりと、ごく真面目に労働に勤しんでいます。
そして、本人たちの性格は、優しくとてもおだやか。
介護施設で働く、ボーカルでフロントマンのトゥロ(ヨハンネス・ホロパイネン)なんて、みんなの前で歌うことを想像しただけで吐いてしまうほどの上がり症。
また、彼らはいつもギター担当のロットヴォネン(マッティ・シュルヤ)の家の地下室で練習をしているのですが、練習のあとにロットヴォネンのお母さんがメンバーに昼食をご馳走するシーンに注目。
「彼らの日常」が垣間見えて、見た目や演奏している曲とのギャップに「ふふふ」となってしまいました。
だんだんと彼らの優しい人柄が出てきて、ますますギャップで笑えるようになってくるのがこの映画の面白いところです!
恋のライバルも、パンチが効いて面白い!
ボーカルのトゥロは、幼馴染で花屋で働くミーア(ミンカ・クーストネン)に恋心を抱いています。
この二人はいわば両片想い。
この二人の「本当に20代か!」と突っ込みたくなるようなまどろっこしい関係も、ヘヴィメタバンドをやっているとは思えないような可愛いギャップ。
トゥロは、ノルウェーでのライブが決まった時に、花屋でミーアに「ノルウェーでライブをするかも」と照れながら話し、ミーアは町中にそのことを言いふらしてしまいます。
ここで、もう一人ミーアのことを狙っている男が登場します。
それが本作の悪役ともいえるヨウニ(ヴィッレ・ティーホネン)です。
ヨウニはトゥロとミーアがうまくいくことが面白くありません。
なので、あの手この手を使ってふたりがうまくいかないようにしようとするのですが、なぜかこの男、まったく憎めないんです。
悪役、という言葉を使いましたが、バイキ〇マンを想像させてしまうような可愛らしさがあるんです。
この恋の行方もチェックしてみてください!
ありえないでしょ!爆笑ロードムービー!?
やがて彼らは、ライブをするために、盗んだ車でノルウェーに繰り出します。
そこでもすんなり到着するはずがなく、テロリストに間違えられたり、国境警備隊に捕まりそうになったり、海に飛び込んだり、大爆笑の珍道中!
ところどころにクスっとくるような笑いが散りばめられています。
普通の映画だったら忘れられてしまうような、旅先で出会うちょっとしたキャラクターも、ひとりひとりが絶対に忘れられないような個性的なキャラになっています。
「ありえないでしょ!」と突っ込みたくなるような展開もありますが、「旅の恥はかき捨て!笑って許して!」という感じで、不思議とメンバーのみんなを応援したくなってしまうんです。
良い塩梅の、ブラックジョークが最高!
本作は、ところどころお下品な表現があったり、倫理に反するような場面が出てきますが、なぜかそれに嫌悪感を抱かせないんです。
それどころか、お下品な発言や場面が、名言や名場面になってしまったり…この映画を観て「汚い映画」と評する人はいないでしょう。
真面目にふざけているからこそ、おバカな発言も名言になってしまうんです。
今まで引っ込み思案だった4人組が、同じ夢を見て一歩踏み出して成長していくストーリー、これが「ヘヴィ・トリップ」です!
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まとめ
夢に向かって背中を押してほしい人、是非ご覧ください!
「崖っぷち北欧メタル」というサブタイトルも、物理的に崖っぷちなシーンも出てくるのでお見逃しなく!
近々、続編のお話もあるとかないとか・・・!?
夢、友情、恋愛、音楽、成長…と、1粒で色んなことが味わえる本作で、是非ヘヴィメタの世界にトリップしてみてください!
《ライター:永瀬花帆》 クリックで担当記事一覧へ→
グラビアアイドルとして活動中。ミニシアター系の映画をまんべんなく見ます。
普段映画を観ない方にも「観たい!」と思っていただけるような記事を目指してます!
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