アイスランドを舞台に作られたホラー映画『LAMB/ラム』。
この作品は、あらゆる点で従来のハリウッドのホラー映画とは違う内容となっていて、異彩を放っています。
そこで今回は、映画『LAMB/ラム』のどこが従来のホラーと異なっているのか、見どころを解説をしたいと思います。
(冒頭画像:引用https://twitter.com/LAMBMOVIE_JP/)
映画『LAMB/ラム』(21):作品概要
本作はアイスランドで作られた映画となっていて、全米で公開されたアイスランド映画でオープニングの最高成績を記録。
さらに、数々の映画賞を受賞しました。
監督は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などの特殊効果を担当したヴァルディミール・ヨハンソン。
本作で長編監督デビューを果たしました。
主演は『プロメテウス』、『ミレニアム』シリーズのノオミ・ラパスが務めています。
あらすじ:「アダ」と名付けた一頭の羊…
山々が連なるアイスランドの草原。
イングヴァルとマリアの夫婦は、そこで羊飼いをしながら暮らしていました。
ある日、一頭の雌羊が出産をします。
ところが、生まれたのは羊ではない「謎の生命体」でした。
それはまるで、羊と人を混ぜたような姿をしていたのです。
幼い子供を失っていたイングヴァルとマリアは、その生物に「アダ」と名前を付け、娘として育てることに。
「アダ」との生活によって、二人の心は徐々に満たされていきますが、それは破滅への入口でした。
夫婦に愛され、癒される謎の生物
「謎の生命体」が登場するパニックホラーでは、いわゆる「モンスター」が人々に襲い掛かります。
ところが、この作品に登場する謎の生物「アダ」は襲うどころか、人を癒します。
その姿は、モンスターのように恐怖を与える得体のしれないものではありません。
「アダ」は頭から右腕にかけてが羊、それ以外が人の姿をしています。
服を着ると羊の頭の幼い子供が歩いているように見え、とても可愛らしいのです。
言葉は喋りませんが、人の言うことは理解しているようで、なつきます。
その姿以外は幼い子供と変わらないため、癒される存在となっているのです。
このように、「謎の生命体が愛される」という点で、他の映画とは異なっています。
ホラーにほど遠く、淡々と描かれる日常の営み
映画の舞台となるのはアイスランドの雄大な自然です。
草原の中にぽつんと羊飼い夫婦の家が建っていて、牧歌的な雰囲気が流れています。
その風景は、ホラーとはほど遠いものといえます。
また、物語に劇的な展開はほとんどありません。
序盤は夫婦が羊を世話する毎日の営みが淡々と描かれます。
中盤以降は「アダ」と暮らすことによって、満たされていく夫婦の姿が描かれています。
それはまるで、ホームドラマのようなストーリーなのです。
そのような内容でも、常に不穏な雰囲気が漂い、観ていて不気味な気持ちになります。
さらに、あっけにとられるラストによって、この映画がホラーであることを思い出させられます。
異彩映画と言われる理由、モンスターが被害者に…
従来の謎の生命体が登場するホラー映画では、主人公がモンスターなどによって被害を受けます。
主人公は何もしていないのに襲われるため、とても理不尽なものだといえます。
ところが、この映画では謎の生物「アダ」は、主人公マリアに何の害も与えません。
それどころか、「アダ」によって主人公のマリアは癒されるのです。
マリアは雌羊が産んだ「アダ」を取り上げて奪ったうえ、子供を取り戻そうとする雌羊を銃で撃ちます。
破滅の発端を作ったのは、主人公本人といえます。
加害を与えたのが人で、被害を受けたのはモンスターなのです。
このように、主人公と敵であるはずのモンスターの立場が逆転しているという点で、この映画は異彩を放っています。
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まとめ:全編に漂う妙な不気味さ
映画『LAMB/ラム』の見どころを、従来のホラー映画と異なる点において、解説をしてきました。
一応ホラーと分類されていますが、諸説あってジャンル分けの困難な映画となっています。
セリフも限定的で淡々と日常が流れる映像が続きますが、妙な不気味さが全編に漂っているため、見飽きるということがありません。
さらに物語のラストにも驚きを覚えます。
みなさんも、この何とも言えない不穏な雰囲気の映画を味わってみてください。
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《ライター:げん》 クリックで担当記事一覧へ→
こんにちは!ライターの「げん」と申します。
映像が好きで、テレビドラマのプロットなどを書いていました。また、恋愛小説をファッション誌で連載したこともあります。これらの経験をもとに、映画を通して恋愛を学ぶ記事などを書いています。
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