
2026年の目玉映画になる予感の、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。
原作はアンディ・ウィアーによる同名のSF小説で、彼の作品は「火星の人(『オデッセイ』として映画化)」も有名ですよね。
小説「プロジェクト・ヘイル・メアリー」はわずか半年でミリオンセラーを達成しており、映画化前に絶対に読んでおきたいと話題沸騰中。
かくいう筆者は原作小説の大ファン!
今記事では小説「プロジェクト・ヘイル・メアリー」の魅力を解説、映画公開を前にぜひ原作を楽しんでほしい理由がきっとわかります!
(トップ画像:引用https://x.com/projecthailmary/)
あらすじ:宇宙で一番孤独なミッションの始まり…

ある男が、真っ白い奇妙な部屋で目を覚まします。
記憶も、自らの名前すらも忘れてしまった男。
ただ一つ分かるのは、ここが地球ではないということでした。
やがて男は、自らが”中学校教師のライランド・グレース”であること、”ヘイル・メアリー計画”に参画していることを知ります。
その計画とは、太陽系の危機により滅亡に瀕した地球を救うというもの。
広大な宇宙でたった一人、地球と人類を救う手立てを探し始めるグレース。
やがて彼は、同じく孤独な航行をする宇宙人・ロッキーと出会うことに。
SFと友情、そして人間ドラマが絶妙に絡み合う、”宇宙で一番孤独なミッション”が始まります…。

映画化の先取り情報、原作大ファンのライアン・ゴズリング主演!
ここで、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」の映画化情報にも触れておきたいと思います。
主人公グレースを演じるのはライアン・ゴズリングで、彼自らがこの作品の映画化を強く推し進めたのだとか!

刊行前の原稿の段階から本作品のファンになったというゴズリング。
映画化のために自らスタジオに働きかけるという情熱っぷりを見せ、最高のクリエイターチームをかき集めたようです。
監督は『スパイダーマン:スパイダーバース』のフィル・ロード&クリストファー・ミラー。
熱狂的ファンを多く持つ小説の映画化というだけあって、製作陣の熱の入れ方にも期待できそうです。
原作小説の”唯一無二の魅力”、楽しみな映像化!

映画化における難しいポイントの一つは、どんなに長い小説でも120〜180分程度の間に物語を収めなければならないこと。
小説「プロジェクト・ヘイル・メアリー」の”唯一無二の魅力”を、どこまで映像に凝縮できるかが大切になってくるのです。
では、筆者が考える原作小説の唯一無二の魅力を3つ紹介していきます!
➊二重構造で進行、科学的知見にもとづくストーリー

本原作の一番の魅力は、ただの”宇宙探索もの“ではないところにあるでしょう。
SF作品と言えば、メインは宇宙やエイリアンなどの”未知の世界“。
しかし本作は、主人公グレースの宇宙探索と並行して、地球を舞台とした人間ドラマが描かれる二重構造になっています。
読み始めは”グレースが宇宙で地球滅亡の危機に取り組む話”だと思いますが…
段々と、“人類が叡智をかき集め、太陽エネルギーの減少を食い止める話”こそ、本作の大筋であることが見えてきます。
荒唐無稽になってしまいそうな話を、科学的知見を持って納得感ある話に仕上げているのが凄いのです。
しかも、科学の知識が乏しい人でも分かりやすく読めるのがまた面白い。
やがて物語は、グレース自身の結末と地球の結末という2つの結末にたどり着きます。
「そうきたか!」という意外性がありつつ、心がじんわり温まるラストですよ。
➋謎が深まる、記憶のミステリーと科学の融合

物語は、主人公のグレースが記憶を失ったまま謎の部屋で目覚めるところから始まります。
徐々に記憶が思い出されていきますが、より物語の謎が深まり、本のページをめくる手が止まらなくなるはず。
”ただの中学校教師“だったはずのグレースが、なぜ宇宙にいるのか?
同じ宇宙船に乗っている死体は何者なのか?
”ヘイル・メアリー計画“とは一体何なのか?
ただ記憶を取り戻すのではなく、ここでも科学が登場します。
例えば、グレースが宇宙にいると知るまでにも、
「物が落ちるスピードが早いと気づく→実験により加速度を測る→ここは地球じゃない!」
というプロセスを辿っているのが、リアリティがありワクワクするのです。
このように、ミステリー要素と科学が融合しているのが、本作ならではの魅力でしょう。
➌「ファースト・コンタクトもの×友情」、試行錯誤の連続

本作は”ファースト・コンタクトもの”としての面白さもあります。
ファースト・コンタクトものとは、異なる文明や文化を持つ生き物同士が初めて出会うという、SF作品によくある設定。
それを本作は、コミカルかつ情緒的に描いています。
宇宙の果てで出会う、地球人のグレースと宇宙人のロッキー。
2人はある目的のために手を取り合うのですが、心の通わせ方がユニークであり、知的好奇心をくすぐられます。
特に面白いのが、
生態もコミュニケーション方法も違うロッキーと、どのように協同活動し意思疎通を図るのか
を、試行錯誤していくシーン!
原作ではかなりのページ数を割いて描いているのですが、まるで実験の授業を受けているようなワクワク感があって飽きずに読めるのです。
また、ロッキーのキャラクター性が愛おしすぎて、本を読みながらロッキーの可愛い仕草がありありと浮かんできます。
読了する頃には、2人の友情に胸が熱くなること間違いなしです。
映画化で何が変わる?気になる3つのポイント

最後に、映画化に際して気になるポイントを3つにまとめてみました。
キャストと監督の個性で、どんなアレンジがされるのか?
ロッキーのビジュアルはどう表現されるのか?
原作の”静かな感動“が映画化で活かされるか?
せっかく映画化するのだから、原作そのままではなく、映画ならではの表現やアレンジを楽しみにしたいところ。
特に監督を務めるフィル・ロード&クリストファー・ミラーのコンビはコメディタッチの作品を多く手がけています。
今作もアップテンポかつ尖った映像表現の作風になるのではないでしょうか。
何より気になるのは、ロッキーのビジュアルをどう表現するのか?
原作でのロッキーは、手足が5本あり、顔はなく、岩のような見た目だと表現されていました。
それなのになぜだか可愛いと思えるキャラクターであり、彼のキャラクター性をどのように映像化するのか楽しみです。
原作の魅力は踏襲しつつも、フィル・ロード&クリストファー・ミラーらしい作品に仕上がっていることに期待しましょう!
まとめ:SFなのにこんなに温かい!

映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の原作は、SF初心者さんにこそ読んでほしい作品です。
“地球を救う”という壮大なミッションを描きながらも、物語の核は“絆”というシンプルなテーマ。
ユーモアも涙も知的好奇心も、全てが詰まった奇跡の一冊であり、「SFなのにこんなに温かい物語なんて反則!」と思うはず。
映画を観る前に、ぜひ原作でこの作品の“核”を味わってみてください!
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ウェス・アンダーソン作品の世界観が大好き!ライターの「もな」です。
映画にどハマりしたのは、小学生の頃に『ロード・オブ・ザ・リング』を観てから。
それからというもの、映画は私の人生にとって欠かせないもので、大学では映画学を専攻しました。
私の書く記事が、誰かと素敵な映画との出会いの場になったら嬉しいです。
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