今回紹介する映画は、『Never Goin’ Back ネバー・ゴーイン・バック』。
世界的にも現在熱い注目を集めるレーベル、A24が送り出す女子二人のドタバタ青春ストーリー。
スラム街でルームシェアして過ごすとある女性が、ルームメイトの誕生日のために無理して海辺でのバカンスを計画するも、さまざまなトラブルに巻き込まれ、意気消沈。
それでも果敢に困難に立ち向かっていく姿を描いた作品です。
『Never Goin’ Back ネバー・ゴーイン・バック』作品情報
極貧生活を送る2人の少女らが、最悪の日常の傍らでビーチリゾートでのバカンスを送ることを決断するも、その後に出くわすさまざまな困難と奮闘する姿を描いた青春ムービー。
アメリカの女優オーガスティン・フリッゼルが、本作にて長編監督デビュー。
本作は自身の実体験をもとに脚本を執筆したといいます。
またメインキャストを、『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』『ラスト・サマー この夏の先に』『ティーン・ビーチ・ムービー』などのティーン青春ムービーに出演したマイア・ミッチェル、『デス・ウィッシュ』『Mickey and the Bear(原題:日本未公開)』のカミラ・モローネの二人が担当しました。
映画タイトル | Never Goin’ Back ネバー・ゴーイン・バック |
原題 | Never Goin’ Back |
監督 | オーガスティン・フリッゼル |
出演 | マイア・ミッチェル、カミラ・モローネ、カイル・ムーニー、ジョエル・アレン、ケンダル・スミス、マシュー・ホルコム、アティーナ・フリッツェルほか |
公開日 | 2022年12月16日(金) |
公式サイト | https://nevergoinback.jp/ 【YouTube:予告編】 |
■2018 /アメリカ/カラー/86分
『Never Goin’ Back ネバー・ゴーイン・バック』あらすじ
アンジェラ(マイア・ミッチェル)とジェシー(カミラ・モローネ)は親友同士。
アンジェラの兄やその友人らとシェアハウスで共同生活中、高校を中退し極貧生活の中でレストランのウェイトレスとしてバイト、バイトに明け暮れる毎日を送っていました。
ある日、アンジェラはジェシーの誕生日に、ガルベストンでのビーチリゾート旅行をプレゼントするため、ジェシーに内緒で家賃に充てるはずのお金で2人分のチケットを購入してしまいます。
複雑な気持ちをよそに、アンジェラは不足分の家賃を稼ぐためレストランのバイトにハードなシフトを入れ、なんとか家賃を稼ごうと奮闘。
ところがその翌日に二人は兄のせいで刑務所に入れられたり、誤って大麻入りクッキーを食べてしまったり…。
災難は続き、リゾート旅行どころか生活への危機に追い詰められていくのでした…。
物語の距離感を縮める、「最強女子二人」の存在
治安の悪い場所で恵まれないバイト生活、普段の会話は下品さが満載、そしてドラッグをはじめとした違法行為。
誰かの青春を描いたものとしてはあまりにも重いシチュエーションであり、人によっては「遠い世界」と距離を感じるかもしれません。
ところがこんな過酷な状況の中で、時に挫折しながらも懸命に生きる二人の表情には、そんな人との遠さを感じさせないエネルギーが感じられます。
また物語の重要なファクターとして、「二人の女性」という要素が大きく作用しています。
一人ではめげそうなアクシデントも、気の合う友人がいれば無敵。
映画においてもそんな「最強女子二人」を描いた作品が、これまでもたくさん作られてきました。
本作はまさに今という複雑な時代を生きる「最強女子二人」を、生き生きと描いた青春ムービー。
奮闘を続ける女子二人が行きつく末の風景には、タイトルの「Never Goin’ Back」=「決して戻ってこない」、その何かを感じることができるでしょう。
▶「最強女子二人」を感じさせるおすすめ作品
※まさに「最強女子二人」映画の金字塔!ブラッド・ピットの出世作としても知られています。
※コンビニでバイトをする二人の女子高生が、現代に復活したミニナチ軍と対決するという奇想天外なコメディ。ジョニー・デップの娘リリー=ローズ・デップの主演作でもあります。
「最強女子二人」抜群なマッチング、メインキャスト
本作のメインキャストを演じた二人、マイア・ミッチェル、カミラ・モローネのマッチングも、本作の大きな魅力の一つといえるでしょう。
ミッチェルの実績としては『ティーン・ビーチ・ムービー』『ティーン・ビーチ 2』といったディズニー・チャンネルのオリジナルが光るところ。
対してモローネは、『デス・ウィッシュ』『Mickey and the Bear』といった、シリアスなイメージの作品出演が特徴的でもあります。
どちらかというと楽天的なアンジェラ、対照的に悲観的な思いが見え隠れするジェシー。
作品の性質と比較すると、二人の演じた少女たちのキャラクターは、絶妙にイメージが重なります。
もともと本作のキャストオーディションの際、オーガスティン・フリッゼル監督は、当時偶然同室にいた二人を見て「この二人しかいない」と即決採用したともいわれおり、まさに二人のキャストの存在あってこそといえるでしょう。
●マイア・ミッチェル(Maia Mitchell)
誕生日: 1993年8月18日生まれ
星座:しし座
身長:168cm
出身:オーストラリア
▶おすすめの代表作品
※歌手としても活躍中!
●カミラ・モローネ(Camila Morrone)
誕生日: 1997年6月16日生まれ
星座:ふたご座
身長:175cm
出身: アメリカ合衆国
▶おすすめの代表作品
テーマに大きな影響を与えるロケーション
誕生日に優雅な海岸の旅を満喫しようとする二人。
彼女らが目指したのは、ガルベストンという場所。
あまり耳にしないという人の多いかもしれないこの場所は、テキサス州南東部のグレーター・ヒューストン地域内、ガルベストン郡に位置する島内都市を指しています。
バカンスで海といえば、アメリカでは西海岸、カリフォルニア州をイメージする人の方が多いのではないでしょうか。
その意味で敢えてガルベストンのあるテキサス州を背景としていることも、物語のテーマに大きな影響を与えています。
アメリカ国内でGDPではカリフォルニアに次ぐこの地域。
カリフォルニアと比較すると州税がないため物価は安いものの、最低賃金も低いためどちらかというと生活の水準は低いと見られる場所であります。
その意味ではこのロケーションだからこそ見える風景、画が味わえる作品であり、まさにA24の、らしさを堪能できる1本といえるでしょう。
《ライター:黒野でみを》 クリックで担当記事一覧へ→
40歳で会社員からライターに転身、50歳で東京より実家の広島に戻ってきた、マルチジャンルに挑戦し続ける「戦う」執筆家。「数字」「ランク付け」といった形式評価より、さまざまな角度から「よさ」「面白さ」を見つめ、追究したいと思います。
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