大都会、東京は立川。
2017年、立川シネマシティで筆者はこの映画に出会いました。
わたしは、「BL(ボーイズ・ラブ)」というジャンルが、現代のようにまだあまり市民権を得てなかった頃から大好きで、中学生当時から漫画、アニメ、小説、同人誌など、様々な媒体でBL作品を見ては心を弾ませてきました。
今回紹介する本作『君の名前で僕を呼んで』も、正直なところ「映画館でイケメンのBLを見てホクホクしたいわ~」という邪な気持ちで鑑賞することを決めていました。
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/CallMeByYourNameFilm/)
原作:君の名前で僕を呼んで (マグノリアブックス) 著アンドレ・アシマン
ただのBL映画、とは言わせたくない!
ですが、鑑賞後は「ホクホク」という言葉はとても似つかわしくなく、心がはちきれそうな気持ちになりました。
「なんて美しく純粋な恋物語なのだろう!」と、エンドロールでスタンディングオベーションしそうになったぐらいです。
(ここは日本なので実行には移しませんでしたが…)
「BL=萌えてホクホク」というわたしの十数年の認識が見事に打ち砕かれたそんな作品、『君の名前で僕を呼んで』の紹介です。
エリオが過ごした一夏:あらすじ
暑い夏の日、17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は家族と別荘を訪れており、大学教授の父の助手として訪れたインターンの大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)と出会います。
エリオには女友達のマルシアという「今はまだ友達以上恋人未満」の存在がいますが、オリヴァーと一緒に生活しているうちにだんだんと心惹かれていきます。
しばらく生活を共にした後、エリオは不器用ながらもオリヴァーに自分の気持ちを伝え、キスを交わすのですがその後オリヴァーからは距離を置かれてしまいます。
オリヴァーへの気持ちを断ち切るかのように、ある日エリオとは女友達マルシアと一線を越えますが、すでにエリオの頭の中はオリバーでいっぱいになっていたのでした。
その後、オリヴァーからの歩み寄りによって二人は関係を取り戻し、初めて体の関係を結びます。
そこで二人はお互いの気持ちを確認しあうのでした。
エリオは、オリヴァー色で染まった一夏を過ごすのですが、ついにオリヴァーのインターン終了の日がやってきます。
●ティモシー・シャラメ(Timothée Chalamet )
誕生日:1995年12月27日
星座:やぎ座
身長:182㎝
出身:アメリカ・ニューヨーク
▶おすすめの代表作品
短い夏が、この恋の儚さを知らせている
筆者が注目しているポイントは、この映画の季節設定が夏だということ。
水着のままピアノを弾いたり、眩しい夏の日差しの中アプリコットジュースを飲んだり、夏っていいよなあ、と思うシーンがたくさんあります。
ですが「一夏の恋」という言葉があるように、映画の始まりから、どこか「この恋は短く楽しい夏とともに終わってしまうんだろうな…」と思わせられる儚さがあります。
きっと季節設定が冬でも秋でも、この映画の持つ、たおやかな雰囲気は出なかったのではないかと思います。
多感な17歳の夏休み、好き(かもしれない)女の子もいるのに、どうしても年上の同性が気になる、そんな複雑で繊細な気持ちがこの夏の美しい景色の中に溶けていました。
●アーミー・ハマー(Armie Hammer)
誕生日:1986年8月28日生まれ
星座:おとめ座
身長:194cm
出身:アメリカ・カリフォルニア州
▶おすすめの代表作品
子供の勘違いじゃない、17歳の等身大の姿!
よく、BLの作品でありがちなのが、「この気持ちは勘違いかもしれない」という考えです。
ですが、この作品のエリオは、わりと素直に自分の恋心を受け入れていたように思えました。
段々オリヴァーのことを好きになっていく表情、仕草、行動がとても可愛らしく、自然な演技で素晴らしかったです。
「たまたま好きになったのが同性だっただけ」という言葉も、BLの作品ではよく使われるセリフですがこの映画はまさにその言葉がピッタリ。
純粋に人を好きになって、気持ちをストレートに伝える17歳の等身大の姿がありました。
両親からの、偏見を持たない優しい心
この作品の見どころは、両親とエリオの関係性です。
エリオの両親は、エリオがオリヴァーに恋心を抱いていることに気づいていたのです。
駅でエリオとオリヴァーが別れたあと、エリオは迎えに来た母の車の中で泣き続けます。
家に帰ってからも、エリオの気持ちは沈んだままでした。
そんなエリオに、両親は優しく話しかけるのでした。
この両親の偏見を持たない優しい心が、エリオの人をまっすぐに愛する心を育てたのかもしれないですね。
●ルカ・グァダニーノ監督(Luca Guadagnino)
誕生日:1971年8月10日生まれ
星座:しし座
出身:イタリア・シチリア州
▶おすすめの代表作品
ティモシー・シャラメの特別なオーラ:まとめ
ふたりが最終的にどうなったのかはこの記事に記していませんが、ラストの1秒まで切なさでいっぱいの物語です。
エリオは初め、マルシアに恋心を抱いていたのかもしれません。
ですがこれから先、色んな恋をすると思いますが、オリヴァーがエリオにとっての「忘れられない人」になったことは間違いありません。
「BL映画かあ…」と、偏見を持っている人がいたら是非偏見を捨てて見てほしいです。
逆に、BL作品特有の甘々ストーリーを期待していると、「ちょっと違ったかも?」となってしまうかも。
そして、次々と話題作に登場しているエリオ役のティモシーシャラメ。
独特のアンニュイな雰囲気は彼にしか出せない特別なオーラですよね。
2023年には『Wonka(ウォンカ)』『Dune(デューン):Part Two』が公開!
参考記事:映画『DUNE /デューン 』は豪華キャストによる、スターウォーズ的宇宙観が圧巻!
最後に:『君の名前で僕を呼んで』そして、続編「Find Me」へ
最後になりますが、『君の名前で僕を呼んで』というタイトル。
よく考えないと「?」となりますよね。
「君は僕、僕は君」「一つになってしまいたい」という意味に筆者は捉えたのですが、皆様はどのように解釈しているのでしょうか?
あなたの眩しくも切ない10代の夏の恋のエピソードと共に、こっそり教えてください!
(※管理者コメント:興味のある方はアンドレ・アシマン原作の続編がすでに発刊されています。また、続編映画も検討中というルカ・グァダニーノ監督の発言もありました。)
Find Me (マグノリアブックス) 文庫 (著アンドレ・アシマン )
《ライター:永瀬花帆》
グラビアアイドルとして活動中。ミニシアター系の映画をまんべんなく見ます。
普段映画を観ない方にも「観たい!」と思っていただけるような記事を目指してます!
▶最近の掲載媒体
エキサイティングマックス!Special 177 (エキサイティングマックス! 2023年01号増刊)
※「柚乃花のグラビア写真道」に掲載中!
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