17歳の少女が望まない妊娠をし、中絶するためにニューヨーク州まで旅をする姿を描いた衝撃の物語『17歳の瞳に映る世界』。
淡々と、かつ強いメッセージ性を受け取ることが出来る本作は、様々な賞を受賞したことでも知られる名作映画です。
ここでは作品をまだ観たことがないという方はもちろん、出演したメインキャスト二人の女優にまつわるエピソードなど、映画を観たあとでも楽しめる魅力をお伝えいたします。
(冒頭画像:引用https://twitter.com/17hitomi_movie/)
『17歳の瞳に映る世界』:作品情報
映画タイトル | 17歳の瞳に映る世界 |
原題 | Never Rarely Sometimes Always |
監督 | エリザ・ヒットマン |
出演 | シドニー・フランガン、タリア・ライダー、セオドア・ペレリン、ライアン・エッゴールド、シャロン・ヴァン・エッテン、ドリュー・セルツァー他 |
公開日 | 2021年 【YouTube:予告編】 |
望まぬ妊娠、従妹と共に中絶の旅へ:あらすじ
アメリカ・ペンシルベニア州に住むオータムは、地味で友達も少なく、愛想のない17歳の女子高生。
唯一の親友は、従妹であり同じスーパーでレジ打ちのバイトをしているスカイラーだけでした。
ある日、オータムは自分が予期せぬ妊娠をしていたことに気付いてしまいます。
望んでいない妊娠に落胆するオータムは、ビタミンCを過剰摂取したり、お腹を叩いたりと堕胎方法をいくつか試してみますがうまくはいきません。
また、オータムが住んでいるペンシルベニア州では両親の同意がなければ、未成年者の中絶は許されていません。
誰にも相談出来ないオータムの異変に気付いた親友スカイラーは、お金を工面して長距離バスに乗ると、中絶に両親の同意が必要のないニューヨーク州を目指す旅に出ることになります。
静かな世界で動く2人、葛藤や覚悟がリアル
第70回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した本作。
愛想がなく、周囲からも不機嫌だと思われている女子高生オータムが望まぬ妊娠をしてしまい、中絶するために従妹のスカイラーとNYに向かう数日間を描いたロードムービー物語です。
“望まぬ妊娠”という、もしかしたらどんな女性にも訪れる可能性や女性であることへの痛みなどを繊細に、静かに描き、セリフも音楽も最小限に抑えた演出が独特な作品です。
控えめな演出の中で生きる2人の少女たちの心情にぐっとクローズアップすることによって、彼女たちの苦悩や覚悟がリアルに伝わってきて、没入しやすい作風となっています。
登場する男性たちのほとんどが有害な存在として描かれる一方で、手を差し伸べる女性の中にも不快な医師がいたりと、性別に関係なくどちらも平等に17歳の少女の瞳には嫌な存在として映る描写が印象的でした。
オータムを支える従妹、スカイラーの存在
劇中、オータムを妊娠させた相手の男性は明かされず(なんとなく予想は出来るのですが)、最後まで判明することはありません。
友人のいない無愛想なオータムを支えてくれる友であり、従妹のスカイラーとの強い絆は微笑ましく、正反対の性格でありながらも2人は実にナイスコンビです。
不快な存在しかいないこの世界で、スカイラーの存在が唯一の光の存在といっても過言ではないでしょう。
非力な高校生達ですが、2人がしっかりと歩を進め、困難に立ち向かう姿には思わず旅の成功を祈らずにはいられません。
本作は淡々と進み、淡々とエンディングを迎えます。
オータムを傷つける存在がいる世界へ再び帰ることの絶望の中で、少しでも希望の光が彼女に射すことを願うばかり。
17歳の少女が望まぬ妊娠・中絶という暗く、辛く、あまりにも重い現実を描いた内容ですが、若い女性の生きにくさを生々しく表現した作品として年齢や性別問わず、どんな層の人にも観て頂きたい一作です。
オータムを演じたシドニー・フラニガンは演技初挑戦だった
17歳で妊娠した主人公オータムを演じたのは、シンガーソングライターであり女優でもあるシドニー・フラニガン。
実は彼女、今作で初めて演技に挑戦したという脅威の新星であるということを皆さんはご存知でしょうか。
味のある歌声も披露しており、その驚くべき才能の持ち主の出現には世界が絶賛。
批判家チョイス映画賞の、主演女優賞を獲得した新人女優です。
本作に出演するきっかけとなったのは、本作の監督であるエリザ・ヒットマンのパートナーが撮影していた作品のロケハンでエリザと出会い、フェイスブックでフレンド同士になったことでした。
エリザ・ヒットマン監督はシドニーが音楽を演奏している動画を見て、本作のオーディションに参加してほしいというメールを送り、受け取ったシドニーは脚本を読んで一瞬その力強い内容に戸惑ったものの、挑戦してみることを選んだのだそう。
初めての映画撮影はとても心細かったようですが、その戸惑いこそがオータムの心情や環境とシンクロし、リアルな人物像を表現出来ていることが映像からも伝わってきます。
オータムから滲み出る素朴さや、等身大なナチュラルさは新人女優であるシドニーだからこそ演じることが出来たキャラクターなのかもしれません。
シドニーは本作の他にも、映画『Rounding(原題)』(22)というミステリー映画にも出演しており、これからが期待される若手女優の一人として活躍中です。
●シドニー・フラニガン(Sidney Flanigan)
誕生日:1998年10月19日生まれ
星座:てんびん座
出身:アメリカ・ニューヨーク州
主な出演作品:『Rounding(原題)』
圧倒的な存在感を見せた親友、演じたのはタリア・ライダー
劇中でも強い存在感を見せつけ、オータムの親友であり従妹のスカイラーを演じたのは映画『ウエスト・サイド・ストーリー』(21)やNetflix映画『リベンジ・スワップ』(22)に出演している新進気鋭の人気若手女優、タリア・ライダーです。
なんといっても、その繊細で美しさく可憐さを放つスカイラーに釘付けになってしまった方も多いのではないでしょうか?
スカイラーがオータムを優しく、献身的に支えたからこそオータムが困難を乗り越えることが出来たこの物語、スカイラーは圧倒的に不可欠な役割を担っています。
劇中でオータムとスカイラーの強い絆に心をきゅっとさせられるわけですが、作品外でも2人はとても仲が良く、大きな絆で結ばれているとのことです。
壁をなくすために、映画に関する台詞やプライベートの質問に答えを書くノートを交換。
タリアはもしシドニーが劇中と同じ境遇になった場合には、スカイラーと同じようにシドニーを守りたいと語るほどで、作品を通してかけがえのない友人となることが出来たようです。
エリザ・ヒットマン監督によるシドニーとタリアのインタビューを観れば、きっとこの2人を好きになること間違いなしなので、是非ともこのまばゆいコンビに注目してみてくださいね。
【YouTube:How ‘Never Rarely Sometimes Always】
●タリア・ライダー(Talia Ryder)
誕生日:2002年8月16日生まれ
星座:しし座
出身:アメリカ・ニューヨーク州
▶主な出演作品
『リベンジ・スワップ』、『ウエスト・サイド・ストーリー』
まとめ
17歳という人生の中でも特にナイーブで、敏感で、非力な年頃の年代でありながら、妊娠・中絶という壮絶な状況下をなんとか生きようとするその姿に様々な感情を抱かずにはいられなくなる本作。
淡々と描かれながらも、2人の運命にグッと引き込まれる作品で、あっという間にクライマックスを迎えてしまうストーリーになっています。
一度は観ておきたい『17歳の瞳に映る世界』を是非ともチェックしてみてくださいね。
《ライター:Yuuri》
読者の皆さんこんにちわ。ライターのYuuriと申します。
アクション映画を好み、エマ・ストーンとダイアナ・シルヴァーズをこよなく推してます。
記事の感想などありましたら、お気軽にご連絡くださいませ!
記事へのご感想・関連情報・続報コメントお待ちしています!