2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件「9.11」から20年余り・・・
2021年8月には、バイデン大統領がアフガニスタン駐留米軍の撤収完了を発表。
約20年に渡る「米史上最長の戦争」は終結しました。
今まで、9.11を題材にした作品も多く公開され、その中には実話に基づいた作品も多く製作されています。
今回は、ライターsanaeがおすすめする実話に基づいた3作品をご紹介します。
(冒頭画像:引用https://www.heraldsun.com.au/subscribe/news/)
1.『ユナイテッド93』:事実を再現したリアリティ作品
2006年公開の映画『ユナイテッド93』(原題:United 93)。
アメリカ同時多発テロでハイジャックされた4機のうちの1機で、唯一目的地に届かなかった同機内や航空関係者たちの様子を描いたノンフィクション作品です。
監督、脚本は、ポール・グリーングラス。
2001年9月11、サンフランシスコに向けてユナイテッド93便は、ニュージャージー州ニューアークを離陸の準備を進めていました。
一方、ボストン発ロサンゼルス行きのアメリカン航空11便と連絡が途絶えていたボストンの航空管制センターに、コックピットを制圧したという連絡が入ります。
その後、アメリカン11便はニューヨークのワールドトレードセンタービル北棟に激突。
続けて、ユナイテッド航空175便もワールドトレードセンタービル南棟に激突します。
そんな中、次はダレス国際空港を飛び立ったロサンゼルス行きのアメリカン航空77便が行方不明に。
連邦航空管制センターの連邦航空局主任のベン・スライニー(本人)は、米国内全ての空港に封鎖命令を出します。
テロリストに立ち向かう乗客、やがて制御を保てなくなり…
その頃、ユナイテッド93便が予定よりも少し遅れて離陸します。
間もなく、機内ではテロリストたちが着々と行動を始めていました。
機長と副操縦士は殺害され、テロリストたちはユナイテッド93便を占拠。
乗客たちは機内の状況や家族との連絡によって地上での様子を知り、自身たちがおかれている状況を知ります。
窮地に立たされた乗務員と乗客たちはテロリストに立ち向かうため、武器になりそうなものを集めてテロリストに襲い掛かります。
乗客を抑えることが出来ないと判断したテロリストがとった行動とは…
テロリストに立ち向かう乗客たちの姿と、やがて制御を保てなくなったユナイテッド93便がペンシルベニア州ピッツバーグ郊外の森の中へと墜落するまでの様子が描かれています。
リアリティを追求、こだわった出演者たちや機内の再現
出演者は、パイロットや客室乗務員、航空会社の従業員役には航空会社で実際に働いている人たちを集め、役管制官などは実際に体験した本人が出演。
俳優も、ほぼ無名な人を中心に起用することでリアリティのある雰囲気を感じさせる作品になっています。
また、本作はテロリストに占拠された機内を忠実に再現するため、残されたボイスレコーダーや無線記録、乗客が家族と交わした電話でのやり取りを基に機内の様子を再現。
特に、実際の音声が一部使用されている点では、テロ当時の緊迫した様子がリアルに伝わってくるのが見どころです。
■おすすめの動画配信・レンタル・本【管理人・選】
ユナイテッド93 テロリストと闘った乗客たちの記録 (光文社文庫)
※「さあ、かかれっ」―かけ声と同時に、乗客たちはコックピットへ突進した。運命を我が手に取り戻すために。―2001年9月11日、ユナイテッド航空93便は、高度35,000フィートでハイジャックされた。機内に飛びかう絶叫と悲鳴。極限状態のなかで、愛する家族へ最後の電話をかける人々…。そして、おとずれる永遠の沈黙。いま明かされる、テロリストと闘った乗客たちの真実の記録。【引用:Amazon】
2.『ワールド・トレード・センター』:突入した警官!
2006年公開の映画『ワールド・トレード・センター』(原題:World Trade Center)は、テロによって崩壊した世界貿易センタービルを舞台に、奇跡的に生還した2人の警官の姿を描いたノンフィクション作品です。
監督は、オリバー・ストーン、脚本はアンドレア・バーロフです。
2001年、9月11日、いつもと変わらぬ朝を迎えていたニューヨーク警察に、ワールドトレードセンタービルに旅客機が突っ込んだという信じがたい連絡が入ります。
ベテラン巡査部長ジョン・マクローリン(ニコラス・ケイジ)は部下を連れて現場へ向かうと、さらに旅客機がビルに激突する瞬間を目の当たりにします。
現場は逃げ惑う人々と救助隊で混乱するなか、ジョンは志願者を募り集まったウィル・ヒメノ(マイケル・ペーニャ)、アントニオ(アルマンド・リスコ)、ペズーロ(ジェイ・ヘルナンデス)、クリス(ジョン・バーンサル)の5人で救助のためタワー内に向かいます。
しかし、足りない酸素ボンベを探している最中に、エレベーターが崩れ5人は生き埋めに・・・
そこから救助されるまでの緊迫した様子が描かれています。
事実を忠実に描いた、緊迫の救出ストーリー
本作の見どころは何といっても事実を忠実に描いているところと言えるでしょう。
後に、救助されたウィル・ヒメノが記者会見で95%が真実で、5%が脚色であるとコメントしました。
この5%というのは、その瞬間の思いや考えが言葉にできなかったことを映画のなかではセリフとして表現しなくてはならなかった点や、緊迫感をだすために追加されたセリフもあったようです。
また事件当時、救助に参加した警察官や消防士50人以上がエキストラとして出演。
救助されたジョン・マクローリンとウィル・ヒメノも本人役ではありませんが、エキストラとして出演しています。
3.『ワース 命の値段』:補償問題を担当した男の回想録
2023年公開の映画『ワース 命の値段』(原題:Worth)は、9.11テロ事件の被害者約7000人の補償金を分配する国家的な大事業がテーマです。
そのプログラムを束ねることになった、弁護士ケン・ファインバーグの回想録『What Is Life Worth?』を原案に描かれた実話映画です。
監督は、サラ・コランジェロ、脚本はマックス・ボレンスタインです。
アカデミー賞、作品賞受賞作『スポットライト 世紀のスクープ』の製作陣が集結し、マイケル・キートンがプロデューサーを担当。
同時多発テロが発生した9月11日。
同月22日に政府は、被害者と遺族を救済するための補償基金プログラムを立ち上げます。
このプログラムを束ねる特別管理人に就いたのは、ワシントンD.C.の弁護士ケン・ファインバーグ(マイケル・キートン)。
過去には、多くの補償問題に関わってきた米国有数の裁判外紛争解決手続の専門家でした。
ファインバーグは、犠牲者への補償分配を地位や収入に応じた独自の計算式によって算出する方針を決めます。
しかし、犠牲者たちは年齢も職種もバラバラ。
命の値段を決めることになったファインバーグが率いるチームは、遺族から批判を受けることになります。
そんな彼が遺族たちの抱えるさまざまな事情や苦悩と向き合うことになり、ある決断を下します。
そして、計算機のようだったファインバーグの心に変化が・・・。
プログラム反対派の批判を受けながらも、使命に立ち向かった弁護士たちの2年間が描かれた作品です。
不法移民、同性カップル、さまざまな家族のカタチ…
ファインバーグたちが直面する犠牲者遺族は、さまざまなケースが登場します。
なかでも不法滞在している移民や、同性カップルのパートナーを失った男性が対象になるのか…。
さまざまな家族のカタチは、実際のエピソードが元になっています。
他にも、犠牲となった男性と不倫関係にあった女性で、男性との間に2人の子供がいるケースも。
男性の本妻が認めれば補償の対象になるという難しい問題の行方にも注目です。
■おすすめの動画配信・レンタル・本【管理人・選】
まとめ:今一度、思いを馳せてみては…
いかがでしたでしょうか。
今回おすすめの作品は、ほとんどが9.11同時多発テロ事件を忠実に描き製作された映画です。
筆者は事件当時、航空機がワールド・トレード・センターに衝突する瞬間の映像をテレビニュースを通して見たことは今でも鮮明に覚えています。
今もなお多くの人たちの心に深い傷を残し、一方では時の流れとともに同事件は知っているけど、どのような事件なのか知らない人もいるのではないしょうか。
作品を通して、今一度、犠牲に遭われた方や遺族に思いをはせてみませんか。
《ライター:sanae》
毎週金曜日は映画館に出没する某新聞社エンタメニュースライター。
子供の頃から観た映画は数知れず、気になった作品はジャンル問わず鑑賞。
日常生活を彩る映画との出会いのお手伝いができたら幸いです。
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