みなさんはケニア映画を観たことがありますでしょうか?
今回ご紹介するのは、同性愛が禁止されているケニアで、自由な恋愛を望む若者の奮闘を描く映画『ラフィキ:ふたりの夢』です。
アフリカという土地柄、Z級映画を想像される方も多いかと思いますが、この映画は言われなければケニア映画とは分からない、アフリカのイメージを覆す映画です!
(冒頭画像:https://senlisfilms.jp/rafiki/)
『ラフィキ:ふたりの夢』:作品概要
カンヌ国際映画祭史上初のケニア作品映画です。
2018年のカンヌ国際映画祭の「ある視点部門」へ出品される快挙を果たしました。
その後も立て続けにトロント、シカゴ、ロンドン、ロッテルダムなど多くの映画祭に出品され、世界でも注目を集めました。
しかし、ケニア国内では同性愛が違法であるため上映が禁止されてています。
100年以上も前から制定された同性愛を禁じる法律から、同性愛差別の文化さえ根付いたケニアでは、内容がゆえに観ることができないのです。
唯一、米アカデミー賞へ出品するためのエントリー条件を満たすために、首都ナイロビの映画館で1週間限定で上映されたことがあったそうです。
その時には、チケットを求めるために長蛇の列ができたり、予約の電話が殺到したということがニュースとなったそうです。
映画タイトル | 『ラフィキ ふたりの夢』 |
原題 | Rafiki |
監督 | ワヌリ・カヒウ |
出演 | サマンサ・ムガシア、シェイラ・ムニヴァ、ジミ・ガツ、ニニ・ワシェラ他 |
公開日 | 2019年(82分) |
同性の交際が犯罪、主人公が意識した女性:あらすじ
ケニアの首都ナイロビで、看護師を目指す主人公のケナ(サマンサ・ムガシア)。
ケナの父親ジョン・ムワウラは、国会議員に立候補し選挙活動にいそしんでいます。
そこで、ケナの父親の選挙ポスターを破く女の子を見つけます。
彼女はケナの父親ジョンの対立候補オケミの娘ジキ(シェイラ・ムニヴァ)です。
最初は対抗心や憤りからケナはジキを意識しますが、徐々にその感情が変わりつつあるのでした。
彼女たちの立場は、選挙で対立する立候補者の娘同士。
本来であれば敵対する関係性で慣れ親しんではいけないもの同士、そして交際が許されない同性という厳しい立場の中、明るい未来をつかむことができるのか。
ケニアのカラフルな最新カルチャーと、82分という見やすい尺で送る切ない感動作です。
見どころ:ケニアのイメージをアップデート!
同性愛嫌悪の、厳しすぎる文化
ケニアでは同性間の交際・性交渉は違法となっています。
罰則としては最大14年の懲役が科せられます。
また、交際が違法であるため、同性カップルによる養子縁組も禁止されています。
もちろん、ジェンダー差別に対する被害者を守る法律などもありません。
加えて法的に性別を変更することもできず、さらにはゲイ男性が献血することも禁止とされているのです。
ここまで同性愛への取り締まりが厳しいため、同性愛が発覚した暁には犯罪者かのような扱いを受けてしまうそうです。
切ない物語、ケニアの現実がここに
近年では日本でも人々の意識はLGBTQに寛容になりつつあるでしょう。
国の制度としても「同性婚を認めないことは違憲である」と裁判所が判決が下されたりと、変わりつつあります。
しかし、ケニアでは大統領も同性愛嫌悪の発言をしていたりと制度として動かすことも、国民一人一人の偏見の目も強く根付いています。
そんな同性愛に関して取り締まりの厳しい国にももちろんLGBTQの人はいるでしょう。
カミングアウトできずに悩んでいる人が大勢いるはずです。
本作はそんな声を上げられない国で悩み、明るい将来を夢見る若者の葛藤を観ることができます。
同性愛者が周囲の人間にどんな仕打ちを受けるのか、切ない物語に隠されたケニアの現実をぜひこの映画で観てみてください!
■動画配信・DVD:特典紹介【管理人・選】
※世界から熱く支持されたにもかかわらず、本国ケニアでは観ることのできない作品がある。ふたりの女性が恋に落ちる物語であることから、いまだ同性愛が違法とされ、禁固刑に処されることもあるケニアで上映禁止となったのだ…。【引用:Amazon】
カラフルなビジュアル、ケニアの最新カルチャー
この映画の画像や内容を観た人は、あまりにカラフルなビジュアルに驚いたのではないでしょうか?
前情報をなしに観た方は、ケニア映画と言われるまで気づかない映像に新鮮さを感じることでしょう。
普段ケニアと聞いてサバンナを思い浮かべるかもしれませんが、この映画にはそこまでの大自然は出てきません笑
オシャレに気を遣うティーンエイジャーたちの、ポップでノリの良い音楽を観て・聴いて楽しむことができます。
また、出演者もアーティスト系の人が演じています。
若いクリエーターたちの、フレッシュな演出!
主人公ケナのサマンサ・ムガシアはミュージシャン、デザイナー、モデルと女優以外でも活躍をしている女性です。
相手のジキ役シェイラ・ムニヴァは、若手監督として映画製作を学んでいるそうです。
監督のワムリ・カヒウ自身、本作が2本目の長編映画ということで、本作にはケニアの若いクリエイターが集結している最新のケニア映画なのです。
世界へケニアのイメージをアップデートさせるべく集まった、若いクリエイターたちによるフレッシュな演出をぜひご覧ください!
まとめ:ケニア映画の可能性と多様性
『ラフィキ:ふたりの夢』は、ケニア映画界における重要な作品であり、同性愛禁止の厳しい状況下で自由な恋愛を描いた感動的な物語です。
この映画はカンヌ国際映画祭などの世界的な舞台で注目を集め、ケニアの文化やイメージに新たな光を当てました。
若いクリエイターたちの集大成であり、ケニア映画の可能性と多様性を示す素晴らしい作品です!
彼らの情熱と才能が詰まったこの映画を通じて、ケニアの社会の課題や人間の愛について考えるきっかけとなることでしょう。
《ライター:kenya》 クリックで担当記事一覧へ→
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