毎年9月にスペイン、サン・セバスチャンで開催されるスペイン最大の国際映画祭。
ここを舞台にした映画『サン・セバスチャンへ、ようこそ』をご紹介します。
監督・脚本を務めたのは今まで多くの作品を世に送り出してきたウディ・アレン。
大人の恋の行方と、主人公がクラシック映画の世界を体験するという不思議な物語です。
本作の見どころに加え、監督についても解説!
最後まで読んでいただけたら幸いです。
(冒頭画像:引用https://longride.jp/rifkin/)
『サン・セバスチャンへ、ようこそ』:あらすじ
モート・リフキン(ウォーレス・ショーン)は、大学で映画学を教えていた元教授で今は小説を書いていました。
そんなモートはフランス人監督フィリップ(ルイ・ガレル)の映画広報を担当している妻のスー(ジーナ・ガーション)に同行してサン・セバスチャン映画祭に参加。
しかし、スーの浮気を疑っているモートは、次第にストレスが溜まっていき友人に紹介された診療所に受診します。
そこで出会ったのは容姿端麗で魅力的な医師のジョー(エレナ・アナヤ)。
その後、モートはジョーに会うため体調不良を装っては受診しようとするのでした・・・。
妻が若き監督と浮気?夫・モートも恋の予感が・・・
スーの浮気をうたがっていたモートでしたが予感は的中。
少なからずフィリップに惹かれていたスーは、映画祭の間に彼との距離が近くなっていきます。
一方、魅力的な医師のジョーと出会ったモートは、受診を繰り返していく中でジョーが浮気癖のある夫(セルジ・ロペス)との結婚生活に悩んでいることを知ります。
そして彼女に恋心を抱くように…、夫婦それぞれの恋の行方に注目です。
”映画愛があふれる”、名作映画のオマージュ
サン・セバスチャンを訪れた主人公モートは、ストレスの蓄積によってモノクロームの夢を見るようになっていました。
そんな夢に登場するのは、名作映画をオマージュしたワンシーンの連続。
劇中のなかでも見どころと言えるでしょう。
散歩をしていたモートの前に現れたのは、フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』の世界!
そして、クロード・ルルーシュ監督の『男と女』や、ジャン=リュック・ゴダール監督の『勝手にしやがれ』も登場します。
これらは、アレン監督がこよなく愛する名作たち。
名作の中に迷い込んだモートが人生の意味を探し求める姿にも目が離せませんよ。
主要キャストとプロフィール
(以下、画像引用・プロフィール文参考:https://longride.jp/rifkin/)
モート・リフキン役:ウォーレス・ショーン
1943年生まれ。アメリカ、ニューヨーク出身。
映画デビュー作がアレン監督の『マンハッタン』(79)だったショーン、その後もアレン監督やルイ・マル監督の作品に多く出演しています。
また『トイ・ストーリー』シリーズでは、スピンオフの作品も含めてレックスの声を担当。
他の作品では、スティーブン・フリアーズ監督の『プリック・アップ』(87)、ロブ・ライナー監督の『プリンセス・ブライド・ストーリー』(87)、エイミー・ヘッカリング監督『クルーレス』(95)、ノア・バームバック監督の『マリッジ・ストーリー』(19)などに出演しています。
スー役:ジーナ・ガーション
1962年生まれ。アメリカ、ロサンゼルス出身。
これまで数多くの作品に出演してきたジーナ。
代表的な映画の出演作では、ポール・ヴァーホーヴェン監督の『ショーガール』(95)、ウォシャウスキー監督の『バウンド』(96)、ジョン・ウー監督の『フェイス/オフ』(97)、マイケル・マン監督の『インサイダー』(99)、ヒラリー・スワンク主演の『P.S.アイラブユー』(07)などがあります。
フィリップ役:ルイ・ガレル
1983年生まれ。フランス、パリ出身。
父は映画監督のフィリップ・ガレル、母はブリジット・シィ。
6歳の時に父フィリップの作品に『救いの接吻』に出演し、才能を認められる。
その後、再びフィリップの作品『恋人たちの失われた革命』(05)に出演し、セザール賞有望若手男優賞を受賞。
グザヴィエ・ドラン監督の『胸騒ぎの恋人』(10)、ロマン・ポランスキー監督『オフィサー・アンド・スパイ』(19)などに出演。
2022年には映画監督としても活躍。
監督・脚本・主演を務めた『L’INNOCENT(原題)』では、セザール賞脚本賞、同主演男優賞、ルミエール賞主演男優賞、同脚本賞など多くの賞にノミネートされています。
巨匠ウディ・アレン監督とは?
1935年、アメリカ、ニューヨーク州出身。
監督デビュー作は、1966年制作の『What’s Up, Tiger Lily?』。
1977年の『アニー・ホール』で、アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞の4部門を受賞しています。
ほぼ毎年のように作品を撮り続けたアレンは、2011年の『ミッドナイト・イン・パリ』が世界中で大ヒットし、アカデミー賞4部門にノミネート、脚本賞を受賞。
『ブルージャスミン』(13)では主演のケイト・ブランシェットがアカデミー賞で主演女優賞を受賞。
アレン自らも16回目のアカデミー賞脚本賞にノミネートされています。
また、2013年にはゴールデン・グローブ賞でセシル・B・デミル賞を受賞。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
80歳を過ぎても、ほぼ毎年1本のペースで作品を撮り続けるアレン監督。
本作では、スペインの美しい街並みはもちろん、そんな監督の映画愛がつまったほろ苦い大人のラブコメディに仕上がっています。
名作映画のオマージュシーンを知ってる者はクスっとさせられ、知らない者はクラシック映画の入口になるかもしれません。
また、モートが日本映画の代表作を口にするシーンもあるので必見ですよ。
《ライター:sanae》
毎週金曜日は映画館に出没する某新聞社エンタメニュースライター。
子供の頃から観た映画は数知れず、気になった作品はジャンル問わず鑑賞。
日常生活を彩る映画との出会いのお手伝いができたら幸いです。
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