HOLA!
今回は、20代~30代の若い世代に観てほしい映画をご紹介いたします。
あんなに怖かった『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のペニー・ワイズも大人になれば可愛らしくさえ思えてしまう、悪い意味でワクワクしなくなったり、いい意味で学園青春ものの映画の良さに気づいたり。
だから映画は面白いんです。
それではいってみましょう!
(冒頭画像:引用https://www.twellv.co.jp/program/drama/)
①『テルマ&ルイーズ』
仲良し熟女の、殺人逃避行ストーリー
筆者は19歳くらいの時にこの映画を観たのですが、鑑賞きっかけはミュージカル『RENT』に出てくるエンジェルというジェンダーの登場人物が歌っていたから。
♪ テルマ&ルイーズのようにダ~イブ ♪
と歌っていて「誰?」と調べて観た映画が今作で、これが最高に20歳前の自分に響きました。
「10代が終わったら早いよ。すぐおばさんになった」
と、バイト先の30代後半の人に脅されていたので「中年」になることに対しての嫌悪感があったのですが、テルマとルイーズに会って価値観が変わりました。
罪を犯しながらも、どこか少女的で愛おしい!
ストーリーは、独身中年ウエイトレスのルイーズ(スーザン・サランドン)と平凡な主婦テルマ(ジーナ・デイヴィス)の友人同士がある日ドライブに出かけます。
その旅先で男にワイセツ行為を強要させられ、持っていた銃で撃ち殺してしまいメキシコへ国外逃亡するという、超平凡なストーリー。
しかし、独身で中年でウエイトレスといった設定と、平凡すぎる主婦といった設定が日常的でとてもいい!
「あ、おばさんになっても冒険ってできるんだ!」とワクワクした映画です。
エンジェルが歌っていた通りラストは華麗にダイブしております。
人間もう無理な状況にまで追いつめられると確かにダイブしちゃうかも。
殺人を犯して逃げまくる、その中でも「女」を捨てない二人が美しいし、罪を犯したのにも関わらずどこか少女的で楽しそうな二人が愛おしい本作品。
『ブレードランナー』のリドリー・スコット監督初のアカデミー候補作品です。
②『ラストエンペラー』
坂本龍一の音楽が心地よい、中国最後の皇帝の悲劇
好きな人が多いと思われる本作品。
中国、清朝最後の始皇帝となった愛新覚羅溥儀の伝記映画です。
この映画の何が人々の心を魅了しているのか、三時間近くあるし歴史ものだし、しかも中国史で複雑かつ難しいのに…。
色彩豊かで、衣装も豪華、そして最後の皇帝というくらいなので、その圧力が観客にダイレクトに伝わりやすくなっているのかもしれません。
難しい題材なのに「最後の」や、その人物の末路が想像できる映画に人々はロマンを感じるのでしょう。
人間は結局、観たいものは喜劇ではなく悲劇。
特に日本人は悲劇が大好きなので「好きな作品」によく挙がってくるのだと筆者は勝手に解釈しております
そして、まんまと大好きな作品です。
溥儀は別に皇帝になりたくてなったわけじゃない、生まれたときからそうだった。
それって重すぎるし、時代が悪かった「運命」を背負っているわりに彼が好奇心旺盛で観ているうちに好きになっていくような魅力があるからだと思います
筆者は、乳母のアーモがただの乳母でなく初恋の人だったと気づくシーンがとても好きです。
せつない・・・。
感性豊かな10代で、ぜひ観てほしい作品!
そしてラスト、このラストが「時代」なのです。
もう「歴史」ではなくなり「時代」になっている、この侘しさを是非ご堪能ください。
この時代の中国史に興味ある方は是非、史上最強の悪女(めっちゃくちゃ怖い)西太后の伝記も併せて調べてみてくださいね。
長い歴史を持つ中国の変わり目の出来事の映画、こういう伝記映画やアウシュビッツなどで起きた出来事を題材にしたものは
できれば感性豊かな10代で観るべき映画かもしれません。
(知識としても、誰かの人生を観ることで今後の自分の人生の役に立てるから)
20代~30代で未鑑賞の方は本当にお勧めです
③『バグダッド・カフェ』
人生に何かひっかかりがあるのなら「観ろ!」
の、一言しかない作品で、特に30代の方は是非観ていただきたい!
ドイツ人の熟年夫妻がアメリカ旅行中に喧嘩をした挙句、夫が妻を置き去りにしてしまうことから物語は始まります。
妻は、慣れない土地でやっと見つけたアメリカ砂漠地帯に佇む「バグダッド・カフェ」という黒人家族が営むダイナーに転がり込みます。
周囲から煙たがれながらも入り浸り、徐々に人気者になっていくというお話。
世渡り上手の手本になるかも?
黒人家族の妻も超がつくくらいのヒステリーで、ドイツからきたという女性に暴言を吐きまくるのですがドイツ人女性は揺るぎません。
そこには同じ女性、そしてここアメリカでは二人とも違う意味で疎外されています。
黒人女性のことを理解している寛容なドイツ人女性が本当に素敵だし、生き方がかっこいいです。
「人に好かれるには」を教えてくれる、いわば、世渡り上手の手本といった映画です。
会社でうやむやしている方におすすめの一作品で、鑑賞後、新しい趣味にマジックを取り入れたくなります。
④『リトル・ダンサー』
バレエ・レッスンがきっかけ、男が女の夢をみて何が悪い?!
音楽と少年のダンスがマッチして思わず拍手!
若いうちにこの映画を観るとバレエダンサーを夢見る少年ビリーの努力に共感し、30代後半あたりに鑑賞するとビリーのお父さんと自分を重ねあわせます。
イギリスの田舎の炭鉱夫の息子ビリー。
父も兄も粗野な炭鉱夫で認知がはいった祖母の世話をしつつ、「男はボクシングかレスリング!」と言います。
いかにも頑固親父から譲りうけたグローブをつけボクシングをしていたビリー。
だがある日、体育館でバレエのレッスンを見たことがキッカケでバレエダンサーになることを夢みはじめることに。
ロンドンのバレエ学校にオーディションを受ける決意をするのですが・・・
ビリーのお父さん、息子のためにしたこと!
バレエは女がやるものなんて決めつけるな!と、メキメキ才能を伸ばしはじめるビリーの成長に胸打たれます。
最愛の母を亡くした悲しみを抱えているが表には出さず、内に秘めた演技がとても上手い!
あどけなさと少年から大人になりかけている思春期の色っぽさにもくぎ付けです。
そんなビリー役を演じた美少年ジェィミー・ベルは約2000人の出演者候補者から選ばれたそうです。
バレエに反対していたビリーのお父さんが息子のために身を切るシーンは感動です。
まとめ
いかがでしたか?!
特に『バグダッド・カフェ』と、『リトル・ダンサー』は心が癒される映画なのでじっくり深く鑑賞できます。
若いうちにたくさんいい作品に出会ってみてくださいね
それでは!
NOS VEMOS
《ライター:なんじゅん》 クリックで担当記事一覧へ→
元舞台俳優・劇作家・現イラストレーター
中学生の頃から一人映画館をキめていたくらい大の映画好き。好きな映画は「髪結いの亭主」。
ポップコーンはバター多めで。
どの映画も確かに若い頃に観るべき作品だと思います。特に『リトルダンサー』。家族もですね。若い頃に観ると、主人公のビリーの自分と向き合い夢を追う姿勢に学んだり、共感を得たりしますが、大人になって観返すとそんなビリーの門出を見守る側のお父さん、お兄さん、バレエの先生に共感し、感情移入することができると思います。
時間は、不可逆的なので大人になってしまうとビリー側に100%戻って映画を観ることはできなくなります。自分が歳を重ねていく上で感情移入する対象の人物が変わる、その変化を楽しむのは長期的な映画鑑賞とも言えます。普通に映画鑑賞するのも大いにいいですが、そういった観方をすることで映画と自分の関係性もより豊かになっていくのは確かだと思いました。
コメントありがとうございました!
”自分が歳を重ねていく上で感情移入する対象の人物が変わる、その変化を楽しむのは長期的な映画鑑賞とも言えます。”
ホント、そうですよね!
もし他の記事でも、田中様の機微に触れるものがあればコメントお待ちしております!
田中美穂 様
コメントありがとうございます!ビリーの成長にグッとくるものがありますよね。男はこうだ、女はああだ。という風潮は段々薄れている世の中ですが、まだ多少は残っている現代に生きる若い人に鑑賞して何かを感じてほしいな。と強く思う映画です。バレエの先生とビリーの関係、、いいですよね、、。歳を重ねて改めて観ると違った見方になりますね
映画は成長しないが、我々は成長する。
私も大好きな作品なのでコメント感謝いたします!
ありがとうございました!
”男はこうだ、女はああだ。という風潮は段々薄れている世の中ですが、まだ多少は残っている現代に生きる若い人に鑑賞して何かを感じてほしいな。と強く思う映画です。”
そうですよね!関連するかどうかわかりませんが、先日当サイトのライター様(すどうゆき様)の記事で推薦のあった『セイント・フランシス』を見て、女性側から視点がよくわかる映画で大変、良かったです!