皆さんは、※「ロアルド・ダール」という名前を聞いたらまず何を思い浮かべますか?
『夢のチョコレート工場』や『マチルダは小さな大天才』など、映画やミュージカルになっている有名な作品を思い出す人が多いかもしれません。
また、ミステリー小説家や映画脚本家としても活躍していました。
脚本を担当した『チキ・チキ・バン・バン』(67)や『007は二度死ぬ』(68)を思い出す人もいるでしょう。
その幅広い活躍のせいか、ダールの名前を辿っていくとそれはさまざまなクリエーターや俳優たちの名前に出逢います。
今回は、実はこれもロアルド・ダール!という作品たちを3本厳選して紹介し、新しいダール原作の作品『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』にも触れていきたいと思います!
(冒頭画像:引用https://www.netflix.com/tudum/articles/)
日常に潜む魔女との戦い『魔女がいっぱい』(20)
2020年にロバート・ゼメキス監督によって映画化された『魔女がいっぱい』。
おばあちゃんと一緒に大きなホテルに泊まった主人公の男の子は、偶然魔女たちの集会を目撃します。
運悪く見つかってしまい、ネズミに変えられてしまった主人公は、他の子供達を守るために魔女たちに立ち向かおうとしますが……。
本作の重要なキャラクターは、魔女たちの親玉「大魔女(グランド・ウィッチ)」。
『チャーリーとチョコレート工場』で言うウィリー・ウォンカ、『マチルダ』で言うトランチブル校長先生のような、子供の敵なのか味方なのか、いい人なのか悪い人なのかわからない、ダールならではのキャラクターです。
魔女たちは、一見みんな美しい女性ですが、実はそれは世を忍ぶ仮の姿。
「皮」を脱ぐと恐ろしい老婆のような本当の姿が現れるという設定です。
2020年の映画では、アン・ハサウェイがこの大魔女を演じて話題になりました。
骨ばった指や足、子供の匂いを嗅ぎつけようと大きく広がる鼻の穴など、「魔女」要素はユニークなCGで表現されているようです。
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実はあの人も「魔女」だった!
実は、『魔女がいっぱい』はこれが初めての映画化ではありません。
1990年の『ジム・ヘンソンのウィッチズ/大魔女をやっつけろ!』は、『セサミストリート』や『ザ・マペッツ』の生みの親であるマペット作家、ジム・ヘンソンが制作総指揮を務めた作品です。
この映画の「大魔女」を演じているのは、なんとアンジェリカ・ヒューストン!
『アダムス・ファミリー』でモーティシアを演じるよりも前の作品ですが、なんともピッタリのキャスティングですよね。
この作品では、大魔女の特殊メイクにジム・ヘンソン渾身の造形を見ることができます。凄いですよ!
セリック監督とコラボ!『ジャイアント・ピーチ』(96)
1961年に発表された『おばけ桃の冒険』は、主人公のジェームズ少年と友人の虫たちが、巨大な桃に乗ってニューヨークへ旅をするという物語。
ダールの物語によく登場する「巨大なもの」というモチーフが中心に据えられた作品です。
この映画の監督は、ヘンリー・セリック。
本作より3年前に『ティム・バートンのナイトメア・ビフォア・クリスマス』を監督した、ストップモーション・アニメ作家です。
『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』というとティム・バートンのイメージです(原案や原作、キャラクター創造はバートンです)が、実際に作品を監督したのはヘンリー・セリックなんです。
『ジャイアント・ピーチ』は、作品の7〜8割ほどがストップモーション・アニメで制作されました。
『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』でも見られたような、温かみと不気味さが共存している命ある人形たちの動きに注目です。
実はこんな企画も!超豪華キャストによる朗読
ちなみに、現在は見ることができませんが、2020年のロックダウン期間中には数々の有名俳優たちがリモートで『おばけ桃の冒険』を朗読し、Youtubeで公開という「パートナーズ・イン・ヘルス」へのチャリティ企画がありました。
演出をつけたのはタイカ・ワイティティ監督。
ニュージーランドの自宅にカメラを2台置いての出演でした。
ベネディクト・カンバーバッチとメリル・ストリープが意地悪なお婆さん姉妹役(!)を演じるなど、ここでしか見られないような顔ぶれだったんです。
ワイティティ監督らしいゆるい演出と和やかな雰囲気で、とっても楽しい企画だったのを筆者はよく覚えています。
【YouTube:SERIES TRAILER: James and the Giant Peach, with Taika and Friends】
動物たちの葛藤『ファンタスティック・Mr. FOX』(09)
1970年刊行の「父さんギツネバンザイ」を原作とした『ファンタスティック・Mr. FOX』は、※ウェス・アンダーソンがアニメ映画の監督に初挑戦した作品です。
こちらもストップモーション・アニメですが、登場人物がほぼ全員二足歩行の動物という特徴から、パペットの造形や雰囲気は『ジャイアント・ピーチ』とは大きく違っています。
新聞記者として働いていたミスター・フォックスが、妻と息子のいる落ち着いた生活をする自分と、かつて野生の動物のように盗みをしていた自分との間で揺れ動くという本作の物語。
台詞の中に繰り返される「ワイルド・アニマル」という概念と動物たちのこだわり、アンダーソンらしいモノローグの展開など、目も耳も存分に楽しめる一本です。
豪華なボイスキャストにも注目!
また、いつものアンダーソン作品のように、ボイスキャストも超豪華。
ミスター・フォックス役にジョージ・クルーニー、パートナーのミセス・フォックスはメリル・ストリープ、息子役にジェイソン・シュワルツマンと、常連も新しい顔ぶれも入り混じったメンバーになっています。
カラフルで几帳面な画面はアンダーソン作品そのものですが、話の筋はどこまでもダールらしさが溢れる、ダークな一面に注目してみてください。
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ウェス・アンダーソンの世界 ファンタスティック Mr.FOX
※ロアルド・ダールの児童文学『すばらしき父さん狐』を映像化したストップモーション・アニメ作品となっており、3年の歳月をかけて、細部までとことんこだわり制作されたウェスによるミニチュア世界が堪能できます。豪華キャストのインタビューはもちろん、パペットのデザイン案や衣裳案、ウェスとスタッフのメールのやり取りなどを大公開。 【引用:Amazon】
「奇才ヘンリー・シュガーの物語」ウェス監督が映像化!
2023年9月にネットフリックスで配信される『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』は、ダールの短編小説※「奇才ヘンリー・シュガーの物語」が原作です。
父親の遺産で暮らすギャンブル好きな大富豪、ヘンリー・シュガーが、千里眼のような能力を持つという男の話が書かれたノートを発見し……というあらすじ。
ヘンリー・シュガー役はベネディクト・カンバーバッチ(ピッタリですね!)、能力を持つ男イムラット・カーンはベン・キングスレー(これもピッタリ!)が演じるそうです。
ウェス・アンダーソンにとって2回目のロアルド・ダール作品の映像化となる本作、監督の持ち味と原作の雰囲気のマッチングを楽しむことができそうです!
※「奇才ヘンリー・シュガーの物語」とロアルド・ダール【管理人・選】
奇才ヘンリー・シュガーの物語 (ロアルド・ダールコレクション 7)
ロアルド・ダール:1916~1990年。イギリスの作家。(中略)イギリス空軍の戦闘機パイロットとして従軍したが、撃墜され、長く生死の境をさまよった。戦後、この経験をもとにした作品で作家生活に入り、変わった味わいの短編小説を次々に発表して人気を確立。結婚後は児童小説も書きはじめ、この分野でも、イギリスをはじめ世界じゅうで評価され、愛される作家となっている。【引用:Amazon】
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《ライター:ぜろ》 担当記事一覧はこちらをクリック→
高校2年生で『アベンジャーズ』を観て以来の映画ファン。大学と大学院では映画研究にどっぷり浸かっていました。
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