法廷ドラマ『ローマンという名の男』デンゼル・ワシントン主演、正義と信念を貫く弁護士の挫折…

ローマン,デンゼル・ワシントン
『ローマンという名の男 -信念の行方-』デンゼル・ワシントン

今回ご紹介するのは、『ローマンという名の男ー信念の行方ー』、原題【Roman J. Israel, Esq.】(ローマン・J・イズラエル エスクゥアイア)の登場人物とストーリーです。

デンゼル・ワシントンが第90回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされるも、日本公開はされずDVDスルーとなった、米国の刑事司法制度が題材のサスペンスである本作。

タイトルでもあり、主人公が劇中で何度か口にする自身の名前の、後ろに付く‘esq.’は、「ジェントルマンより上でナイトより下」と本人は説明しており、米法曹界の人物の敬称です。

法学部の学生さんや士業に就く方々は、日米の違いはあれど法律事務所の実態に共感し、そうでない方々も主人公の生き様に心打たれるのではないでしょうか。

(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/RomanJIsraelEsq/)

徐々に意志を分かち合う、「信念」を抱く登場人物たち

正義感に燃えるも冴えない一人の弁護士の物語である本作。

どこへ行っても変人扱いされるものの、人の為に熱心に行動する主人公に心動かされる同志がいました。

人権弁護士ローマン、変わり者扱いにもめげない!

ローマン,デンゼル・ワシントン
https://www.facebook.com/RomanJIsraelEsq/

着ているワイシャツはヨレヨレ、アフロヘアーに拘る見た目の冴えない本作の主人公ローマン

退勤後も毎日同じルーティーンを繰り返し、車も持たず倹約家と言った印象です。

自室の壁には心を奮い立たせるようなスローガンの入った額縁を掛けていたり、少し関わりを持っただけの若者にも「目標へ進め!」等とエールを送るような、生真面目な人物。

仕事となると、ガラケーに分厚いデスクトップを使用、暗記が必要な事は付箋にメモするアナログな手法を好み、判例や携わった案件はほぼ覚えていると言う驚異の記憶力の持ち主です。

それを活かし同僚ウィリアムの法律アドバイザー、つまり法廷に立たない裏方の弁護士として暗躍していました。

(デンゼル・ワシントンが18kg増量し、心に訴えかける演技で魅せています。)

●デンゼル・ワシントン(Denzel Washington)

誕生日:1954年12月28日 生まれ

星座:いて座

身長:185cm

出身:アメリカ・ニューヨーク州

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事務所代表ジョージ・ピアス、ビジネスマンに見え実は人情派?

ローマン
右:ジョージ・ピアス(コリン・ファレル)https://www.facebook.com/RomanJIsraelEsq/

ローマンが所属していた事務所が赤字で閉鎖し、次に雇われた事務所のトップは真逆のタイプの男でした。

高級車に乗りパリッとしたスーツを着こなし、4つの事務所を束ねるジョージ・ピアスです。

負けそうな訴訟や面倒な案件をウィリアムに回しリベートを貰っていたり、有能なローマンを雇う事で事務所にとって買い得と考える等、一見拝金主義な所が伺えます。

しかしそれは4つの事務所を運営し、弁護士稼業を続ける大変さを実感しているからこその言動でした。

ウィリアムの元教え子でもある彼は、学生時代に教わった「過ちを許し合う事が自然の最初の掟」と言う教義を心に置いています。

演じるのは、優しい父親や人望ある上司と言った役どころが増えつつあるコリン・ファレルです。

●コリン・ファレル(Colin Farrell)

誕生日:1976年5月31日生まれ

星座:ふたご座

身長:178㎝

出身:アイルランド

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自らの事前活動家マヤ、自らの正義感の強さに悩む

ローマン
左:マヤ(カルメン・イジョゴ)https://www.facebook.com/RomanJIsraelEsq/

ローマンが失業しジョージに雇われる前、有給で働けないかと相談しに行った「公民権を守る国民会議」と言うボランティア団体で出会ったマヤ・オルストン

吃音症気味で生真面目なローマンを疎む人が多い中、マヤは彼を先駆者と表現し自分達の見本にしようとします。

ある晩ローマンをディナーに誘い、社会の不公正と闘う辛さから活動を辞めようと悩んでいた事を泣きながら打ち明けます。

演じるのはカルメン・イジョゴです。

コリン・ファレルとは『ファンタスティックビーストと魔法使いの旅』で、マクーザの上官同士として共演していましたね。

●カルメン・イジョゴ(Carmen Ejogo)

誕生日:1973年10月22日生まれ

星座:てんびん座

身長:168cm

出身:イギリス・イングランド

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社会の不条理に辟易、敬遠されがちな人物に焦点

自分を犠牲にしてまで社会正義の実現に身を捧げるローマン。

信念の揺らぐ事態に直面し、たった一度だけ道を外れてしまい、再び自らの手で修正しようとするストーリーを3部に分けてご紹介致します。

困っている人の為、それゆえの空回りの日々

ローマン
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何やら熱心に刑法の条文をタイピングするローマンに訪れた緊急事態。

ウィリアムの入院で延期すべき裁判を自ら請け負い、被告の人権を重んじる余り、裁判官を怒らせ罰金刑となってしまいます。

翌日出勤するとジョージが来所しており、慈善事業所同然に活動してきた事で赤字となり、やむなく閉鎖と告げられます。

転職活動中に出会ったマヤの頼みで学生達へ慣れない講演を行うも、ここでも言葉の解釈や世代の違いで不満を買ってしまうのでした。

その帰り、倒れている男性を助けようとした所へ駆け付けた警察に

「彼は身元不明者だが人間なのだから、しっかり葬式してあげるべき」

と主張する等、何があろうと利益より人の為に行動する事を厭わない人物でした。

腐った司法制度に嫌気、ハメを外し人生絶頂

しかし翌日の退勤時、ホームレスの様な男性に金を恵んでくれと言われた挙句、肌見離さず携帯しているiPodを盗まれそうになった事で、これ迄の信念の土台がぐらつきます。

職業倫理を犯し大金を手にし、それこそ人生で初めてと言った感じでハメを外します。

スーツから短パンになりリゾートへ行き、ドーナツを頬張り海と戯れ、広いホテルルームに満足します。

道を踏み外してはいるものの、賭け事などではなく命の洗濯の様なお金の使い方をするのが良いですよね。

週明け、新品のスーツで通勤すると、ジョージには新プロジェクトのリーダーを任され、依頼人の遺族には感謝され…仕事な状況も好転していました。

騒音で悩んでいたアパートからの引っ越しも決まり「もう貧乏くじは引かない」と意気揚々でした。

根っからの善人の堕落と修正、その終局は…

ローマン
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新しい事務所のやり方にも順応してきた頃、ジョージやマヤとの会話で「信念を持ち信じた道を進む」事の素晴らしさと、犯した罪の重さを再認識したローマン。

手にした大金を返済する為の行動をすぐさま始めるも、いつ周りにバレて仕打ちを受けるか、気が気でない生活へと一変します。

元の慎ましい生活に戻り、記憶しているはずの判例集を何冊も机に並べ勉強し直します。

彼の行く末は観ていて悔しくなりますが、結局良い人が悪い事をしてみても続かない、そして、篤行は同志に引き継がれる、そんな希望を持てるラストとなっています。

ローマンという名の男 ー信念の行方ー (字幕版)

参考記事:RBG死去!伝記映画『ビリーブ』の米女性最高裁判事。米大統領選に影響も

まとめ

26年間、真面目な法律家として闘ってきた男が、3週間で道を外れ理解者も得る、弁論シーンの無い法廷モノをご紹介しました。

実はストーリーに沿ったローマンの心情を、彼がiPodで聴いているジャズやファンクで表現しており、劇中歌♪がオシャレでもある本作。

彼が自首しに行く前に言い放つ、

自分が原告であり被告だ。罪の自覚の無い者は裁けない

と言う見解が、法曹界に限らずどんな立場の人も心に留めておきたい、人生の目的条文となっています。

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