若きハンニバル・レクターを演じたギャスパー・ウリエルの突然死。 遺した魅惑的フランス映画3選

ギャスパー・ウリエル
引用:CNN「ギャスパー・ウリエル」の事故死を伝える

2022年1月19日、フランス映画俳優ギャスパー・ウリエルがスキー事故で37歳という若さでこの世を去りました。

彼は異彩なオーラを放ち、今まで私たちを魅了してくれました。

今思い返せば、「ハンニバル・ライジング」(07)では、多くの人の命を奪う殺人鬼ハンニバル・レクターの若き頃を演じ、違う作品では死を目前に迎えた青年の繊細な感情を見事に表現。

彼は“死”と向き合いながら役を演じてきたのではないかと考えさせられます。

今回は、フランス映画3作品を元に彼の魅力を思う存分に綴らせていただきたいと思います。

ギャスパー・ウリエル について

作品をご紹介する前に、少しだけギャスパー・ウリエルの説明をさせていただきます。

彼はフランス映画俳優で、有名なフランス映画「アメリ」(02)の監督であるジャン=ピエール・ジュネの作品「ロング・エンゲージメント」(04)に出演し、セザール賞有望若手男優賞を受賞。

実力が認められ、その3年後に前述で触れた「ハンニバル・ライジング」(07)で一躍有名になりました。

一言で彼のイメージを伝えるとしたら“色気”と“狂気”を持ち合わせている俳優です。

2010年にマーティン・スコセッシ監督が手がけたCHANELのCMが1分程度で、彼の魅力が伝わると思うので是非チェックしてみてください。

ギャスパーウリエル
https://www.facebook.com/ChanelJP/  『YouTube:CHANEL Fragrance』

では、ギャスパー・ウリエルの魅惑的な映画3作品の紹介に入りたいと思います。

1.『SAINT LAURENT/サンローラン』(14)

原題:Saint Laurent

監督:ベルトラン・ボネロ

上映時間:151分

キャスト:ジェレミー・レニエ、ルイ・ガレル、レア・セドゥー etc…

”ファッションは芸術だ”と、改めて気付かされた作品

イヴ・サン=ローランの伝記でもありますが、断片的に描かれているので教養としてみるのであれば、正直「イヴ・サンローラン」(主演:ピエール・ニネ)の方がおすすめです。

しかし、美と毒が共存したギャスパー・ウリエルの【SAINT LAURENT/サンローラン】演技は凄まじく記憶に傷跡を残しており、本作のほうが私は断然好きでした。

他の俳優陣も豪華で、サンローランのミューズとも呼ばれたモデル、ルル・ドゥ・ラ・ファレーズをレア・セドゥが演じ、イヴの愛人ジャック・ド・バシャールをルイ・ガレルが演じています。

ギャスパー・ウリエル,サンローラン
『SAINT LAURENT/サンローラン』http://saintlaurent.gaga.ne.jp

●ギャスパー・ウリエル(Gaspard Ulliel)

1984年11月25日~2022年1月19日(37歳没)

身長:177cm

出身:フランス

▶ギャスパー・ウリエルの出演映画一覧

▶おすすめの代表作品

サンローラン
https://www.facebook.com/HarpersBazaar/

『SAINT LAURENT/サンローラン』(予告編)

ザ・ダンサー(予告編)

彼らの妖艶な演技も注目して欲しいですが、これから観る方には是非視覚的に楽しむことに全力を注いで欲しいです。

多様なカラーで溢れた衣装にジュエリーは輝きを放ち、ルルたちと談話する部屋一つとっても、絨毯や家具が品のある異国のデザインで、監督の細部までこだわりが伺えます。

ゾクゾクするほど美しい映像が流れ続けて、飲み込まれていきそうになったのを覚えています。

ちなみに、ベルトラン・ボネロ監督の19世紀頃のフランスを舞台にした雅やかな衣装を纏った高級娼婦たちをとらえた「メゾン ある娼館の記憶」(11)も大好きな作品の一つ。

本作が好きだった方には、是非鑑賞して欲しいです。

サンローラン,ギャスパー・ウリエル
ルル・ドゥ・ラ・ファレーズ(レア・セドゥ)https://www.facebook.com/HarpersBazaar/

●レア・セドゥ(Léa Seydoux)

誕生日: 1985年7月1日生まれ

星座:かに座

身長:168㎝

出身:フランス・パリ

CMブランド:ルイ・ヴィトン(バッグ、フレグランス等)

▶レア・セドゥの出演映画一覧

▶レア・セドゥのおすすめ代表作

レア・セドゥ
『美女と野獣』本国フランス版、007のボンド・ウーマン、レア・セドゥが主演。

美女と野獣(予告編)

参考記事:『007』のレア・セドゥを堪能!本国フランス版『美女と野獣』&未公開新作もいかが?

美しさ、名声、富を得ているのに、なにかを求め続けているイヴ。

常に美を追求し、世の毒に溺れていくギャスパー・ウリエルの姿は、きっと街中で見かける“YVES SAINT LAURENT”のイメージをまた変えて魅せてくれると思います。

是非ベルトラン・ボネロ監督の描く美と毒の世界で、一緒に翻弄されてみてください。

【YouTube:予告編】

2.『たかが世界の終わり』(16)

原題:Juste la fin du monde/It’s Only the End of World

監督:グザヴィエ・ドラン

上映時間:99分

キャスト:レア・セドゥ、マリオン・コティヤール、バンサン・カッセル、ナタリー・バイetc…

グザヴィエ・ドラン監督の作品は観たことありますか?

19歳という若さで撮った『マイ・マザー』(13)で監督デビュー。

彼の監督作品は大体観てきましたが、美的センスの塊のような芸術的な映像と秀逸な脚本、どの作品を観ても衝撃が走ります。

『たかが世界の終わり』は、才能溢れるグザヴィエ・ドランが監督・脚本家を務めた作品で、ギャスパー・ウリエルは主役を務めました。

ギャスパー・ウリエル,たかが世界の終わり
https://www.facebook.com/Justelafindumonde.lefilm/  【YouTube:予告編】

物語は、余命宣告された謎めいた雰囲気に包まれた青年ルイ(ギャスパー・ウリエル)が12年ぶりに家に帰り、家族と過ごす一日を描いています。

家に帰ると母やルイの記憶が薄い歳の離れた妹、兄とその妻が待ち受けていました。

緊張感が張り詰めた空気の中、食事の場になると家族たちの複雑な感情があらわになるです…

死の恐怖や家族への想いを留めていた無口なルイの繊細な感情を見事に表現しています。

個人的にはグザヴィエ・ドラン監督とギャスパー・ウリエルのタッグというだけで特別な作品。

観た後にはひとことでは言い表せない感情と作中の力強い台詞が押し寄せ、”愛”について考えさせられます。

3.『ザ・ダンサー』(16)

原題:La Danseuse/The Dancer

監督:ステファニー・ディ・ジュースト

上映時間:108分

キャスト:ソーコ 、リリー=ローズ・デップetc…

ダンスを芸術へと昇華させたロイ・フラーの伝記

夜遅い時間に映画館で一人で鑑賞し、闇と光のイリュージョンがあまりに美しくて、夢心地で家まで帰ったのを覚えています。

映画館で観るのは難しいと思うので、是非夜に部屋を暗くして鑑賞して欲しいです。

ギャスパー・ウリエル,ザ・ダンサー
https://www.facebook.com/Justelafindumonde.lefilm/ 【YouTube:予告編】

本作は19世紀の、”シルクと光のダンス” と称された独創的なパフォーマンスで熱狂を集めたロイ・フラーの伝記映画です。

ギャスパー・ウリエルの演じるのは、架空の人物、ルイ・ドルセー伯爵

ロイのダンスに惚れ込んだパトロンという存在であり、恋心も抱いているような曖昧な関係性の人物として描かれています。

彼の役柄は没落貴族で、退廃的な雰囲気を纏いながら優しい表情を魅せてくれます。

ギャスパー・ウリエル,ザ・ダンサー
https://www.facebook.com/Justelafindumonde.lefilm/

主人公ロイを演じたSOKO(ソーコ)は、実はフランスで人気なシンガー・ソングライターでもあります。

彼女の独特なオーラに惹かれてSNSやミュージックビデオを調べると曲調や世界観がとてもお洒落です。

また、ロイの最大のライバル、天才ダンサーイザドラ・ダンカンの役をジョニー・デップの娘リリー=ローズ・デップが演じ、注目された作品でもあります。

彼女が夢中になって自由に踊りまわるシーンは、目が離せませんでした。

美しさを追求したダンサー「ロイ・フラー」の人生。

命を削って人々に感動を与えるパフォーマンスは、暗闇の中に舞う蝶のようで幻想的です。

彼女の人生と色彩豊かな照明、柔らかいシルク生地でダイナミックに表現するダンスが深く胸に刻まれる作品です。

<最後に>

作品によって印象がガラリと変わるのに、彼の放つ色気と狂気は統一して潜んでいるように感じます。

マーベル・スタジオ制作のMCUのドラマ『ムーンナイト』以降、もう新作が鑑賞できないと考えると悲しさが押し寄せますが、彼が遺してくれた作品は、私の心の中にずっと刻まれています。

(『ムーンナイト』は、2022年3月30日ディズニープラスより配信)

是非、皆さんもギャスパー・ウリエルの魅惑的な作品に浸ってみてください。

《ライター紹介:anzu》

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プロフィール,anzu
🍊anzu

大学生時代にフランス文学を専攻していたこともあり、ヨーロッパ映画に惹かれる傾向にあります。
映像や台詞、音楽のときめき、ホラーやサスペンスのような怖さの驚き等、ドキドキする作品がたまらなく好きです。
今まで観てきた映画の数は1400本を越え、今も更新中です。

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