実話が原作映画『SHE SAID/シー・セッド』感想、その選択は将来の自分や誰かを救うか?

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『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』

今回ご紹介する映画は『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』(22)です。

『ビリーブ 未来への大逆転』『エリン・ブロコビッチ』等、法廷、暴露をテーマにしたアメリカ映画はどれも外れがないですよね。

本作もそのセオリーにもれず、大変興味深く鑑賞しました。

実話ベースのお話なので展開に予想がついてしまうのと、暗いシーンが続くというマイナス点をものともせず、主演女優2人の演技にぐいぐい引きこまれるので、今回は鑑賞を迷っている方の背中を押せればと思います。

(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/SheSaid.JP/)

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『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』:あらすじ

世界中のMeToo運動を加速させたのは、ニューヨークタイムズ社の1つの記事であった。

それはハリウッドで絶対権力をふるっていた、元ミラマックス代表ハーヴェイ・ワインスタインによる、度重なる性的暴行のスキャンダルであった。

タイムズ社で粘り強く取材を行う記者を『17歳の肖像』『わたしを離さないで』キャリー・マリガン『ルビー・スパークス』『ビッグ・シック』ゾーイ・カザンらが演じる。

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左:キャリー・マリガン 右:ゾーイ・カザン https://www.facebook.com/shesaidfilm/

二人で拾うのは、権力にかき消された声

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左:ミーガン(キャリー・マリガン)右:ジョディ(ゾーイ・カザン) https://www.facebook.com/SheSaid.JP/

新聞記者のミーガン(キャリー・マリガン)は、当時大統領選挙に立候補中であったドナルド・トランプのスキャンダルを追っていた。

しかしトランプが大統領当選後、当選のショックや執拗な脅迫を受けたことで、ミーガンはトランプ報道については手を引き、出産を控えた身体を休めるためにも仕事を少し休む決断をする。

その折、ミーガンの同僚で二児の母ジョディ(ゾーイ・カザン)は、ハーヴェイ・ワインスタインの黒い噂について調査中であり、ミーガンはジョディに加わって共にハーヴェイを追うことに。

■原作:『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』【資料:Amazon】


「その名を暴け: #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い」【ジョディ・カンター (著), ミーガン・トゥーイー (著)】

※標的は成功を夢見る女性たち──映画界で「神」とも呼ばれた有名プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインは、長年、女優や女性従業員に権力を振りかざし、性的暴行を重ねてきた。自身の未来を人質にされ、秘密保持契約と巨額の示談金で口を封じられる被害者たち。沈黙の壁で閉ざされていた実態を、ふたりの女性記者が炙り出す!

※長野智子(キャスター)
権力者との死闘に立ち上がった女性たちの慟哭と勇気に身震いがした。
※浜田敬子(Business Insider Japan統括編集長)
女性たちの信念と連帯が、世界に勇気を与えた。

▶著者:ミーガン・トゥーイー ジョディ・カンター

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沈黙と現状維持、選択することがベター?

こうしてミーガンとジョディはスキャンダル記事執筆のために奔走することになるのですが、劣悪な環境を暴くための抵抗手段として、「証言を集めて書く」という手段を用いる姿は、映画『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』(12)でも描かれていましたね。

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『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』左:エマ・ストーン、中:オクタヴィア・スペンサー 右:ヴィオラ・デイヴィスhttps://www.facebook.com/thehelpmovie/

『ヘルプ』では、黒人差別の被害者でありつつも、その現状に口を閉ざすヘルプ(米国南部で白人の子どもを乳母として世話する黒人女性)たちの声を拾って本にまとめるという活動を描いた映画です。

このように、『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』は、受け入れるしかないとされていた権力構造に対して、一度は沈黙してしまった被害者の声を文字上でよみがえらせることで、劣悪なシステムの瓦解をねらうという話なのです。

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映画界に君臨するハーヴェイによる性暴力は卑劣なものでしたが、被害者女性たち皆が目指していたのは、映画産業の中で自己実現。

自分が声をあげなければ将来のキャリアは保つことができる」という考えのもと、被害については口外せず、示談金でその場を収める選択をした者が多かったのです。

また数少ない声をあげた被害者も、ハーヴェイの権力の下、発言自体がなかった事にされるだけでなく、彼女自身の身も脅かされるという結果になってしまいました。

課題を将来に持ち越さないために

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さて、そんな「ハーヴェイスキャンダル問題」に対して、新聞記者ミーガンやジョディたちはとにかく被害者の証言を集めるために動き続けます。

沈黙が「静」の手段だとすればミーガンやジョディらは「動」だと言わんばかりに、自分たちの足で、車で、ときには飛行機で動きまわり、泥臭い手段を使ってでも声をかき集めていく。

そして彼女たちはお互いに「子を持つ母親」として、「被害者が沈黙し続けることで、子の世代でもハーヴェイによる性犯罪がはびこる」というシナリオの可能性を排除しようとするのです。

そんな彼女たちが調査を通して女性の身体性を拡張していく姿将来のために現在のリスクを取る姿から、わたしたちは何か学ぶべきところがあるかもしれません。

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まとめ

ミーガンを演じたキャリー・マリガンは若いころはどこか儚い雰囲気があって、それが目を惹く女優さんでした。

しかし、本作では成熟した女性が持つ、決して折れない意志を内に秘めているような力強さを感じました。

また、ジョディ役ゾーイ・カザンは、元々の彼女が持つ透明感はそのままに、2018年に彼女自身も一児の母となったことで、特に子どもと向き合う演技には静かな熱がこもっているようでした。

『恋するベーカリー』(09)出演時は天真爛漫な娘役が板についていたのに…勝手に子離れを見守る親の気持ちになったのでした)

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最後に現代女性の生き方について書かれた本をご紹介します。

堀江貴文さんのあまり売れていない著作は良作ぞろいなのだそうです。


女性の「ヘルスケア」を変えれば日本の経済が変わる【堀江 貴文 (著), 三輪 綾子 (著), 予防医療普及協会 (監修)】

参考記事:『RBG死去!伝記映画『ビリーブ』の米女性最高裁判事。』

 《ライター:すどうゆき》

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