カンヌの度肝を抜いた!『TITAN/チタン』、フランス女性監督ジュリア・デュクルノー作品

チタン,titane
ジュリア・デュクルノー監督『TITANE/チタン』

私が本作を観ようと思ったのは、いわゆるジャケ買いのような衝動に駆られたからでした。

19世紀末のパリにポスターの黄金期を作り上げたミュシャやロートレックを彷彿とさせるような、平面的な色彩のポスタービジュアル。

クラシックなデザインなのに、パキッとした色使いは現代的で一体どのような物語が待ち受けているのだろうと想像を膨らませていました。

titane,アガト・ルセル
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新しい映画と出会いたい人、覚悟して見て欲しい作品!

観る前に少しだけ調べてみると『RAW〜少女のめざめ〜』(16)のジュリア・デュクルノー監督の名前が綴られていて、納得したのと同時に「ああ、覚悟を持って映画館に足を運ばなければ」と思いました。

なぜなら、普段ホラーやサスペンスを好んで観る私でも前作はかなり衝撃を受ける作品だったからです。

そして今回も予想を遥かに超える常軌を逸脱した問題作でした。

一つお伝えするのであれば、まだ観ていない方は覚悟を持って挑んでください。

ただバイオレンス描写に抵抗がなくて、今まで観たことも無いような新しい作品に出会いたい方が居たら絶対にオススメしたい作品です。

あらすじ~頭蓋骨のチタンプレート、身体の奇妙な異変~

主人公アレクシアは幼少期に交通事故により頭蓋骨にチタンプレートが埋め込まれ、彼女はそれ以来、“車”に対して異常な執着心を抱きます。

さらに危険な衝動に駆られたアレクシアは、罪を重ねて逃亡します。

そこで消防士の男と出会い、二人は奇妙な共同生活を送ることに。

しかし、彼女の身体には異変を抱えていたのです…。

主人公アレクシアに、妖艶な「アガト・ルセル」

映画やドラマ、マンガでも、全く感情移入ができない主人公って観てて居心地が悪いことが多い気がします。

今回、不思議だったのは主人公アレクシアの思考回路は分からないのに、最後まで興味を惹かれ続ける存在だったということ。

幼少期から少女らしさも見受けられなければ、表情と言葉も少なく、突然とんでもない行動に出たりします。

しかし、彼女の中で揺れ動く感情は見え隠れしていて…共感は出来ないのに、狂気的な彼女に終始目が離せませんでした。

チタン
アレクシア(アガト・ルセル)https://japan.unifrance.org/

ジュリア・デュクルノー監督は固定観念を持たれていない無名のキャストにこだわっていたようです。

アレクシアを演じたアガト・ルセルは、Instagramで突然オーディションの話をもらい、イレギュラーな方法で主役を勝ち得ました。

ジェンダーレスな容姿を持つ彼女は、冒頭から終わりでは全く違う印象を残します。

彼女は元々、モデル、ジャーナリスト、写真家など…多彩な面を持っていたということですが、本作では女優としての新境地を見せ、圧倒的な存在感を放っていました。

アガト・ルセル,チタン
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斬新な作品を生み出す、女性監督ジュリア・デュクルノー

ジュリア・デュクルノー監督は、フランス・パリ生まれの38歳(2022年現在)。

監督と脚本も手がけており、その才能溢れる作品は映画ファンに衝撃を与えてきました。

彼女の前作『RAW〜少女のめざめ〜』では、ベジタリアンで育った少女が肉を口にし、カニバリズムに目覚めていく作品を撮っています。

美しい少女が変化していく姿は、なんとも生々しくて、鑑賞してから数年経っても良い意味で忘れられない作品でした。

だからこそ、冒頭で述べたように「覚悟を持って観なければ」と思わざる得なかったのです…!

私は記憶に残らない良作よりも、数年経っても印象に残り続ける作品の方が映画の価値が高いと考えている人間なのです。

その意味でも、ジュリア・デュクルノー監督は興味を持たずにはいられない存在です。

ジュリア・ドュクルノー,チタン
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ちなみに『裸足の季節』(15)のデニズ・ガムゼ・エルギュヴェン『燃ゆる女の肖像』(19)のセリーヌ・シアマと同じFEMIS(フランス国立音響芸術学院)の脚本コースの出身とのことで、今後のフランス女性監督には目が離せない予感がしています。

『裸足の季節』と『燃ゆる女の肖像』も美しい映像のなかで繊細な感情をとらえた洒落た作品です。

バイオレンス描写が苦手でジュリア・デュクルノー監督の作品は観れないという方は、是非こちらの作品を覗いてみてはいかがでしょうか。

カンヌ国際映画祭、[最高賞]パルムドールを受賞

チタン,
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本作は、注目された映画『万引き家族』『パラサイト 半地下の家族』に続いて、カンヌ国際映画祭で[最高賞]パルムドールを受賞。

映画が始まっても、ポスタービジュアルを裏切らない映像美が広がっています。

冒頭のアレクシアが”チタン ”、つまりは”車”に身体を重ねて踊り狂うシーンだけでも、これは”並の映画じゃない”と分かります。

アレクシアの思考回路は理解できないのですが、チタンプレートのような無機質な冷たさを持った彼女は、人間を超越したハイブリッドのようなキャラクター。

主人公の人間像が斬新で、ただ「共感できない」の一言では終わらせられない近未来的な要素を感じました。

ちなみに、本作のの全米配給を手がけたのが、ニューヨークを拠点にした製作・配給会社のNEON

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『ミッドサマー』(19)や『レディ・バード』(17)など、映画ファンから圧倒的な支持率を誇るA24の最大のライバル会社とも言われているようです。

カンヌでパルムドールに輝き、アカデミー賞で作品賞を含む4部門に輝いたポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』(19)や、先ほど挙げたセリーヌ・シアマ監督『燃ゆる女の肖像』など、話題作を次々に生み出しています。

個人的に本作の配給会社と知って、更にNEONにも興味を持ちました。

最新作は要チェックしたいと思います。

まとめ

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本作は痛々しい描写が多く、万人の方にオススメは出来ない作品だとは重々承知です。

しかし、それ以上に”新しい映画に出逢ってしまった”という衝撃が大きくてご紹介させていただきました。

題材が奇想天外でB級映画に陥っても仕方がなかったように思うのですが、カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞してしまうくらい品位を保った映画作品に仕上がっていて驚かされます。

是非皆さんも濃艶なアレクシアに翻弄されてください。

きっと数年後に「どんな作品だった?」と聞かれても鮮明に思い出すことができると思います。

《ライター紹介:anzu》 クリックで担当記事一覧へ→

 大学生時代にフランス文学を専攻していたこともあり、ヨーロッパ映画に惹かれる傾向にあります。
映像や台詞、音楽のときめき、ホラーやサスペンスのような怖さの驚き等、ドキドキする作品がたまらなく好きです。
今まで観てきた映画の数は1400本を越え、今も更新中です。

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