シェイクスピアが描く、悲運の「オフィーリア」
《目次:『オフィーリア』謎の死》
あまりにも有名な「オフィーリア」。
ウィリアム・シェイクスピアの4大悲劇のひとつ「ハムレット」のヒロインです。
400年前に戯曲の中で語られた彼女の悲運は、ハムレットとともに、絵画、舞台、音楽などの題材となり現代も語り継がれています。
ジョン・エヴァレット・ミレーの絵画(下図)で、花束を抱えたまま川面に浮かぶオフィーリアの姿は特に印象的で記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。
さて、今回紹介するのは、久々の映画化『オフィーリア 奪われた王国』です。
何度か映画化されていますが、今作は主演を『スター・ウォーズ』の興奮がまだ冷めやらないデイジー・リドリー。
ハムレット王子は、『1917 命をかけた伝令』の印象が深く残るジョージ・マッケイが演じています。
オフィーリアの視点でオリジナルな解釈で制作され、数々の絵画に見る謎めいた死に新しい発見を示しています。
主演デイジー・リドリー
●デイジー・リドリー(Daisy Ridley)
誕生日:1992年4月10日
身長:170㎝
出身:イギリス・ ロンドン
▶おすすめの代表作品
1.悲運の「オフィーリア」
オフィーリアが、今も愛され続けている理由
「オフィーリア」がそれほどまでに、さまざまな美術、芸術作品、そして最近ではアニメのキャラにまで取り上げられてきたのには大きな理由があります。
それは、戯曲「ハムレット」の中での彼女の悲運です。
演じるデイリー・リドリーは、どうしてもスター・ウォーズの勇敢なレイのイメージがありますよね。
しかし、今作では果たせぬ恋と、身近な人たちを次々と失っていくという悲劇のヒロイン役のため、物憂げな彼女が印象的です。
物語の舞台は中世、デンマーク王国。
庶民の子として生まれたオフィーリアですが、ある時、王妃ガートルード(ナオミ・ワッツ)に見初められ、侍女として仕えたことから物語は始まります。
(ベテラン女優、ナオミ・ワッツの二役の好演も光ります。)
ありがちな話で、周囲の貴族出身の者たちから身分の低いオフィーリアはなにかと蔑視されることに。
共演②ナオミ・ワッツ
2.ハムレットとの出会い
ハムレット王子と出会い、さらなる苦悩へ
王妃とデンマーク王との間にはひとり息子がおり、それが「ハムレット王子」です。
将来の王を嘱望された、いわばサラブレッド的存在でした。
演じるのは、「1917 命をかけた伝令」で密命を持って最後まで走り続けたあのジョージ・マッケイ。
共演①ジョージ・マッケイ
●ジョージ・マッケイ(George MacKay)
誕生日:1992年3月13日(うお座)
身長:183㎝
出身:イギリス・ロンドン
▶おすすめの代表作品
誠実そうで、一生懸命なところはイメージ通りですが愚直なハムレット王子として、オフィーリアを最後まで守ってやることができません。
遠征から帰還した彼は、新しい侍女のオフィーリアを目ざとく見つけます。
オフィーリアもハムレットに好意を抱きますが、彼女の中では身分の違いは避けられないとあきらめていました。
3.波乱のデンマーク王国
暗殺?されたデンマーク国王、波乱の始まりへ
そんな中、デンマーク王が突然死するという事件が発生します。
城内では、蛇の毒が原因ではないかと噂されるのですが、ハッキリしたことがわからないまま葬儀が進みます。
しかし、みんなが驚いたのは、なんと王妃ガートルードのあまりにも早い再婚でした。
しかも相手は、王の弟にあたるクローディアス。
これは、新しい王の誕生を意味します。
一番驚いたのは、父の死を深く悲しんでいた矢先のハムレット王子だったのは言うまでもありません。
4.クロンボー城の亡霊
デンマーク王の不審な死と、城内の亡霊
しばらくして城内では、夜な夜な亡霊が出るという噂が立ちます。
ハムレットは、亡霊から父を殺したのは叔父(父の弟)のクローディアスに違いないと教えられたというのです。
再婚した母にも落胆し、次第に正気を失いかけるハムレットに、オフィーリアの気持ちも大きく揺れます。
そして、ハムレットに芽生えた殺意は新王クローディアに向けられるのですが、誤ってオフィーリアの父親を刺し殺すという事件が発生。
身の危険を察したクローディア王は、ハムレットを国外へ追放してしまいます。
平和だった城内には、一気に疑心暗鬼な空気が蔓延。
悲劇の伝染は広がり、オフィーリアも父の死に加え、ハムレットとの離別の中で次第に精神がすさんでいくのでした。
5.本当に川に身を投げた?
川に身を沈めるオフィーリア~
映画の後半では、オフィーリアの残された身内である兄レアティーズが、クローディア王の策略でハムレットと一騎打ちさせられることに。
王妃の再婚に始まり、これまでオフィーリアを包んでくれた身内も次々と亡くなりオフィーリアは孤立していくばかりです。
エンディングでは、冒頭に紹介したミレーの絵画と同じようについに彼女は自ら死を選択します。
しかし、しかしです。
このオリジナル作品は、エンディングで新たな謎かけをしています。
オフィーリアは、本当にミレーの絵画のような死を選んだのだろうかと。
これまで映画や舞台にはない、新しいオフィーリア像を今作で見届けて下さい。
記事へのご感想・関連情報・続報コメントお待ちしています!