《目次:「アートが題材の映画」10選》
Ⅱ.有名絵画をめぐる映画4選
①Gambit
『モネ・ゲーム』:絵画詐欺を目論む、コンビのドタバタ劇
映画タイトル | モネ・ゲーム |
原題 | Gambit |
監督 | マイケル・ホフマン |
出演 | コリン・ファース、キャメロン・ディアス、トム・コートネイ、アラン・リックマン他 |
公開日 | 2013年/89min |
学芸員のハリー・ディーン(コリン・ファース)はモネの名画「積みわら」の贋作を作り、億万長者シャバンダー(アラン・リックマン)に売りつけようと悪巧みします。
テキサスで出会ったカウガール、P・J(キャメロン・ディアス)を相棒に、完璧な筋書きのモネ贋作詐欺を実行に移すハリー。
しかし予想外の新鑑定士が出現したことで、計画は思わぬ方向へと動き出してしまい……。
本作は1967年の映画『泥棒貴族』のリメイクにあたります。
モネの贋作を利用した絵画詐欺を目論むハリーとP・Jですが、のっけから詐欺は大コケ。
これで大丈夫なのか?という観客の心配をよそに、ハリーが執念の詐欺劇を繰り広げる様子に笑いが止まりません。
英国紳士然を気取るハリーには『キングスマン』のコリン・ファース、自由奔放なテキサス娘のP・Jには『メリーに首ったけ』キャメロン・ディアスと、今までのキャリアで演じてきたキャラクターを逆手に取ったキャスティングも面白い作品です。
■『モネ・ゲーム』ミニ知識【管理人・選】
モネ傑作名画集
※クロード・モネ(Claude Monet, 1840年 – 1926年)は、印象派を代表するフランスの画家です。「印象派の「光や風景の動きや雰囲気をいかに絵の中に表現するか」という描き方に一番誠実でていねいに取り組み続けた画家と言っていいでしょう。(中略)また、1875年の「日傘をさす女性」や、「積みわら」の連作、「ルーアン大聖堂」の連作、そして特に有名な「睡蓮」の連作など、傑作は枚挙にいとまがないほどです。【引用:Amazon】
②The Duke
『ゴヤの名画と優しい泥棒』:孤独を救うのは、少しの親切心
映画タイトル | ゴヤの名画と優しい泥棒 |
原題 | The Duke |
監督 | ロジャー・ミッシェル |
出演 | ジム・ブロードベント、ヘレン・ミレン、フィン・ホワイトヘッド他 |
公開日 | 2022年/95min |
1961年、イギリス北東部のニューカッスル。
年金暮らしをしている老人ケンプトン・バントン(ジム・ブロードベント)は、困っている人を見捨てられない性格ゆえに貧乏くじを引いてばかり。
そんなある日、ロンドン・ナショナル・ギャラリーからゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれる事件が発生します。
窃盗事件の犯人はなんとケンプトン!
彼は盗んだ絵画の身代金で、孤独な老人たちの公共放送の受信料を肩代わりするという優しい計画を立てるのです……。
ユーモアと温かさに満ち溢れた泥棒ケンプトン・バントンは、実在の人物なんです!
名画「ウェリントン公爵」が盗まれたこの事件は、前代未聞としてイギリスの歴史に刻まれました。
本作でスポットが当てられるのは、年金暮らしゆえに貧しく孤独な思いをしている老人たち。
ケンプトンはそんな孤独な心を救うために、名画を利用して権力に立ち向かっていくのです。
絵画泥棒として捕まってしまった彼がどんな判決を受けることになるのか、ぜひその目でたしかめてくださいね。
■『ゴヤの名画と優しい泥棒』ミニ知識【管理人・選】
ウェリントン公爵(アートプリントポスター) フランシスコ・ゴヤ
※夏は灼熱に喘ぎ、冬は寒風吹きすさぶ不毛の土地に、庶民の子として生まれたフランシスコ・デ・ゴヤ。やがて、スペイン王家の首席宮延画家となり、絵師として栄達の頂点を極めるが…近代絵画の先覚者ゴヤの、苦悩にみちた複雑な82年の生涯をえがく評伝。【引用:Amazon】
③The Goldfinch
『ザ・ゴールドフィンチ』:1枚の絵画と1人の少年、数奇な運命
映画タイトル | ザ・ゴールドフィンチ |
原題 | The Goldfinch |
監督 | ジョン・クローリー |
出演 | アンセル・エルゴート、オークス・フェグリー、アナイリン・バーナード、フィン・ウルフハード他 |
公開日 | 2019年/149min |
メトロポリタン美術館の爆破テロにより最愛の母を失ってしまったテオドア・”テオ”・デッカー(アンセル・エルゴート)。
裕福な友人の両親に引き取られることになったテオが新生活をスタートさせた矢先、アルコール依存症の父が迎えにやってきます。
その後も友情、恋愛、裏切り、ドラッグなど運命に翻弄されていくテオでしたが、爆発の後に美術館から持ち出した名画「ゴシキヒワ」が彼の心の拠りどころとなっていくのです。
■『ザ・ゴールドフィンチ』原作の紹介!【管理人・選】
※美術館爆破テロで母を亡くした少年・テオは、その時美術館から1枚の名画を持ち去った―レンブラントとフェルメールを結ぶ画家、ファブリティウスの「ごしきひわ」。孤児となったテオはそのオランダ黄金時代の小さな名画とともに、波瀾万丈の運命を辿ってゆく…。(中略)「21世紀のディケンズ」とも称された長編大作全4巻、Amazon.comベストブックオブザイヤー2013年総合第1位。【引用:Amazon】
本作のキーになる絵画「ゴシキヒワ」は、オランダ黄金時代の芸術家ファブリティウスの遺作と言われています。
ファブリティウスはデルフト火薬庫爆発事件によって短い生涯を終えていますが、『ザ・ゴールドフィンチ』の中でもテオの母が爆破テロによって亡くなっており、史実と重なる点があるのが本作の面白いところ。
作中で「ゴシキヒワ」は何度もたらいまわしにされてしまうのですが、波瀾万丈なテオの人生が絵画のたどる運命と重なっていきます。
1枚の絵画が1人の少年の人生を節目節目で支えていき、やがてどちらも「あるべき場所」に戻れるという、絵画と人生とを重ねた印象深い作品です。
■「メトロポリタン美術館」ミニ情報【管理人・選】
Pen (ペン) 「特集:メトロポリタン美術館のすべて」〈2022年3月号〉
※古今東西の人類史が詰め込まれた同館は、収蔵品200万点を誇る、百科全書のような存在だ。ニューヨークで1870年に設立されて以来、民間資金によって成長し続けている唯一無二の私立美術館でもある。【引用:Amazon】
④The Monuments Men
『ミケランジェロ・プロジェクト』:美術品を奪還!ユニークな戦争映画
映画タイトル | ミケランジェロ・プロジェクト |
原題 | The Monuments Men |
監督 | ジョージ・クルーニー |
出演 | ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ケイト・ブランシェット他 |
公開日 | 2015年/118min |
第二次世界大戦末期のヨーロッパでは、ナチス・ドイツの敗色が濃くなりつつありました。
そんな中でナチスに強奪された美術品を奪還すべく立ち上がった男たちがいます。
「モニュメンツ・メン」と名付けられた美術関係者のチームは、時の大統領フランクリン・ルーズベルトから命を受け、ミケランジェロの名作をはじめとする美術品を守るためにヨーロッパの各地へ散らばるのですが……。
果たしてモニュメンツ・メンはどれだけの美術品を救えるのでしょうか?
■『ミケランジェロ・プロジェクト』作品情報と原作の紹介【管理人・選】
原作:ミケランジェロ・プロジェクト (上) ナチスから美術品を守った男たち (角川文庫)
※第二次大戦中に連合国側で集められた美術関係者。彼らに下された指令は、ドイツ軍に立ち向かい画された芸術品を見つけ保護することだった! 知られざる歴史に迫った渾身のノンフィクション・サスペンス!【引用:Amazon】
実在した美術品奪還作戦部隊「モニュメンツ・メン」の面々を、豪華俳優陣が演じているのが見どころのひとつ。
誰もが知っているゴッホの「ひまわり」やミケランジェロの聖母子像をヒトラーの手から取り戻すべく、部隊のメンバーが奮闘します。
なんと彼らは戦争未経験者で、純粋に美術品を守りたいという強い想いから戦地に赴いたとか。
全編コメディ・タッチで描かれるため戦争映画と言えども見やすい作品で、美術ファンならクスりと笑えるようなジョークもたくさん登場しますよ。
■「ミケランジェロ」「ゴッホ」参考本とミニ知識【管理人・選】
※イタリア・ルネサンスの三大巨匠として名高いミケランジェロ。彫刻家、建築家、画家として「神のごとき」と謳われたその天才の芸術を人生を凝縮し、代表作を網羅したミケランジェロ入門のスタンダード。【引用:Amazon】
※絶大な人気を誇るゴッホの作品を大画面で鑑賞できる作品集。代表作はもちろん、埋もれた名作の数々も掲載。長年美術展に携わる著書の平易な解説で、時代をはるかに先取りした表現に果敢に挑み続けたゴッホの革新性にスポットをあてる。【引用:Amazon】
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