
映画だけでなく絵画に音楽、演劇など、「芸術」にはさまざまな形や表現があります。
中でも絵画やアートが好きで、休日は美術館でゆっくり過ごすという人もいるでしょう。
ここでは、美術館・絵画ファンのあなたにぴったりな、「アートを題材」にした映画をジャンル別にご紹介します!
映画を通して芸術の世界にどっぷりと浸かってくださいね。
(冒頭画像:https://www.facebook.com/lamiglioreofferta/)
《目次:「アートが題材の映画」10選》
Ⅰ.美術館に行った気分になれる映画2選
①The Da Vinci Code
『ダ・ヴィンチ・コード』:知的好奇心を刺激、芸術ミステリー

映画タイトル | ダ・ヴィンチ・コード |
原題 | The Da Vinci Code |
監督 | ロン・ハワード |
出演 | トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、イアン・マッケラン、ジャン・レノ他 |
公開日 | 2006年/149min |
フランスの夜更け、ルーブル美術館で所長ジャック・ソニエールが何者かに殺される事件が起きます。
ソニエールが死に際に残したメッセージを解くため、捜査に呼び寄せられた宗教象徴学の専門家ロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)。
そんなラングドンに、捜査官のソフィー・ヌーヴゥー(オドレイ・トトゥ)という女性が近づきます。
ソフィーからこの事件の容疑者にされていることを知らされたラングドンは、彼女とともに逃避行をしながら事件の謎を解くことに。
そこにはキリスト教の聖杯をめぐる壮大なミステリーが隠されているのです……。
■『ダ・ヴィンチ・コード』がもっとわかる…【管理人・選】
原作:ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫) ダン・ブラウン (著)
※ルーヴル美術館のソニエール館長が異様な死体で発見された。死体はグランド・ギャラリーに、ダ・ヴィンチの最も有名な素描〈ウィトルウィウス的人体図〉を模した形で横たわっていた。殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、警察より捜査協力を求められる…。【引用:Amazon】
※著者:ダン・ブラウン
1964年ニューハンプシャー生まれ。アマースト大学を卒業後、英語教師から作家へ転身。2003年3月『ダ・ヴィンチ・コード』を刊行、一躍ベストセラー作家の仲間入りを果たす。父は数学者、母は宗教音楽家、そして妻は美術史研究者であり画家でもある。



芸術と謎解きが融合した本作は、原作小説も人気が高く、『天使と悪魔』『インフェルノ』といった続編も制作されています。
『ダ・ヴィンチ・コード』の始まりは、ルーブル美術館の所長ソニーエルの死。
彼の遺体はレオナルド・ダ・ヴィンチの素描「ウィトルウィウス的人体図」を模しており、ラングドンとソフィはダ・ヴィンチに謎が隠されているとにらみます。
絵画「モナ・リザ」、「岩窟の聖母」に隠された暗号をたどった2人は、名画「最後の晩餐」へと導かれるのです。
全くのフィクションでありながらも、本当にダ・ヴィンチが絵画に謎を隠していたのでは?と想像させられるリアルさが魅力。
さらに本作ではパリのルーヴル美術館をはじめ、ロンドンのテンプル教会やウェストミンスター寺院などでロケが行われ、ヨーロッパの代表的な美術館や建築物を観光した気分になれます。
■『ダ・ヴィンチ・コード』をもっと知る…【管理人・選】
※1452年、フィレンツェ郊外の小村、ヴィンチ村に生を受けたレオナルド・ダ・ヴィンチ。以後、「レオナルド」という名は芸術のみならず、あらゆるジャンル上で語られることになる。そう、あたかも彼の名こそが、すべての真理を解き明かす【コード】であるかのように…。【引用:Amazon】
※これ一冊でルーヴル美術館丸分かり! 読んでから見るもよし、見てから読むもよし。世界的名画に秘められた謎と物語を読み解く。
②La migliore offerta
『鑑定士と顔のない依頼人』:極上の美術品、描かれる恋愛模様



映画タイトル | 鑑定士と顔のない依頼人 |
原題 | La migliore offerta/The Best Offer |
監督 | ジュゼッペ・トルナトーレ |
出演 | ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス、シルヴィア・フークス、ドナルド・サザーランド他 |
公開日 | 2013年/131min |
優秀な美術鑑定士のヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)は、女性不信ゆえに孤独な日々を送っています。
そんな彼のもとに届いたのは、決して顔を見せない謎の女性クレア・イベットソン(シルヴィア・フークス)からの鑑定依頼。
両親亡き後に残されてしまった美術品を鑑定してほしいというクレアですが、一向にヴァージルの前には姿を現しません。
そんな彼女に最初は苛立ちを覚えていたヴァージルも、やがて恋心のような感情を抱き始めてしまい……。



本作は美術作品をめぐって物語が進むため、これでもかというほど絵画や工芸品が登場します。
さらにヴァージルの秘密の部屋にも大量の絵画が!
ルノワールの「ジャンヌ・サマリーの肖像」やセザンヌの「温室のセザンヌ夫人」といった名画の数々が登場。
まさに映画を観ながら美術館に足を踏み入れた気分になります。
作中には名画「ヴィーナスの誕生」も登場しますが、ヴァージルが恋するクレアがヴィーナスという意味なのでは?という示唆的な要素もあり、アート好きなら謎を解くのも楽しいでしょう。
本作のラストには誰もが驚く大どんでん返しが用意されています。
恋愛模様から一変してサスペンスへと変貌していく展開から目が離せません。
■参考絵画とミニ知識【管理人・選】
「ジャンヌ・サマリーの肖像」Jeanne Samary Aka La Reverie/ルノワール
※多くの人々に称えられ愛されてきたこの作品は、ロレンツォ・イル・マニフィコの黄金時代を完璧に映し出しているとともに、今なお人びとを魅惑し続ける不滅のアイコンでもある…。【引用:Amazon】
Ⅱ.有名絵画をめぐる映画4選
①Gambit
『モネ・ゲーム』:絵画詐欺を目論む、コンビのドタバタ劇



映画タイトル | モネ・ゲーム |
原題 | Gambit |
監督 | マイケル・ホフマン |
出演 | コリン・ファース、キャメロン・ディアス、トム・コートネイ、アラン・リックマン他 |
公開日 | 2013年/89min |
学芸員のハリー・ディーン(コリン・ファース)はモネの名画「積みわら」の贋作を作り、億万長者シャバンダー(アラン・リックマン)に売りつけようと悪巧みします。
テキサスで出会ったカウガール、P・J(キャメロン・ディアス)を相棒に、完璧な筋書きのモネ贋作詐欺を実行に移すハリー。
しかし予想外の新鑑定士が出現したことで、計画は思わぬ方向へと動き出してしまい……。



本作は1967年の映画『泥棒貴族』のリメイクにあたります。
モネの贋作を利用した絵画詐欺を目論むハリーとP・Jですが、のっけから詐欺は大コケ。
これで大丈夫なのか?という観客の心配をよそに、ハリーが執念の詐欺劇を繰り広げる様子に笑いが止まりません。
英国紳士然を気取るハリーには『キングスマン』のコリン・ファース、自由奔放なテキサス娘のP・Jには『メリーに首ったけ』キャメロン・ディアスと、今までのキャリアで演じてきたキャラクターを逆手に取ったキャスティングも面白い作品です。
■『モネ・ゲーム』ミニ知識【管理人・選】
※クロード・モネ(Claude Monet, 1840年 – 1926年)は、印象派を代表するフランスの画家です。「印象派の「光や風景の動きや雰囲気をいかに絵の中に表現するか」という描き方に一番誠実でていねいに取り組み続けた画家と言っていいでしょう。(中略)また、1875年の「日傘をさす女性」や、「積みわら」の連作、「ルーアン大聖堂」の連作、そして特に有名な「睡蓮」の連作など、傑作は枚挙にいとまがないほどです。【引用:Amazon】
②The Duke
『ゴヤの名画と優しい泥棒』:孤独を救うのは、少しの親切心



映画タイトル | ゴヤの名画と優しい泥棒 |
原題 | The Duke |
監督 | ロジャー・ミッシェル |
出演 | ジム・ブロードベント、ヘレン・ミレン、フィン・ホワイトヘッド他 |
公開日 | 2022年/95min |
1961年、イギリス北東部のニューカッスル。
年金暮らしをしている老人ケンプトン・バントン(ジム・ブロードベント)は、困っている人を見捨てられない性格ゆえに貧乏くじを引いてばかり。
そんなある日、ロンドン・ナショナル・ギャラリーからゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれる事件が発生します。
窃盗事件の犯人はなんとケンプトン!
彼は盗んだ絵画の身代金で、孤独な老人たちの公共放送の受信料を肩代わりするという優しい計画を立てるのです……。



ユーモアと温かさに満ち溢れた泥棒ケンプトン・バントンは、実在の人物なんです!
名画「ウェリントン公爵」が盗まれたこの事件は、前代未聞としてイギリスの歴史に刻まれました。
本作でスポットが当てられるのは、年金暮らしゆえに貧しく孤独な思いをしている老人たち。
ケンプトンはそんな孤独な心を救うために、名画を利用して権力に立ち向かっていくのです。
絵画泥棒として捕まってしまった彼がどんな判決を受けることになるのか、ぜひその目でたしかめてくださいね。
■『ゴヤの名画と優しい泥棒』ミニ知識【管理人・選】
ウェリントン公爵(アートプリントポスター) フランシスコ・ゴヤ
※夏は灼熱に喘ぎ、冬は寒風吹きすさぶ不毛の土地に、庶民の子として生まれたフランシスコ・デ・ゴヤ。やがて、スペイン王家の首席宮延画家となり、絵師として栄達の頂点を極めるが…近代絵画の先覚者ゴヤの、苦悩にみちた複雑な82年の生涯をえがく評伝。【引用:Amazon】
③The Goldfinch
『ザ・ゴールドフィンチ』:1枚の絵画と1人の少年、数奇な運命



映画タイトル | ザ・ゴールドフィンチ |
原題 | The Goldfinch |
監督 | ジョン・クローリー |
出演 | アンセル・エルゴート、オークス・フェグリー、アナイリン・バーナード、フィン・ウルフハード他 |
公開日 | 2019年/149min |
メトロポリタン美術館の爆破テロにより最愛の母を失ってしまったテオドア・”テオ”・デッカー(アンセル・エルゴート)。
裕福な友人の両親に引き取られることになったテオが新生活をスタートさせた矢先、アルコール依存症の父が迎えにやってきます。
その後も友情、恋愛、裏切り、ドラッグなど運命に翻弄されていくテオでしたが、爆発の後に美術館から持ち出した名画「ゴシキヒワ」が彼の心の拠りどころとなっていくのです。
■『ザ・ゴールドフィンチ』原作の紹介!【管理人・選】
※美術館爆破テロで母を亡くした少年・テオは、その時美術館から1枚の名画を持ち去った―レンブラントとフェルメールを結ぶ画家、ファブリティウスの「ごしきひわ」。孤児となったテオはそのオランダ黄金時代の小さな名画とともに、波瀾万丈の運命を辿ってゆく…。(中略)「21世紀のディケンズ」とも称された長編大作全4巻、Amazon.comベストブックオブザイヤー2013年総合第1位。【引用:Amazon】



本作のキーになる絵画「ゴシキヒワ」は、オランダ黄金時代の芸術家ファブリティウスの遺作と言われています。
ファブリティウスはデルフト火薬庫爆発事件によって短い生涯を終えていますが、『ザ・ゴールドフィンチ』の中でもテオの母が爆破テロによって亡くなっており、史実と重なる点があるのが本作の面白いところ。
作中で「ゴシキヒワ」は何度もたらいまわしにされてしまうのですが、波瀾万丈なテオの人生が絵画のたどる運命と重なっていきます。
1枚の絵画が1人の少年の人生を節目節目で支えていき、やがてどちらも「あるべき場所」に戻れるという、絵画と人生とを重ねた印象深い作品です。
■「メトロポリタン美術館」ミニ情報【管理人・選】
Pen (ペン) 「特集:メトロポリタン美術館のすべて」〈2022年3月号〉
※古今東西の人類史が詰め込まれた同館は、収蔵品200万点を誇る、百科全書のような存在だ。ニューヨークで1870年に設立されて以来、民間資金によって成長し続けている唯一無二の私立美術館でもある。【引用:Amazon】
④The Monuments Men
『ミケランジェロ・プロジェクト』:美術品を奪還!ユニークな戦争映画



映画タイトル | ミケランジェロ・プロジェクト |
原題 | The Monuments Men |
監督 | ジョージ・クルーニー |
出演 | ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ケイト・ブランシェット他 |
公開日 | 2015年/118min |
第二次世界大戦末期のヨーロッパでは、ナチス・ドイツの敗色が濃くなりつつありました。
そんな中でナチスに強奪された美術品を奪還すべく立ち上がった男たちがいます。
「モニュメンツ・メン」と名付けられた美術関係者のチームは、時の大統領フランクリン・ルーズベルトから命を受け、ミケランジェロの名作をはじめとする美術品を守るためにヨーロッパの各地へ散らばるのですが……。
果たしてモニュメンツ・メンはどれだけの美術品を救えるのでしょうか?
■『ミケランジェロ・プロジェクト』作品情報と原作の紹介【管理人・選】
原作:ミケランジェロ・プロジェクト (上) ナチスから美術品を守った男たち (角川文庫)
※第二次大戦中に連合国側で集められた美術関係者。彼らに下された指令は、ドイツ軍に立ち向かい画された芸術品を見つけ保護することだった! 知られざる歴史に迫った渾身のノンフィクション・サスペンス!【引用:Amazon】



実在した美術品奪還作戦部隊「モニュメンツ・メン」の面々を、豪華俳優陣が演じているのが見どころのひとつ。
誰もが知っているゴッホの「ひまわり」やミケランジェロの聖母子像をヒトラーの手から取り戻すべく、部隊のメンバーが奮闘します。
なんと彼らは戦争未経験者で、純粋に美術品を守りたいという強い想いから戦地に赴いたとか。
全編コメディ・タッチで描かれるため戦争映画と言えども見やすい作品で、美術ファンならクスりと笑えるようなジョークもたくさん登場しますよ。
■「ミケランジェロ」「ゴッホ」参考本とミニ知識【管理人・選】
※イタリア・ルネサンスの三大巨匠として名高いミケランジェロ。彫刻家、建築家、画家として「神のごとき」と謳われたその天才の芸術を人生を凝縮し、代表作を網羅したミケランジェロ入門のスタンダード。【引用:Amazon】
※絶大な人気を誇るゴッホの作品を大画面で鑑賞できる作品集。代表作はもちろん、埋もれた名作の数々も掲載。長年美術展に携わる著書の平易な解説で、時代をはるかに先取りした表現に果敢に挑み続けたゴッホの革新性にスポットをあてる。【引用:Amazon】
Ⅲ.画家の人生を垣間見る映画3選
①The Electrical Life of Louis Wain
『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』:生きづらさを抱えた現代人、響く画家の生涯



映画タイトル | ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ |
原題 | The Electrical Life of Louis Wain |
監督 | ウィル・シャープ |
出演 | ベネディクト・カンバーバッチ、クレア・フォイ、アンドレア・ライズボロー他 |
公開日 | 2022年/111min |
イギリスの上流階級に生まれたルイス・ウェイン(ベネディクト・カンバーバッチ)は早くに父を亡くし、新聞に絵を描くイラストレーターとして一家を支えていました。
やがて妹の家庭教師・エミリー(クレア・フォイ)と恋に落ち、結婚したルイスでしたが、ほどなくしてエミリーは末期がんの宣告を受けてしまいます。
そんなある日庭に迷い込んできた猫をピーターと名付け、ルイスは残されたエミリーとの日々を大切に生きながら、彼女のためにその猫の絵を描き始めるのです……。



ルイス・ウェインが生きた時代、イギリスで猫は不吉の象徴として忌み嫌われていました。
そんな中でルイスは生涯にわたって猫の絵を描き続け、すっかり猫の社会地位向上に貢献しました。
なんと夏目漱石が『吾輩は猫である』を書くきっかけは、ルイスの絵だったとも言われているんです。
ルイスの生涯を真っ向から描いた本作は、彼がいかに苦難に満ちた人生を送ったかがわかり観ていて辛くなる部分も。
「自分らしく生きること」に苦しみながらも、猫を描くことを通して愛する人との繋がりを感じ続けたルイス。
エミリーの言い残した「世界の美しさ」に気がつく彼の姿を見れば、日常のほんのささいなことを美しいと思えるようになるはず。
②TOVE
『TOVE/トーベ』:世界的キャラクター、ルーツは燃えるような「愛」



映画タイトル | TOVE/トーベ |
原題 | TOVE |
監督 | ザイダ・バリルート |
出演 | アルマ・ポウスティ、クリスタ・コソネン、シャンティ・ロニー他 |
公開日 | 2021年/103min |
1944年戦争下のヘルシンキで、トーベ・ヤンソン(アルマ・ポウスティ)は子供たちのためにささやかな物語を創造し、「ムーミン」というキャラクターを描き始めます。
戦後、地味なアトリエでの暮らしを始めたトーベ。
やがて自分の考えと美術界の潮流にズレがあるという葛藤が生まれますが、舞台演出家のヴィヴィカ・バンドラー(クリスタ・コソネン)と出会ったことでトーベの人生は大きく変化していきます。
自由を渇望し、禁じられた愛に身を投じるトーベはムーミンとともに成長していくのです。
■「トーベ」と「ムーミン」参考メディア【管理人・選】
※フィンランドを代表する作家トーベ・ヤンソンによる「ムーミン谷」の物語は、誕生から70年以上を経てなお、世界中の人々を魅了しています。ムーミンの物語には、どんなキャラクターが登場し舞台となっているムーミン谷とは、いったいどんなところなのでしょう。また、作者はどんな生涯を送ったのでしょう。このムーミンの世界の魅力を、英国の児童文学作家が愛をこめて解説しました。【引用:Amazon】



白くて丸々とした見た目が可愛い「ムーミン」は、世界中で愛されているキャラクター。
そんなムーミンの生みの親であるトーベ・ヤンソンのルーツについて丁寧に描いた作品です。
トーベは自分自身をモデルとしてムーミンを創り出し、「ムーミンは愛を一番大事にしていて、愛を奪われると怒る」と語ったことがあるそう。
本作を観るとたしかにトーベの人生は「愛」に翻弄されていたと言えます。
芸術家でありながらトーベのことを認めてくれない父、10年近く恋愛関係にありながら破局したヴィルタネン、そして当時は禁断と言われた女性同士の恋仲になるヴィヴィカ。
周囲の人との関係性や愛がトーベを悩ませると同時に画家として成長させ、ムーミンというキャラクターを形成していったと考えられます。
ちなみに孤独を愛する旅人・スナフキンのモデルはヴィルタネンだと言われており、トーベとヴィルタネンは破局後も生涯交流を続けたそうですよ。
■「ムーミン」生みの親「トーベ」参考本【管理人・選】



※10代でイラストレーター、画家としてアーティストのキャリアをスタートさせたトーベは、戦禍の中で青春時代を過ごしている。最初はスノークという名だったムーミンは、そんな状況下で理不尽に対する怒りや自由への希望、表現への夢など、さまざまな想いの中から生まれてきた生きものだった。【引用:Amazon】
③Cézanne et moi
『セザンヌと過ごした時間』:2人の芸術家、友情と孤独そして別れ



映画タイトル | セザンヌと過ごした時間 |
原題 | Cézanne et moi |
監督 | ダニエル・トンプソン |
出演 | ギヨーム・カネ、ギョーム・ガリエンヌ、アリス・ポール他 |
公開日 | 2017年/117min |
1852年の南フランスで、後のベストセラー作家エミール・ゾラ(ギヨーム・カネ)と、「近代絵画の父」と呼ばれることになるポール・セザンヌ(ギヨーム・ガリエンヌ)が出会います。
育った境遇が全く違う2人は、芸術家を目指すという共通の夢で強い絆を結んでいくことに。
やがてゾラはひと足先に小説家となって成功を掴みますが、セザンヌはサロンにも落選し続けて転落の一途をたどります。
そしてゾラがある画家を主人公にした新作を発表したことで2人の友情に決定的な亀裂が入ってしまい……。
互いの芸術を追い求めたゾラとセザンヌがたどりつく境地とは?
■『セザンヌと過ごした時間』参考ミニ知識【管理人・選】
※近代絵画の父セザンヌと自然主義文学の旗手ゾラは中学生の同級生で,文学と絵画のことを語り合う親友でしたが,40代半ばで絶交したといわれます。その原因は,セザンヌをモデルにした画壇小説「作品」で主人公が画家への夢をあきらめ自殺する内容にあったとされてきました。しかし,本当にそうだったのか? 著者は,「作品」を丹念に読み解き,二人の手紙やゾラの美術批評などを丹念に調査することで,おどろくべき事実を明らかにします…。【引用:Amazon】



40年もの間、熱い友情を築いていたゾラとセザンヌ。
そんな2人がゾラの小説『制作』をめぐって対立したことは、芸術方面に詳しい人なら知っているでしょう。
ゾラとセザンヌの青春と苦悩、衝突を描いた本作は、映画全体がエクス=アン=プロヴァンスの優美な景観で溢れており、まるでセザンヌの絵画の世界に足を踏み入れたような気分にさせてくれます。
現存しているゾラとセザンヌそれぞれの別荘や、アトリエ代わりに借りたビベミュス石切り場なども登場。
夏の光に照らされたプロヴァンスの明るさと、芸術家たちの深い孤独の闇との対比に、思わず胸を打たれます。
■「セザンヌ」と「エクス=アン=プロヴァンス」参考本【管理人・選】
※ポール・セザンヌ(Paul Cézanne、1839年 – 1906年)は、フランスの画家。(中略)モネら印象派の画家たちと同時代を生きましたが、ポスト印象派の画家と見做されています。キュビスムをはじめとする20世紀の美術に多大な影響を与え、しばしば「近代絵画の父」と呼ばれています。【引用:Amazon】
※かわいらしい村々が点在するリュベロン、リゾート気分を味わえる島や美しい港町マルセイユがある地中海沿岸、画家セザンヌも暮らした芸術の都エクス・アン・プロヴァンス、城壁に囲まれた歴史深いアヴィニョンなど、バラエティに富んだ町や村をめぐる旅を楽しめる1冊です。
番外編:フィクションだからこそ夢があるアート映画
①Midnight in Paris
『ミッドナイト・イン・パリ』:アート好きの夢、ロマンチック・ストーリー



映画タイトル | ミッドナイト・イン・パリ |
原題 | Midnight in Paris |
監督 | ウディ・アレン |
出演 | キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、カーラ・ブルーニ、マリオン・コティヤール他 |
公開日 | 2012年/94min |
ハリウッドで脚本家として成功を収めたギル・ペンダー(オーウェン・ウィルソン)は、どこか満たされない日々を送っていました。
婚約者のイネス(レイチェル・マクアダムス)と彼女の両親とともにパリを訪れたものの、全く話が合わず、ギルは夜のパリを1人で徘徊することに。
すると1台のクラシックカーが現れて思わず乗り込むと、たどり着いた先はギルの愛してやまない20年代のパリで……。
憧れの地でギルはヘミングウェイやピカソなどの芸術家と交流を深めていきます。



美しいパリの風景を舞台に、歴史的な芸術家たちが次々と登場する本作。
小説家のF・スコット・フィッツジェラルドに、画家のサルバドール・ダリ、そしてヘミングウェイやピカソ、マティス、ゴーギャンなど……。
どの芸術家たちもしっかりと特徴を捉えている点が面白く、演じる役者がまるで本人に思えるほど。
パリの夜を包む芸術家たちの熱気にあてられた気分になれる作品です。
あなたは一体何人の芸術家たちに気がつくでしょうか?
なお映画のポスターはゴッホの「星月夜」を使っていますが、作中にゴッホは登場しません。
夢と理想を追い求める主人公のギルがゴッホと重なっているという意味なのかもしれませんね。
■『ミッドナイト・イン・パリ』参考ミニ知識【管理人・選】
ゴッホはなぜ星月夜のうねる糸杉をえがいたのか(マイケル・バード著)
※最初のアーティスト/洞窟の画家/ツタンカーメンの墓の職人たち/古代ローマの彫刻家/古代ローマの画家/アンコールワットを築いた人々/ジョット/ドナテッロ/ヤン・ファン・エイク/レオナルド・ダ・ヴィンチ/アルブレヒト・デューラー/ミケランジェロ/ブリューゲル/レンブラント/カラヴァッジョ/ベラスケス/フェルメール/ゴヤ/葛飾北斎/タルボット/ターナー/クールベ/モネ/ゴッホ/セザンヌ/シャガール/マルセル・デュシャン/カンディンスキー/フリーダ・カーロ/ピカソ/ポロック/キーファー/アイ・ウェイウェイ【引用:Amazon】
まとめ



芸術を通して描かれるさまざまな物語。
あなたはどの作品に心惹かれましたか?
ご紹介した映画を観たら、きっと美術館に足を運んでアートと対話したくなるはず!
《目次:「アートが題材の映画」10選》
《ライター:もな》 担当記事の一覧はこちらから→



ウェス・アンダーソン作品の世界観が大好き!ライターの「もな」です。
映画にどハマりしたのは、小学生の頃に『ロード・オブ・ザ・リング』を観てから。
それからというもの、映画は私の人生にとって欠かせないもので、大学では映画学を専攻しました。
私の書く記事が、誰かと素敵な映画との出会いの場になったら嬉しいです。
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