『シング・ストリート 未来へのうた』など、心に残る青春映画が多いアイルランド。
1993年までは同性愛、1996年までは離婚が違法とされており、恋愛や離婚の自由が厳しく規制されていました。
やはり抑えつけられるほど、よりドラマチックな物語が生まれていくのでしょうか。
この物語もデヴィッド・フライン監督の実体験を基に作られているそうです。
同性愛に厳しかったアイルランドはその後、2015年に世界で初めて国民投票により同性婚が認められることになります。
これもまた、抑圧されていた反動なのかもしれません。
(冒頭画像:引用https://dating-amber.asmik-ace.co.jp)
映画『恋人はアンバー』:作品情報
今回紹介する映画『恋人はアンバー』の舞台は1995年。
同性愛は違法ではなくなったものの、未だ差別や偏見が残る時代です。
周りからの差別を受けず、穏やかに高校を卒業するため、偽装カップルを演じることになった高校生、アンバーとエディの青春映画です!
映画タイトル | 『恋人はアンバー』 |
原題 | Dating Amber |
監督 | デイヴィッド・フレイン |
出演 | フィン・オシェイ、ローラ・ペティクルー、シャロン・ホーガン、バリー・ワード、シモーヌ・カービー他 |
公開日 | 2022年 【YouTube:予告編】 |
主なキャスト:アイルランド出身の期待俳優
エディ役/フィン・オシェイ
周りに気を遣い自分を抑える心優しくも遠慮気味な高校生エディを演じたフィン・オシェイ。
アイルランド出身で、2023年現在26歳。
『恋人はアンバー』以降も、日本での公開はまだですが『チェリー』という映画で、トム・ホランドとも共演をするなど将来有望の俳優です!
アンバー役/ローラ・ペティクルー
逆境に負けない芯の強い女子高生アンバーを演じたローラ・ペティクルー。
エディ役フィン・オシェイ同様アイルランド出身で、2023年現在27歳。
ローラ・ペティクルーも、日本未公開の映画『Here Are the Young Men』でアニャ=テイラー・ジョイと共演するなど今後期待の女優です。
あらすじ:始まったのは二人の疑似交際?
本当の自分を、さらけ出せない環境
1995年アイルランドの田舎町が舞台。
1人懸垂が一回もできないようなひ弱な主人公エディは、父と同じく、男らしく軍隊に入隊することを家族から求められています。
学校では、性欲多感な男子グループの輪から外れないようにクラスの女子の話題についていこうとしています。
周囲のノリに合わせ、好きでもない女子と2人きりになりますがキスだけでその先は逃げるように去っていき、同世代の男子とはちょっと感覚が違うということを自覚していました。
エディは周囲の目を気にし、普通の男子でいることを目指しますが女子との恋愛には抵抗を感じています。
もう一人の主人公、アンバーは周囲からレズビアンと馬鹿にされる日常を毛嫌いしていました。
そんなアンバーは高校を卒業したら、さっさと田舎を出て、ロンドンに出ることを夢見ています。
お金を稼ぐために、血気盛んな同級生の盛り場として、家であるトレーラーの一室をビジネスとして貸し出すことに。
いつまでもレズビアンと罵られることを嫌い、環境を変えたいと思っていたのでした。
期間限定カップル誕生!そしてかけがえのない存在に
アンバーは、エディが同性愛者だということに気付いています。
そこで、お互い周囲からの差別をなくすために、高校卒業までの期間限定で付き合うことをエディに提案します。
同性愛者であることを認めたくないエディは、アンバーからの提案に乗るか悩みますが、提案を受け入れ、疑似交際を始めます。
最初は周りの目をごまかすためだけに一緒にいましたが、長く過ごすうちに徐々に距離が縮まっていきます。
運命的な出会い ~本心に嘘はつけない~
ある日、二人は夜のダブリンへ繰り出します。
ゲームセンター、クラブ、ナイトバーと遊び歩いていきます。
そこで、エディとアンバーはそれぞれ刺激的な出会いと経験をします。
二人はごまかし続けている今の状況に疑念を抱き始めます。
卒業、そして二人の将来への決断
高校卒業後も自らのセクシュアリティを隠し続けるのか。
エディとアンバーの関係の結末と、決断やいかに?
暗い世の中で、希望のある結末を迎えられるのかはぜひ映画をご覧ください!
見どころ:新たな世界に踏み出す第一歩は…
逆境に立ち向かう青春物語
とにかく世間体を気にしなければならない閉塞的な社会でもがく若い2人の青春物語は、観る人を勇気づけてくれます。
敷かれたレールの上を歩かされる、ひ弱なエディが新たな世界へ向けて一歩踏み出す姿をぜひ見守ってあげてください。
複雑な家庭事情とセクシュアリティから自分を抑えて生きているアンバーの葛藤と最後の決断にも目が離せませんよ。
一瞬で崩壊する関係、壊れない強い友情
人間関係はもろいものです。
同性愛者だと分かった途端に距離をおいたり、些細なことでのカップル解消など。
そんな中、壊れないものは友情ではないか?と思わせる二人の関係性にも注目です。
参考記事:音楽映画『シング・ストリート 未来へのうた』、あらすじとキャスト&劇中曲を紹介!
まとめ:何かを変える勇気をもらえる作品に!
誰しも周りの目を気にして隠していることはあると思いますが、この映画を観れば、二人のように何かを変えてみようと一歩を踏み出す勇気をもらえると思います!
劇場での鑑賞を逃してしまったという方はぜひ配信で観てみてください!
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