「ディズニー映画の主人公=美しいプリンセス」、という時代はもう終わり?
近年さまざまなディズニーアニメが実写化されていく中で、主人公キャラクターにも変化が起きています。
ここでは、ディズニーの「多様化」ムーブメントの中で注目してほしいダークヒロインやアレンジ作品についてご紹介。
多様性にスポットを当てた最新作『ピーター・パン&ウェンディ』の情報もリサーチしたのでお楽しみに!
(冒頭画像:引用https://twitter.com/Maleficent)
「ダークヒロイン」へ、注目が集まる!
ディズニーの「多様化」ムーブメントの中で特に多くの人を魅了しているのが敵役「ヴィランズ」です。
プリンセスにはない、どことなく人間味あふれるダークヒロインのストーリー。
妖しい魅力の中に垣間見えてくる親近感は、より多くの層をディズニー映画へと引き込んでいます。
ダークヒロインの姿は人の心の「多様性」を映す鏡とも言えるかもしれません。
『マレフィセント』:ディズニー最恐のヴィランに隠された「愛」
ヴィランズブームの火付け役となったのが、2014年に公開された『マレフィセント』。
『眠れる森の美女』に登場するマレフィセントは、ディズニーヴィランズの象徴的存在でありながらも、原作アニメではその人物像について多くは語られませんでした。
そんなマレフィセントを主人公に据え、「彼女はオーロラ姫に呪いをかける冷酷な魔女ではなく別の一面があった」、というアナザーストーリーが語られていきます。
マレフィセント役を演じたアンジェリーナ・ジョリーは、キャラクターの魅力について「他者と違う存在のマレフィセントは、誰とも違う個性は大切だと教えてくれる」と語りました。
彼女の言うとおり、マレフィセントは他の妖精族とは違う個性を持つがゆえに、孤独で疎外感を感じて生きています。
そして「ある人物」と恋に落ちたものの、裏切りにあったことから、オーロラ姫(エル・ファニング)に呪いをかけてしまうのです。
その孤独や愛ゆえの怒りは、現代人なら「わかるわかる!」と頷ける部分があります。
やがてマレフィセントは母性あふれる美しい戦士になっていくと言う展開が、ダークファンタジーでありながら、どこか心温かくなる作品です。
■もっと知りたい「マレフィセント」のこと【管理人・選】
ディズニー みんなが知らない眠れる森の美女 (講談社KK文庫)
※ディズニー公式作品でははじめて解き明かされる、悪い魔女マレフィセントの生い立ち。あなたも、思わずマレフィセントの気持ちに共感してしまう!? そして、オーロラ姫との、本当の関係とは?原題『Mistress of All Evil直訳:すべての悪の支配者)【引用:Amazon】
『クルエラ』:ファッション界の革新を目指すアイコニックなヴィラン
さらに2021年には、『101匹わんちゃん』のヴィラン・クルエラの実写映画『クルエラ』が公開されました。
悪名高いヴィラン・クルエラのオリジンストーリーを描いた作品です。
エマ・ストーン演じる若き日のクルエラは、ファッションデザイナーを夢見る純粋な一面と、我が強くすぐにトラブルを起こす邪悪な一面を持っています。
『101匹わんちゃん』ではただの残酷な女性でしかなかったクルエラに、「成功を夢見る野心家だった」というバックグラウンドを加えたことで、現代女性が共感しやすいキャラクターへと変化しました。
本作にほもう1人の悪女・カリスマファッションデザイナーのバロネス(エマ・トンプソン)が登場。
クルエラとバロネスは互いにファッション界で革新を起こそうと競い合い、やがてある事件をきっかけに冷酷なヴィラン「クルエラ・ド・ヴィル」が誕生してしまうのです。
どことなく映画『プラダを着た悪魔』を思わせるストーリーですが、それもそのはず、同映画の脚本家アライン・ブロッシュ・マッケンナが制作に関わっているそう。
それゆえ、奇抜なファッション対決やクルエラのアイコニックな装いにも目が奪われます。
クルエラが披露する独創的な着こなしは47種類にも及び、第94回アカデミー賞の衣装デザイン賞に輝きました。
■もっと知りたい「クルエラ」のこと【管理人・選】
ディズニー みんなが知らない101匹わんちゃん なぜクルエラは毛皮のコートに取りつかれたのか (講談社KK文庫)
※裕福な家庭に生まれながらも母親の愛情に飢えた少女時代。「誰にも負けないで。」という呪縛のような母親の言葉。満たされない心を埋めるかのように、クルエラはいびつな虚栄心を増幅させてゆきーー?小さなボタンの掛けちがえが大きな破滅をまねく、恐ろしくも切ないヴィランズの物語――!【引用:Amazon】
『ディセンダント』:多様性のあり方を訴えかける青春ミュージカル
また、ディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーの『ディセンダント』シリーズも、若者を中心に人気を集めています。
「おなじみのディズニー・ヴィランズに子供がいたら?」という設定で、ヴィランズの子供たちが活躍する青春ミュージカル。
マレフィセントの娘・マル(ダヴ・キャメロン)をはじめとしたヴィランズの子供たちは、ロスト島に閉じ込められて生活しています。
オラドン合衆国の王子(ミッチェル・ホープ)の計らいにより生まれて初めて島を出ることになったマルたちですが、ヴィランズの子供というだけで周りから怖がられてしまい……。
ディズニーらしいミュージカル映画である本作は、キャッチーな歌とダンスが繰り広げられ、子供も大人も楽しむことができます。
一方でヴィランズの子供たちは生まれた環境ゆえに勘違いされることに葛藤しており、現代の「多様性を認めるとはどういうことか?」というテーマにも通じる深いメッセージが込められています。
■もっと知りたい「ディセンダント」のこと【管理人・選】
※「眠れる森の美女」マレフィセントの娘・マル、「白雪姫」の継母イーヴィル・クイーンの娘・イヴィ、そして、「美女と野獣」のビースト&ベルの息子・ベンらが織りなす……奇想天外な青春ミュージカルムービーを完全ノベライズ!【引用:Amazon】
現在『ディセンダント2』『ディセンダント3』と公開されている人気シリーズで、新作『The Pocketwatch(仮題)』の制作も決定!
新たにラプンツェルの娘やアラジン、ジャスミンなどのキャラクターが加わる予定で、今から公開が待ちきれません。
一風変わった物語へ、独創的なアレンジ作品も
プリンセスの実写化作品やヴィランズ作品だけでなく、おとぎ話にひとひねり加えたアレンジ作品にも注目!
「昔々あるところに……」という古典的な展開を超えた、独創的な物語が数多く生み出されています。
アレンジ作品のブームはおとぎ話の「多様化」とも呼べるでしょう。
『イントゥ・ザ・ウッズ』:おとぎ話の主人公はクセモノ揃い?
2014年に公開された『イントゥ・ザ・ウッズ』では、おとぎ話の主人公たちのその後が描かれました。
パン屋を営む夫婦(ジェームズ・コーデン/エミリー・ブラント)が呪いを解くために、「ミルクのように白い牛」「赤い頭巾」「黄色い毛」「金色の靴」の4つのアイテムを探すというストーリー。
それぞれアイテムにちなんだおとぎ話のキャラクターたちが登場するのですが、その中にはシンデレラ(アナ・ケンドリック)やラプンツェル(マッケンジー・マウジー)の姿も。
キャラクターたちが皆、ちょっと性格をこじらせていてクセ強なのです。
誰もが知っているおとぎ話の主人公たちなのに、どこかがちょっと違う……。
そんな不思議な視点で見ることができる斬新な作品です。
豪華キャストが次から次へと登場するだけでなく、なんのつながりもない複数のおとぎ話が見事に融合しているのが見どころです。
■「イントゥ・ザ・ウッズ」【管理人・選】
イントゥ・ザ・ウッズ(作品情報)
『ワンス・アポン・ア・タイム』:現代世界とおとぎ話が交錯したら?
また、テレビドラマ『ワンス・アポン・ア・タイム』シリーズも一風変わったファンタジー作品。
悪い魔女の呪いによって現代世界に飛ばされてしまったおとぎ話のキャラクターたちが、「ストーリーブルック」という街にかけられた呪いと謎を解き明かしていきます。
あの大人気アニメ映画『アナと雪の女王』のアナとエルサも実写版となって登場!
他にも白雪姫や赤ずきん、ピノキオなどのキャラクターが大活躍する、現代版おとぎ話ミステリーです。
本作はディズニープリンセスのクロスオーバー作品とも言えるでしょう。
バラバラの作品に登場するプリンセスたちが現代で集結していく様子には心躍ります。
一方で、ディズニー映画では語られなかったヴィランズの悲しいバックグラウンドストーリーを知ることができるのも魅力です。
■『ワンス・アポン・ア・タイム』をもっと知りたい【管理人・選】
※ハッピーエンドはもう終わり。“禁断のミステリー”、いよいよ開幕! その町に隠された、誰も知らない「物語の真実」。白雪姫、赤ずきん、ピノキオ……おとぎ話の物語の住人たちは、現代に閉じ込められていた……。【引用:Amazon】
ワンス・アポン・ア・タイム シーズン4 コレクターズ BOX Part1
※今シーズンではついにあの世界の大人気キャラクター『アナと雪の女王』のアナとエルサが登場!アニメーションの世界から飛び出した2人は、実写のキャラクターとなってストーリーブルックに迷い込みます!【引用:Amazon】
多様性を全面に、『ピーター・パン&ウェンディ』
世界中で人気の冒険物語『ピーター・パン』を実写化した『ピーター・パン&ウェンディ』が、ディズニープラスで2023年4月28日から配信。
アニメ版『ピーター・パン』がアメリカで公開されてから70年が経ち、新たな脚本で実写化されます。
ストーリー自体は原作アニメから大きくは変わらず、少女ウェンディ(エヴァー・アンダーソン)が不思議な少年ピーター・パン(アレクサンダー・モロニー)と出会い、ネバーランドに旅立つというもの。
従来のピーター・パン作品との大きな違いは、「多様性」を全面に打ち出したという点でしょう。
ロストボーイズ(迷子の少年たち)のメンバーに女の子がいたり、ティンカー・ベル役に黒人俳優のヤラ・シャヒディを起用するといった試みをしています。
黒人俳優の起用については、残念ながら批判の声もあがっているのが事実。
しかしティンカー・ベルを演じたヤラは、「多様性は物語を脅かすものではなく、美しく織り込まれることでより多くの人を物語に包括できる」と語っています。
ディズニー作品は全世界の人々が等しく愛することができるのが魅力。
まさにディズニーは、さまざまな境遇にあるより多くの人々が物語に共感できるよう、多様化を推し進めているのかもしれません。
■ディズニー+アプリ【管理人・選】
※Disney+ではディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズ、ナショナル ジオグラフィック、スターのバラエティ豊富な作品が見放題。最新作、オリジナルシリーズや映画、クラシック映画、懐かしの作品など、お楽しみください。Disney+ オリジナルシリーズの『マンダロリアン』や『ロキ』、大人気の『デッドプール』や『アナと雪の女王2』はじめ、隠れた名作や続々登場する新作をストリーミング視聴、ダウンロードできます。
まとめ
勇気と愛にあふれたディズニープリンセス作品には誰もがときめくもの。
一方で、より人間味があるダークヒロイン作品や今までにない視点が面白いアレンジ作品も人々の心を掴んでいます。
多様化の進むディズニー映画の主人公たち。
そこにはきっと、あなたが共感できる物語がありますよ。
▼ライターもな:ディズニーの多様性特集
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ウェス・アンダーソン作品の世界観が大好き!ライターの「もな」です。
映画にどハマりしたのは、小学生の頃に『ロード・オブ・ザ・リング』を観てから。
それからというもの、映画は私の人生にとって欠かせないもので、大学では映画学を専攻しました。
私の書く記事が、誰かと素敵な映画との出会いの場になったら嬉しいです。
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