皆さん、「怖い映画」は好きですか? 筆者はホラー映画が大好きです!
しかし、「怖さ」だけを求めてホラー映画を観ているかと言われたら、首を捻ってしまいます。
私が楽しみにしているのは、ホラー映画に登場する奇抜な「モンスター」たちや彼らの行動、その裏にある物語です。
というのも、彼らは(良くも悪くも)多くの場合で社会ののけ者。
「周りと異なっている」ゆえの苦しみや、緩やかな孤独などは、実は多くの人が持っている感覚でもあるでしょう。
ホラー映画には、そんな「モンスター」たちの視点に立ったユニークな作品も多く存在します。
彼らを主人公とした作品は、私たち誰もが持っている「周りと違うところ」にスポットを当て、かつ笑い飛ばしてくれる頼もしい存在です。
今回は、そんなホラー映画の「変わり者」たちが主人公の、観て楽しい笑える作品をご紹介します!
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/WhatWeDointheShadows/)
《目次:「楽しいホラー・コメディ映画厳選3選!》
1.Beetlejuice
『ビートルジュース』
ティム・バートン監督の『ビートルジュース』(88)は、ポルターガイストが引き起こすドタバタ劇です、
不慮の事故で幽霊になってしまった新婚夫婦が、新居のポルターガイストになるというコメディ映画。
新しく引っ越してきたのはニューヨークからやってきた一家で、夫婦の家を好き勝手、悪趣味に改造してしまいます。
自分たちの家を取り戻すため、夫婦は人間を追い出すバイオ・エクソシストのベテルギウス(マイケル・キートン)に助けを求めますが……。
孤独な少女と、幽霊夫婦の交流
本作で鍵となるのは、都会から引っ越してきた一家の一人娘で、継母との関係がうまくいっていないリディア(ウィノナ・ライダー)。
全身真っ黒のゴス・ファッションに身を包んだリディアは、死や幽霊に興味がある、周りと馴染めない性質を持っています。
本作は、そうした「変わり者」の少女が幽霊の夫婦という新しい家族を見つける映画でもあるんです。
バートン監督ならでは、モンスター造形に注目!
本作の見どころは、変幻自在のポルターガイスト、ベテルギウスがあれこれ姿を変えて家の中を大混乱に陥れる様子。
ベテルギウスが巨大な蛇やメリーゴーランドに変身する様子は、ストップモーションなどの昔ながらの視覚効果が使われています(この辺りの造形が苦手な人もいるかも?)。
また、主人公夫婦が向かう死後の世界のセットデザインは名作『カリガリ博士』(1919)の世界観によるもので、当時は話題になりました。
ぜひ注目してみてください。
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2.The Addams Family
『アダムス・ファミリー』
ネットフリックスのスピンオフドラマ『ウェンズデー』が記憶に新しい『アダムス・ファミリー』(91)。
お化け一家の日常から見える「正しさ」の歪みが見どころです。
※チャールズ・アダムスの1コマ漫画を原作としたホラー・コメディシリーズは、残虐なものや悪意を愛する変わり者一家、アダムス家に巻き起こるさまざまな騒動を描いています。
※モーティシア、夫ゴメス、パグズリーとウェンズデーたち、アダムス一家。映画・アニメ・ドラマ化もされた原作1コマ漫画を完全集成。【引用:Amazon】
おすすめは2作目!一家に侵入する「陽」の悪女
2本ある実写映画のうち、筆者がお勧めしたいのは2作目『アダムス・ファミリー2』(93)。
第三子が生まれたアダムス家に乳母のデビーがやってくるものの、実は叔父のフェスターを狙った恐ろしい結婚詐欺師だったというあらすじです。
ブロンドに白いドレスという、マリリン・モンローを彷彿とさせるデビーの風貌は、幽霊屋敷のような城に住むアダムス家とは真逆の「陽」のキャラクター。
本作は、アダムス的なものとは正反対の、明るく健康的で規範的とされる世界を「悪」に位置付けているのが面白いところです。
特に、中盤でウェンズデーとパグズリーの姉弟が(無理矢理)送り込まれるサマーキャンプでの出来事はとても象徴的。
人種主義的な感謝祭の劇のシナリオをウェンズデーが転覆させる様は見ていて爽快です!
シリーズならでは、ブラックな笑いがたっぷり!
墓場でのピクニック、魔女の大鍋そのものの食卓、
苦痛や悲しみを愛してやまない一家の日常は、ブラックユーモアたっぷりです。
特に「拷問マニア」の長女ウェンズデーの考える遊びや、新しく生まれた弟に嫉妬する様子は、人によってはちょっとやりすぎに見えるかもしれません。
最後は彼らなりのハッピーエンドになるので、安心してくださいね。
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3.What We Do in the Shadows
『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』
『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』は、タイカ・ワイティティ監督の出世作です。
ニュージーランドに住む吸血鬼たちを取材し、悲喜交々を描いたという設定のフェイク・ドキュメンタリー。
いわゆる、「モキュメンタリー」映画です。
それぞれ数百歳から数千歳の吸血鬼が共同生活を送る古城を舞台にした日常がオフビートに繰り広げられます。
長く続く人生と、ドラマチックな瞬間を捉えた秀作
多くの部分が演者たちの即興劇によってできているという本作。
吸血鬼であるが故の日常の悩み(日々の食事の調達法など)や、ちょっとした失敗(間違って獲物の大動脈を噛んでしまい部屋が血だらけに……)などの場面がシュールに続いていきます。
それぞれの場面はコミカルで、思わず笑ってしまうようなものばかり。
しかし、観ているうちに段々と、彼らの長く生きているが故の孤独や苦しみが伝わってくるのも確かなんです。
敵対している狼男の一族との関係や、人間の友人「スチュー」を巡るエピソードは、モキュメンタリーながらも非常にドラマチックで感動的な場面も織り交ぜられています。
ナンセンスなコメディと人生の悲喜交々が混ざった、ワイティティ監督ならではの作品です。
吸血鬼ものなだけに、彼らの食事シーンでは血がかなり出ますので、苦手な人は注意してください。
参考記事:ホラー映画が苦手な初心者も楽しめるエンタメ系ホラー映画4選、お化けが出ず怖さ控えめ!
まとめ:変わり者たちの日常から見えるもの
観ている側の価値観や感覚を揺さぶってくれるホラー映画のモンスターたち。
いつもは映画の最後に死んでしまったり、何らかの形で悲惨な運命をたどりがちです。
しかし、見方を変えて彼らを主人公にしてみれば、新しい物語が見えてくるかもしれません。
▶参考:世界中のモンスターを集めると【管理人・選】
※人面樹、ゾンビ、巨大バッタ、3つの頭の番犬、半魚人…‥神話や物語などにでてくる驚くべき224の奇妙なモンスターたち。それらの居場所や性質を示した、楽しい絵地図を見ながら、ウォルターズのたどった道を探検してみよう! それぞれのモンスターにまつわる魔術や謎についても紹介し、神話やいわれの起源も掲載。【引用:Amazon】
《ライター:ぜろ》 担当記事一覧はこちらをクリック→
高校2年生で『アベンジャーズ』を観て以来の映画ファン。大学と大学院では映画研究にどっぷり浸かっていました。
アナログでファンアートを描いてはインスタグラムに載せています。楽し〜!
話題の作品や、そこにつながる過去の名作、注目のキャストなどをわかりやすく楽しく紹介していきたいです!
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