ライターsanaeが今回ご紹介するのは、フランスの小説家ギュスターヴ・フローベール原作の『ボヴァリー夫人』です。
原作はギュスターヴ・フローベールが4年半かけて執筆をした代表作で、19世紀フランス文学の名作ともいわれた作品です。
今まで何度も映画化されてきた本作は、官能的な作品と思われがちですが、それだけではありません。
ロマンチックな主人公エマが愛欲に溺れた背景には、愛に満ちた結婚生活とは程遠い孤独な生活がありました。
そんな本作でエマ役を演じたのは『アリス・イン・ワンダーランド』で主演を務めたミア・ワシコウスカ。
そして不倫関係となるレオン役には『少年は残酷な弓を射る』のエズラ・ミラーが演じています。
本作の見どころに加え、主演のミアとエズラについてもご紹介します。
最後まで読んでいただけたら幸いです。
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/madamebovarylefilm/)
『ボヴァリー夫人』(14):あらすじ
ずっと修道院で暮らしていた18歳のエマ(ミア・ワシコウスカ)は、父に進められ年上で医師のシャルル・ポヴァリー(ヘンリー・ロイド=ヒューズ)と結婚。
しかし、結婚後シャルルはエマが腕によりをかけて作った食事も食べることなく、使用人に任せればいいと冷たい言葉をかけ彼女に気をとめることもありませんでした。
ある日の夜、シャルルは友人たちを招き夕食会を開きます。
そこで、エマはシャルルに友人のレオン(エズラ・ミラー)を紹介されます。
エマに一目惚れしたレオンはある日、想いを告げますが、彼からの告白に驚いたエマはその場から逃げてしまいます…。
エマの運命を狂わせた、伯爵との出会い
その後の生活も、シャルルは仕事に夢中で退屈な日々を過ごすエマ。
そんな彼女はシャルルの友人である男らしい伯爵(ローガン・マーシャル=グリーン)との出会いによって結婚生活の鬱憤が爆発し、伯爵との情事で癒されていきます。
それからというもの伯爵との関係によって明るくなり、借金をしてまで商人から新しいドレスを新調するなど身なりも派手になっていきました。
貧乏な暮らしに嫌気がさしたエマは、屋敷を飛びだし伯爵の家に行きます。
しかし、伯爵にとってエマとの関係は暇つぶしでしかなかったのです。
伯爵に見放されたエマは憔悴し、その理由を知らないシャルルは、気分転換にオペラへ連れていきます。
再会したレオンと、愛欲に溺れていく
レオンと偶然オペラの客席で再会したエマは、伯爵に捨てられた寂しさを埋めるためにレオンと一夜を共にします。
一方で、商人のルウルー(リス・エヴァンス )からドレスなどをツケで購入していたエマは、借金が膨らんでいました。
そんななか、父親の死によって土地の権利を相続することになったエマは、ルウルーにそのことを知られ、権利書を渡さなければ伯爵との浮気をばらすと脅されてしまいます。
エマは、ドレスを売って習い事を理由にレオンが住む街へと逃げるように向かいました。
そんなこととは知らないレオンは、エマと肌を重ね幸せな時間を過ごします。
しかし、屋敷に帰るとルウリーがシャルルに借金のことをバラしエマは責められてしまいます。
再びレオンの元へ向かったエマの運命とは?
■参考:原作・動画配信・レンタル・本【管理人・選】
※甘い恋の毒が人妻を狂わせる。夫の陰で情事を重ねる美人妻の、悲劇的な末路――。サブタイトルは「地方風俗」。村の不倫話を芸術にまで昇華させた仏文学の金字塔。1857年、「公衆の道徳および宗教に対する侮辱」の罪で、パリで裁判となった作品(判決は無罪)。【引用:Amazon】
著者:ギュスターヴフローベール
1821‐1880。北フランス・ルーアン生れ。13歳頃から創作を開始し、パリ大学法学部に進学するが神経症の発作を機に文学に専念。4年半の苦行の後『ボヴァリー夫人』(1857)によって当代最高の小説家として不動の地位を得た。
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なぜ、エマは愛欲に溺れたのか…(sanae考察)
もちろん不倫行為は良くないというのを前提とした上で、なぜ、エマが愛欲に溺れてしまったのか、そこに至るまでのエマの背景や心理状態を紐解いてみましょう。
エマは恋愛小説を読むことも許されない厳格な修道院で育ちました。
そのため親からの愛情を注がれずに育ち「愛する、愛される」ということが分からなかったように思えます。
エマにとっての結婚は、シャルルと幸せな結婚生活を送れると希望に満ちていました。
しかし、現実は腕によりをかけて作った夕食さえも食べることなく「使用人に任せればいい時間の無駄」と素っ気ない態度で仕事人間のシャルル。
そんな夫に、エマは不満を募らせ孤独を感じるようになります。
夫以外の男性から、愛の告白を受けたエマは…
自分の話さえ聞いてくれないシャルルと違って、レオンはエマの話に耳を傾け、会話が弾みます。
そんな彼と楽しい時間を過ごしたエマはレオンから愛の告白を受けても、人の道を外せないという思いからその場を逃げ出してしまいます。
それからというものレオンの存在が気になるエマは、彼のことが好きという自身の恋愛感情がわかりませんでした。
しかし、そんなエマが出会ったのは情熱的で男らしい伯爵。
お金持ちで華やかな伯爵からのラブレターによって、今までの鬱憤と孤独を感じていたエマは、伯爵に体を許してしまいます。
伯爵との情事によって、心も満たされたエマはシャルルの前でも明るくなっていきます。
愛を知らないエマが、目に見える愛のカタチ(ラブレター)と誰かと肌を重ねることで心が満たされ、孤独を感じなくなったことで伯爵を失ったのちに、レオンとの愛欲に溺れてしまったように思えます。
エマ役:ミア・ワシコウスカ
本作で、不倫に溺れてしまうエマ・ボヴァリー役を演じたのは、ミア・ワシコウスカです。
色白で可憐なイメージのエマは2004年に女優活動をスタート。
2006年に公開された映画『Suburban Mayhem』に出演しオーストラリア映画協会賞新人女優賞にノミネートされました。
そんなエマが注目されるきっかけとなった作品は、2010年に公開されたティム・バートン監督の映画『アリス・イン・ワンダーランド』。
主演のアリスを演じたエマが女王との戦いに挑む勇敢な姿が印象的ですよね。
一方で映画『永遠の僕たち』では、余命3ヶ月の少女アナベル役を演じました。
そんな彼女が本作では、本能のままに男性と情事に及ぶ大胆な姿にも挑戦しています。
●ミア・ワシコウスカ(Mia Wasikowska)
誕生日:1989年10月14日生まれ
星座:てんびん座
身長:163cm
出身:オーストラリア・キャンベラ
▶おすすめの代表作品
レオン役:エズラ・ミラー
エマに一目惚れするレオン・デュピュイ役を演じたのは、エズラ・ミラーです。
エズラは2008年、映画『アフタースクール』の主演で俳優としてのキャリアをスタート。
2011年に公開された映画『少年は残酷な弓を射る』では、母親の愛を拒絶し続けていた少年ケヴィン役を演じ、2011年のカンヌ国際映画祭では絶大な賛辞を集めました。
また、2016年に公開された映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』でクリーデンス・ベアボーンを演じ、続くシリーズでは同役を演じています。
美しい顔立ちと180cmという高身長のエズラ。
そんな彼が本作では王子様のようなビジュアルでエマに告白する姿に心奪われてしまいます。
●エズラ・ミラー(Ezra Miller)
誕生日:1992年9月30日生まれ
星座:てんびん座
身長:180cm
出身:アメリカ・ニュージャージー州
▶おすすめの代表作品
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅(作品情報)
まとめ:何度も映画化された名作
原作は不倫と華やかな世界に溺れた女性の行く末を描いた物語ですが、本作はエマの背景が繊細に描かれているためエマの行動は全て否定的に思えませんでした。
過去に何度も映像化された映画『ボヴァリー夫人』。
1991年公開作ではイザベル・ユペールがエマ役を演じました。
19世紀という時代背景はもちろん、この時代の衣装も見どころ。
エマの切ない行く末にも注目してほしい作品です。
《ライター:sanae》
毎週金曜日は映画館に出没する某新聞社エンタメニュースライター。
子供の頃から観た映画は数知れず、気になった作品はジャンル問わず鑑賞。
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