
アガサ・クリスティといえば、「ミステリーの女王」と呼ばれる推理小説作家。
彼女の小説は人気のミステリー映画として、いくつも映画化されてきました。
最近では、数年前に『オリエント急行殺人事件』が公開され、ケネス・ブラナー演じる名探偵エルキュール・ポワロが見事、解決してくれました。
あの結末には、誰もが驚きを隠せません。
さて、ポアロが次に行き着いた先は、エジプト・ナイル。
そこでまたまた出くわす殺人事件、最新作品『ナイル殺人事件』(原作:『Death on the Nile』)から紹介しましょう。
【日本公開:延期中⇐12月18日(金))
最新作『ナイル殺人事件』は、逃げ場のない遊覧船

ポワロが休暇を過ごす予定だったエジプト。
そこで遭遇したのは、ナイル川に新婚旅行にきていた美貌のリネット・リッジウェイ(ガル・ガドット)とその夫サイモン(アーミー・ハマー)。
(『オリエント急行殺人事件』のキャストも豪華でしたが、今回もいきなり「ワンダーウーマン」の主役ガル・ガドットや『ビリーブ 未来への大逆転』のアーミー・ハマーが登場します!)
ポワロが聞いたのは、リネットは夫の元婚約者であるジャクリーン(エマ・マッキー)から、執拗に付きまとわれているとのこと。
3人の間になにか深い事情がありそうだと感じるのですが、そうこうしているうちに乗り合わせた遊覧船内で「お約束の殺人」が勃発します。
殺されたのは、相談者のリネットでした。
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感想(10件) |
参考記事:ガル・ガドット『ワンダーウーマン1984』(続編)の日本公開決まる、ヴィラン「チーター」役キャストを紹介!』
ポワロに試練、再び起こる密室殺人事件
リネットが殺されたとなると、一番最初に疑われるのはジャクリーン。
婚約までしていた夫を横取りされたとしてリネットに怨念を持ち、二人の新婚旅行先までついてきたのですから動機は十分です。
しかし、ジャクリーンのアリバイを証明する人物が現れ、事件はさっそく難しい局面に入ります。
ただ、『オリエント急行殺人事件』がそうであったように、今回の殺人事件も、ナイル川に浮かぶ遊覧船内という密室殺人。
再び、ポワロの推理が動き出します。
どんな推理で、どんな決着に導くのか楽しみです♪
『オリエント急行殺人事件』は、豪雪に埋まった列車内



ところで、ポワロが先に手掛けた難事件の代表である『オリエント急行殺人事件』はどんな事件だったのでしょう?
20世紀半ばの、トルコ・イスタンブール発フランス・カレー行きの長距離列車「オリエント急行」が舞台です。
途中から豪雪となり、立ち往生せざるを得なかった車中で起こった密室殺人事件。
乗客は、ポワロと乗務員を含めて16人。
列車の運行会社の依頼を受け、警察に引き渡すまで私立探偵ポワロが捜査を進めることになります。
殺されたのは、富豪の男でいかにも殺されてしかるべき過去を持つ男でした。
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オリエント急行殺人事件 (講談社青い鳥文庫) [ アガサ・クリスティー ] 感想(3件) |
国籍、職業、年齢がバラバラな乗客たち
ポワロは、真犯人に辿り着くために、乗客一人ひとりと面談を行います。
すると、犯行が行われた時間にそれぞれがアリバイを持ち、しかも証明する人がいるという奇妙な結果に辿り着きます。
お互いが、お互いをかばい合っている?
いや、偶然に乗り合わせたはずの、国籍も職業も年齢も何の共通点も持たない乗客たちにそんなことができるのだろうか?
しかし、一方でポワロが感じ取ったのは、全員が怪しいという矛盾でした。
見どころは、個性豊かな乗客たちのキャスト陣
ミステリー映画の楽しみ方は、もちろん真犯人を見つける謎解きです。
ところが、ポワロをして全員が怪しいと疑わさせるベテランキャスト陣と演技が凄かった!
主なキャストと、代表作を紹介しておきましょう。
- ドラゴミロフ公爵夫人:ジュディ・デンチ(『007シリーズ』など)
- そのメイド:オリヴィア・コールマン(『女王陛下のお気に入り』など)
- 未亡人のハバード夫人: ミシェル・ファイファー(『危険な関係』など)
- 家庭教師デブナム:デイジー・リドリー(『スター・ウォーズ』など)
- 宣教師エストラバドス:ペネロペ・クルス(『ボルベール〈帰郷〉』など)
- ハードマン教授: ウィレム・デフォー(『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』など)
- そして、殺された富豪ラチェット:ジョニー・デップ(『パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズ』
小説を読んで、結末を知っている人たちは、特に名優たちの絶妙の演技を楽しんで下さい。
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感想(2件) |
『ねじれた家』は、クリスティ自身が認めた最高傑作!



アガサ・クリスティが書いた多くの長編小説の中で、自らが最高傑作と評したのが『ねじれた家』(原題:Crooked House)です。
ポワロは登場しませんが、違う語り部が物語を運んでくれます。
殺人が行われた華麗なる一族「レオニデス」家に住む家族の依頼で登場するのが、元外交官のチャールズ・ヘイワード(マックス・アイアンズ)です。
殺されたのは、当主のアリスタイド・レオニデスで、就寝中に何者かによって毒殺されます。
チャールズが同居する家族の聞き取りをすすめていくと、彼らはいかにも「ねじれた」ような人物ばかり。
意外な真犯人!お約束以上のドンデン返し
さて、あらためて「この物語には意外な真犯人が!」と言わなくても、ミステリー作品に意外性はつきもの。
この作品では、想定以上のドンデン返しで期待を裏切りません。
意外性のひとつは、当然ですが真犯人の意外性です。
チャールズに調査を依頼したのは、殺されたレオニデスの孫ソフィア(ステファニー・マティーニ)で、彼の元恋人でした。
多少、過去を引きずりながらも、チャールズはソフィアを含めた家族全員から調査を進めていきます。
まず、浮かび上がってきたのは、レオニデスの再婚の妻ブレンダ(クリスティーナ・ヘンドリックス)でした。
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感想(7件) |
もうひとつの意外性、殺人に至った犯人の動機!
真犯人の意外性の他に、この物語にはもうひとつの意外性がありました。
ミステリーで殺人犯をあぶり出して行く過程は、なぜ殺すに至ったかという動機が重要です。
家族愛のない家庭の大富豪の当主が殺された時、考えるのは財産への執着心ではないでしょうか?
それについては、再婚していた妻、息子たち夫婦、そしてその子供たちも一様に疑わしいところがあったのは確か。
調査を進めるチャールズが、操作に行き詰まり感を覚えたのは、「もしかすると、もっと違う動機があるのでは?」。
映画を観る人の、誰もが驚く二つの意外性!
これぞ、ミステリー!というドンデン返しが仕組まれていますので、最後までたっぷり楽しめます!
- レオニデス家の大伯母イーディス:グレン・クローズ
- 同 次男の妻マグダ・レオニデス:ジリアン・アンダーソンなど
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次男の妻マグダには、ジリアン・アンダーソンが登場。
彼女は、不滅の『X-ファイルシリーズ』の、なんと「スカリー警部」。
酔っぱらってしまっていました(笑)。
まとめ~映画で楽しむミステリー~



ミステリーは、小説のページをハラハラしながらめくっていくという、原作での楽しみ方も確かにあります。
一方、映画での楽しみ方はその役になり切った俳優の絶妙な演技にあります。
真犯人であるかないかは別にして、問い詰められた言葉に動揺し、なんとなく「犯人感」を見せてしまう瞬間を楽しむという方法です。
疑わせるように見せたしぐさは、映画の展開をミステリアスにするためにわざとしたものかもしれません。
鑑賞する人は、惑わされずストーリーをしっかり追いかけましょう。
DVDなど再生可能なものは、ちょっと巻き戻して振り返ると面白いかもしれませんね。
●アガサ・クリスティー(メモ)
誕生日:1890年9月15日~ 1976年1月12日
出身:イギリス
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