
1969年のシャロン・テート事件を背景にした、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が注目されていますが、
この『ヘイトフル・エイト』は、同じクエンティン・タランティーノ監督作品です。
「ワンハリ」は9作目。こちらの『ヘイトフル・エイト』はその前の8作目。
生涯、10作品撮ったら引退すると公言している、そんな彼の作品です。
18禁というだけあって、ちょっとグロいですが、そこは彼らしいと言えば彼らしい映画。
慣れればなんともありません(笑)。むしろ、構成やストーリーに集中して楽しんで下さい。
ヘイトフルな「いまいましい連中」、8人が登場!
タイトルの原題『The Hateful Eight』通り、8人の「いまいましい連中」が次々と登場。
役者は、みんな個性派の名優ばかりでそれだけでも十分楽しめる映画です。
ただ、ヒゲ面やドロドロの衣装なので、なかなか気付きません。
いずれも迫真の演技と迫力には圧倒されます。
時代背景は、アメリカ南北戦争が収束した頃の話。
エイブラハム・リンカーンの登場はありませんが、物語の中では重要な役割。
白人による、黒人の人種差別は依然として残る時代でした。
雪深い「ミニーの家」に集まったのは偶然?

(引用:https://www.facebook.com/thehatefuleightmovie/)
懸賞金のかかった、「お尋ね者」を護送中
豪雪のワイオミング山中を走る一台の駅馬車。
ジョン・ルース(カート・ラッセル)が運ぶのはデイジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)という女(冒頭画像)。
懸賞金のかかった「お尋ね者」であるデイジーをつかまえ、
絞首刑にするために、遠く離れた町レッドロックまで運んでいるところから始まるこの映画。
イメージは西部劇そのもの、といったところです。
その途中で、ルースは2人の男を拾います。
1人は、マーキス・ウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン)。
本作の主人公、黒人の賞金稼ぎで、元北軍騎兵隊少佐です。
もう1人は、クリス・マニックス(ウォルトン・ゴギンズ)。自称、レッドロックの新任保安官。
いずれも胡散臭そうだったが猛吹雪だったこともあり、渋々、同乗させることに。
素性を語る彼らの、ウソとウソ?



二人とも自分のことについて適当なことを言っていますが、真偽のほどはわかりません。
本来なら直接、目的地のレッドロックに向かうのですが、あまりの猛吹雪だったため、
途中で「ミニーの家」に立ち寄ることに。
今なら、さしずめ道の駅にある食堂のようなもの。
ルースたちが着いた時、そこには食堂を任されたボブと3人の先客がいて合計8人が集結することになります。
馬車で到着した4人も怪しいのですが、先着の4人もクセのある連中でばかり。
暖を取るため食堂の一か所に集まった彼ら。
コーヒーをすすりながら、自分たちの素性を語り始めます。
南北戦争時代の話に火がつく…
まず、ルースが疑ったのは、捕まえたデイジーを奪い返そうとする仲間がいないかどうか。
聞けば、それぞれもっともらしいことばかり発言。
容赦しないルースに、荒れくれた連中は話をヒートアップさせ、すぐに銃に手をかけようとします。
また、南北戦争直後だったこともあり、彼らの話題は戦争中にあったことを語り始めるのでした。
そこで出てきたのは、黒人を差別する発言。
集まった連中の中で、唯一黒人だったウォーレンに向けられた発言が発端となり、
ついに一触即発の、殺し合いへと発展することに!
雪中の一軒家、密室殺人~クライマックスへ~
この物語を面白くしているのは、集まった8人の連中が過去でつながっていたこと。
そして、思惑が交錯する中で、すすっていたコーヒーに毒を入れた者がいたらしく、
死亡者が出ます。
偶然集まった連中というストーリーで進んで行くのですが、
そこには誰かが、仕掛けた密室殺人のような筋書きが隠されていたのです。
複雑に絡まり合う思惑と、雪中の一軒家で繰り広げられる惨殺!
(この辺りが、18禁!)
クライマックスからエンディングへと、クエンティン・タランティーノ監督の世界が楽しめます。
まとめと感想
登場人物が多いのと、それぞれの人物の目的や背景、メンバー同士の関係性が複雑なので、
観る前にちょっと整理をしておくといいかもしれません。
あまりネタバレが好きでない人は、2回見るものいいかも。それほど面白い映画です。
(★5つが最高)
雪の中の爽やかさ ☆☆☆☆☆
映画全体のインパクト ★★★★★
もう一度見たい感 ★★★★★
「なんだ、コイツラは!」 ★★★★★
構成とストーリーの満足感 ★★★★★
最後に、インパクトのあるオープニング映像をお楽しみ下さい。