官能小説の名作をなぞった『ボヴァリー夫人とパン屋』、妄想のゆくえは?

ボヴァリー夫人とパン屋,ジェマ・アータートン,官能小説
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『ボヴァリー夫人』と聞けば、誰もが思い出すのは、フランスの小説家ギュスターヴ・フローベール原作「ボヴァリー夫人」。

19世紀のフランス文学の名作と言われた官能小説で、何度か映画化もされています。

しかし、残念ながら今回紹介する『ボヴァリー夫人とパン屋』はそれとよく似ているのですが、ちょっと事情が違っていました。

今作は、しゃれっ気タップリに「ボヴァリー夫人」をなぞって作られた映画だったのです。

もちろん、一時は風紀紊乱(びんらん)とまで言われたあの官能はそのままでした。

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官能的なイギリス夫人に、ジェマ・アータートン

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「なぞる」とは、どういうことでしょう。

この映画のポイントは、官能的なイギリス夫人、ジェマ・ボヴァリー(ジェマ・アータートン)を追いかける、もう一人の主人公マルタン(ファブリス・ルキーニ)の秘密にあります。

パン屋を営むマルタンは本好きで、なんと彼の愛読書が前述の「ボヴァリー夫人」!

彼は、その官能小説のストーリーを現実に被せて妄想化させるのですが、最後にはとんでもない結末を迎えるという構成なのです。

いわば、ギュスターヴ・フローベール原作のストーリーを拝借し、抒情的かつコミカルに仕上げた面白い映画です。

ノルマンディーの田舎町、美人の引越者

舞台は、フランス・ノルマンディー地方の、緑豊かな田舎町。

そこでパン屋を営む中年男性マルタンの近所に引っ越してきたのは、ボヴァリー夫人とその夫。

紹介されたマルタンは、夫婦の名前が今まさに読んでいた本「ボヴァリー夫人」と同じ名前だったことで気になる存在へと。

しかも、夫人は、色香漂う美人だったのでなおさらです。

マルタンは、ぜひ、自分の店に来てくれるように誘います。

来店したボヴァリー夫人に、喜ぶマルタン

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近所に突然あらわれた美人をいつも遠目に眺めていたマルタン。

そんなある日、憧れのボヴァリー夫人が夫婦一緒に自分のお店に来てくれたのです。

ここぞとばかりに、自慢のパン作りについて蘊蓄(うんちく)を語るマルタン。

彼の話にジッと耳を傾けていたボヴァリー夫人は、聞き終わるとパンを一切れそっと口にします。

このシーンは、映像でありながら、本当にパンの香しさが漂ってきそうですよ。

パン生地と一緒に膨らむ、マルタンの妄想

何度か来店するうちに、すっかり馴染み客となったボヴァリー夫人。

パン作りに興味さえ持つようになります。

一生懸命、パン生地のこね方を教えるマルタンから心臓の鼓動が聞こえてきそうです。

同時に、官能的な妄想が彼の中で膨らんでいきます。

まさに愛読書、「ボヴァリー夫人」をなぞっているマルタンの自分勝手な妄想だったのです。

そして、小さな町のこと、なにかと夫人の行動が目に付きます。

ボヴァリー夫人の、不倫現場を発見

 

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ある日のこと、マルタンはボヴァリー夫人がイケメン青年と密会している現場を見つけてしまいます。

ボヴァリー夫人の旦那がしばらく不在なのが気がかりだった矢先のことです。

これって、今で言えばある意味、ストーカーかもしれませんね。

青年は学生で、長らく留守であった近所の大きな屋敷に受験勉強で戻ってきていたようです。

余計なことと思いつつ、なんとマルタンは不倫の二人に干渉し始めます。

なぜなら、「ボヴァリー夫人」は小説の中で不倫の果てに自殺をすることになっていたので気が気でなかったのです。

落ち着かない日々、さらに元カレの登場

ボヴァリー夫人の不倫現場を見てしまい、ただでさえ落ち着かないマルタン。

ある日、さらに彼を動揺させる出来事を見つけてしまいます。

パンを届けた時に見つけたのは、夫人の家にしつこくやってくる男で元カレのようでした。

そして、とんでもない事件が起こります!

この日も、元カレが夫人の家を訪問すると玄関先にはマルタンの作ったパンがおいてありました。

事件とは、元カレがそれを夫人に渡し、彼女がパンを食べた直後に起こったのです!

まとめ~映画は謎解きミステリーへ~

さて、ここでの映画のネタバレはありません。

最後のエンディングまで、謎解きミステリーを楽しんで下さい。

初めから色気をコミカルなタッチで描いていく今作ですが、後半にかけなにやら夫人の行動が怪しくなります。

気になるのはやはり、マルタンが愛読書と被らせたボヴァリー夫人の生死のこと。

ヒントは、不倫現場で「男と女が愛し合っていた」という目撃証言。

しかし、二人は何かのトラブルがあったために「もみあっていた」としたらどうでしょう?

最後まで楽しませてくれる、なかなか面白い映画ですよ!

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