黒人差別の歴史がわかる、おすすめ映画3選。過去を生かせない人種差別

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『ドリーム』https://www.facebook.com/HiddenFigures

最近の、白人警官による黒人暴行死事件は世界中に大きな波紋を広げています。

ニュースや動画からいろいろな情報を得て、アメリカには一向に解決されない黒人差別問題があることを知る人がたくさんいます。

そんな中、実は黒人差別がテーマとなった映画がたくさんあるのをご存じでしょうか。

黒人差別についての実話や事件をヒントに映画化して、差別が大きな問題であることを世界に訴えようとしているのです。

ここで紹介するのは、そんな黒人差別の歴史や問題点を理解するのに格好のおすすめ映画です。

簡単な背景やあらすじを紹介しますので、ぜひ、一度ご覧ください。

映画を観ると、差別問題への見方が必ず変わりますよ。

《今回紹介する、「黒人差別」がテーマのおすすめ映画》

    1. 『ドリーム』
    2. 『グリーンブック』
    3. 『デトロイト』

1.原題: Hidden Figures

『ドリーム』、宇宙開発を支えた黒人女性

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『ドリーム』https://www.facebook.com/HiddenFigures

映画『ドリーム』は、文字通り夢のある邦題となっています。

実際、ストーリーは宇宙開発の夢を追いかけた人たちの実話物語です。

しかし、原題は「Hidden Figures」というなんとも意味深なタイトルが付けられています。

意味は、「隠れた人たち」。別の意味では、「隠れた数字」。

実は、前者の「隠れた人たち」が、今記事のテーマ「黒人差別」を指しているのです。

「マーキュリー計画」、求められた数学的才能

半世紀前の1961年といえば、アメリカではまだまだまだ差別と偏見の残る時代。

その中で、宇宙開発をすすめる当時のNASA(米航空宇宙局)で働き、多大な貢献をした黒人女性たちがこの映画の主人公です。

当時のNASAがすすめていたのは、「マーキュリー計画」

アメリカはライバルの旧ソ連に先駆け、人間を乗せた宇宙船で地球を周遊させようと躍起でした。

コンピューターのなかった当時、実現に絶対必要なのは高度な計算頭脳をもつ数学者。

そんな中、子供の頃から天才的な数学脳をもっていたキャサリン・ジョンソンタラジ・P・ヘンソンに白羽の矢が当たります。

ドリーム [ タラジ・P.ヘンソン ]

感想(5件)

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旧態然とした、差別のある職場環境

しかし、アメリカの崇高な国策とは別に、あのNASAでさえ、キャサリンが着任した職場は信じられないような黒人差別があったのです。

いわゆる白人と黒人との分離政策です。

トイレから使用する備品まで、黒人・白人専用と分けられていたのです。

ほとんどが白人の職場で、半ばいじめに近い扱いを受けながらも忠実に仕事をこなすキャサリンに涙が出ます。

しかし、ある時転機が訪れます。

(少しネタバレあり)

そんな環境にありながらも、キャサリンの高い能力をしっかり見極めた白人があらわれたのです。

ひとりは職場の分離政策を廃止し、キャサリンに仕事優先の環境を作ってあげた上司アル・ハリソン( ケヴィン・コスナー)

もうひとりは、キャサリンの計算を信頼し実際の宇宙船に身を託すことになる飛行士ジョン・グレンでした。

ジョン・グレンが、アメリカ初の軌道周回飛行を行った人物となる陰に、「Hidden Figures」キャサリンがいたわけです。

そして、「Hidden Figures」のもうひとつの意味、「隠れた数字」はキャサリンの新たな数学的発見が計画を成功に導いたことを示しているのです。

キャサリンはじめ、職場の他の黒人たちへの差別が陰湿だっただけに、最後のエンディングにこころが洗われる素晴らしい映画です。

▶タラジ・P・ヘンソン出演作品一覧

▶ケビン・コスナー出演作品一覧

2.原題:Green Book

『グリーンブック』、大反響のアカデミー賞作品

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https://www.facebook.com/Greenbookmovie

次に紹介する『グリーンブック』も、年代的な背景は『ドリーム』とほぼ一緒です。

今作は、ガサツな運転手が、紳士然とした黒人ピアニストを乗せ米中西部のコンサートに同行する話です。

国民の差別状態は『ドリーム』とまったく同じですが、ツアーで出掛けた中西部は特に差別が顕著でした。

運転手トニー(ヴィゴ・モーテンセン)は、喧嘩っ早い性格で用心棒を首になり渋々運転手に。

ある時、黒人ピアニストのドン(マハーシャラ・アリ)から8週間のツアー運転手の依頼を受けるのですがあまり乗り気がしません。

依頼主が黒人であることより、トニー的は「スマしたインテリ野郎」がちょっと気にくわない様子。

しかし、仕事が高給なのと期限付きなこともあり仕事を引き受けることにします。

▶ヴィゴ・モーテンセン出演作品一覧

▶マハーシャラ・アリ出演作品一覧 

性格の異なる二人の、コンサートツアー

とにかく、性格が正反対の二人が8週間という長期にわたってのツアー同行。

まずは、コメディ感覚で旅の車内で行き違う二人の会話を楽しんで下さい。

さて映画の本題は、コンサート会場や行く先々で出会う人たちのよる「黒人差別」です。

トニーが手に持っていたガイドブック名が、映画タイトルとなった「グリーンブック」

なんと黒人専用の宿泊施設や店を掲載したものでした。

予想されていたとはいえ、映画の中であからさまに行われるドンへの差別にイラ立ちを覚えざるを得ません。

コンサートの主催者は、ドンのピアニストとしての実力を認めていればこそ、彼をコンサートに招くのですが会場での待遇は歴然と差別するのです。

白人系の運転手トニーの控室や食事場所は一般席、黒人のドンは黒人専用場所となるのです。

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二人の友情の一方で、顕在化する差別の実態

トニーは、最初は仕方ないと思っていたものの、あまりにもヒドいやり方に、主催者に次第に抗議するようになるのです。

実は、トニーは白人系とはいえイタリア系で、かつて「イタ公」と差別された経験を持つのです。

一旦、怒りに火が点くと手が出そうになるトニー。

慣れているかのようにじっと堪え、「ツアー中は喧嘩はしないこと」という約束を持ち出しトニーを鎮めるドン。

旅の車中ではささいなことに言い合っていた二人ですが、お互いに「本当は、いいヤツ」という意識が芽生えだしてくるのです。

(少しネタバレあり)

さて、長期間にわたるツアーで二人は本当にいろんなことに遭遇します。

少しハメをはずしたドンが、黒人であるがゆえに暴力事件に巻き込まれることも。

しかし、暴力を戒め二人はじっとこらえて、ひたすら「クリスマスまでには戻る」という約束でツアーを続けます。

冒頭の画像は、すっかり仲良くなった二人。

トニーは長らく留守にしている妻に手紙を書くのですが、手紙なんて書いたことにないトニーにドンが文章の手ほどきをする場面です。

二人の友情が深まれば深まるほど、半世紀前とはいえ歴然とあった差別への憎悪が沸き上がる映画なのです。

3.原題:Detroit

『デトロイト』、白人警察の暴挙を描く

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引用:https://www.facebook.com/DetroitMovie/

前述の二つの映画は、黒人差別への警鐘を深く静かに訴えています。

ある意味、映画の娯楽性に頼りながら楽しく見てハッピーエンドを迎えることでは鑑賞しやすい映画といえます。

しかし、最後に紹介する『デトロイト』はまったく趣が異なります。

時代は、これまた同年代の1967年です。

この年に起こった「デトロイト暴動」に端を発した、「アルジェ・モーテル事件」がモデルとなっています。

米デトロイト市内で違法営業を行う酒場を警察が摘発したことに反発し、で集まった黒人が暴徒化。

数日続いた騒乱で、死者40数名を出す惨事となったのが「デトロイト暴動」です。

背景には、人種差別の禁じた公民権法の施行があったのも事実。

悪ふざけが、最悪の事態を招く

モーテルの「アルジェ」は同じ暴動の中心から少し離れていましたが、ここに数名の黒人と白人が集まり遊んでいたのです。

市中の暴動により多くの警察や州兵が周囲の治安に神経をとがらせる中、事件が起きます。

モーテル周辺が騒がしい様子を窓から覗き見た黒人のひとりが、悪ふざけで「スターターガン」を発射。

と言っても、競技でスタートを知らせるピストルにもちろん実弾はありません。

しかし、当時の暴動で窓から狙撃する者が現れるなど、過敏になっていた矢先の発砲音に治安部隊が反応。

なんと、窓をめがけて一斉射撃が行ったのち、モーテルに突入したのです。

常軌を逸した、警官の取り調べ方法

驚いたのは中にいた悪気のない黒人たち。

逃げ出すひとりを背後より射殺した白人警官フィリップ・クラウス(ウィル・ポールター)は、続いて残り数名を壁に張り付かせ尋問。

ピストルの在処や、集まった目的などを聞き出そうとするのですがそれは正常な取り調べとはほど遠いやり方だったのです。

中には、たまたまモーテルで合流したミュージシャンや白人女性もいて、それぞれが辻褄の合う説明などできるわけありません。

また、肝心のスターターガンも見つかりません。

もともと背後射殺の前歴を持っていた野望なクラウス警官はますますヒートアップ。

明らかに黒人を差別するひどいやり方に、映画とはいえ恐ろしい取り調べが延々と続くのでした。

(少しネタバレあり)

暴動取り締まりという名目で行われいく常軌を逸した尋問=拷問は、最終的に死傷者を出したというのがこの事件です。

途中、このモーテルの黒人管理人メルヴィン(ジョン・ボイエガ)が異常な状況に気付き、見かねて制止に入りますが容赦しません。

それどころか、メルヴィン管理人は共謀罪に仕立て上げられてしまうのです。

映画では、エンディングともいうべきシーンで関わった警察官たちの裁判状況が流れます。

主導した白人警官には、極刑以外ありえないという映画的結末を期待するのですが、歴史的事実は違っていました。

完全に期待を裏切られる判決でこの映画は終わります。

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まとめ~半世紀たって、今、終わらないこと~

さて、3本の映画の年代は共通して1960年代です。

実は、この60年代はアメリカでは黒人差別問題がひとつのエポックとなる年代なのです。

人間の平等を訴える公民権運動が広まり、ついに1964年には人種差別を禁止する公民権法が施行されるという年代なのです。

紹介した映画は残念ながら「勝ち取った平等を誇る」ものではありません。

映画の背景は半世紀前としても、映画自体の公開は3本ともここ数年。

つまり、法律の制定とは別に、半世紀たっても依然としてなくならない差別実態を訴えたものに他なりません。

そんな中で起こったミネソタ州の白人警官による「黒人男性暴行死」事件。

ぜひ、映画をご覧になって「どこが変わらないの?」と問いかけてみてはいかがでしょうか。

参考記事:米黒人暴行死!実態を暴いた映画『デトロイト』、今も続く人種差別の構図!

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