筒抜けの「個人情報」を訴えた人物とは?
個人情報保護の重要性を叫べば叫ぶほど、比例するように個人情報は筒抜けになっている…。
皮肉な言い方をすると、個人情報保護をそんなに声高に叫んでも、現実は信じて登録したビッグデータを喜ばせているだけ。
そんな危うい時代を見透かしたような映画が『スノーデン』。
もう、ほとんどドキュメンタリー映画といっても過言ではありません。
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/SnowdenTheMovie)
国家機密の情報漏洩で、追われ続ける「容疑者」
今作は、NSA(国家安全保障局)職員だった「エドワード・スノーデン」という青年が、アメリカの機密プログラム情報を漏洩したという事件を扱っています。
いわゆる内部告発で、映画には本人も登場し、このプログラムには国家による違法な個人情報収集があると主張。
思い悩んだ挙句、実態をマスコミにリークするに至った顛末が描かれています。
アメリカは、現実の彼を即座に機密情報漏洩罪で訴追するのですが、(多少の紆余曲折があって)現在、彼は今もロシアに亡命中です。
アメリカとロシアの綱引きがあったものの膠着状態が続き、しばらく話題にならなかったこの問題。
時折、「エドワード・スノーデン」の名前がマスコミに顔を出すこともあります。
Instagramで伝えられる、幸せな家庭生活
ひとつは、アメリカ大統領の政権移行に伴い、トランプ大統領退任時に「恩赦」対象の噂が出ていました。
しかし、これは消滅したようです。
もう一点は、ロシアに一緒に亡命して暮らす妻リンゼイ・ミルズさんとの間に子どもが生まれたという情報です。
リンゼイ・ミルズさんは、「self-portrait artist 」という肩書で定期的にInstagramに画像を掲載。
2020年12月25日には、「the greatest gift of all is the love we share.」というメッセージとともに、赤ちゃん誕生を二人で喜び合う画像を発信しています。
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そんな幸せの絶頂を伝えるInstagram画像の一方で、二人はロシア国籍を取得するのではないかという話と、スノーデンが「いずれは両親の暮らすアメリカに戻りたい」という話が聞こえてきます。
参考:「エドワード・スノーデン容疑者、ロシア国籍取得を申請」(米CNN2020.11.3)
事の成り行きは見守るしかありませんが、そもそもスノーデンはCIAにも籍を置いたことのある人間。
一体、彼はなにをしたかったのでしょうか。
その顛末を明らかにしてくれるのがこの映画です。
機密事項を扱う、国家安全保障局のエリート職員
時代が少し前なので、事件の記憶も薄らいでいるかもしれませんね。
元CIAの職員であったスノーデン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、NSAでも有能さを買われたエリート職員。
国家セキュリティに通じる情報を扱う職員である以上、内部情報は守るべきものであるとの認識は当初から持っていました。
にもかかわらず、内部告発という手段に出たのは大きな理由があったのです。
●ジョセフ・ゴードン=レヴィット(Joseph Gordon-Levitt)
誕生日:1981年2月17日(みずがめ座)
身長:177㎝
出身:アメリカ・カリフォルニア
▶おすすめの代表作品
強化された、9.11テロ後の国家セキュリティ
彼が、NSAで仕事をしていてもっとも気になったのは、今(も昔も)一番デリケートな個人情報。
その情報が、政府関係者にいとも簡単に見られてしまうという事実に気付いたのです。
たとえば、日常的に操作するパソコンやスマホへの登録情報、SNSで意見交換した内容。
これが、一部の人とはいえ見たいと思えば見られる「筒抜け状態」だったらどうでしょう?
当時、9.11テロの直後で、国家セキュリティ強化という背景があったの確かです。
しかし、そのために、何の関係もない一般人の行動まで盗聴、盗撮が可能なシステムがあることに疑問を感じてしまったのです。
「まさか!」スパイ映画並みの監視カメラが身近に!
たとえば、パソコンの電源を落としていても、正面に付いているカメラを通して部屋の中を撮影できるシステム!
これって、いったいどうなっているのでしょう?
スパイ映画の罠や仕掛けが、現実となっている実態がそこにあったのです。
しかもそれは、優秀なエンジニアであった彼が、暗躍するテロリストから国を守るために自ら開発したプログラムでした。
正義感の強いスノーデンは、恋人リンゼイ(シェイリーン・ウッドリー)とも相談。
悩んだ末、ついに内部告発を決意するのでした。
●シェイリーン・ウッドリー(Shailene Woodley)
誕生日:1991年11月15日(さそり座)
身長:173㎝
出身:アメリカ・カリフォルニア
▶シェイリーン・ウッドリーの出演映画一覧
▶おすすめの代表作品
国家相手の内部告発、選ばれた英・ガーディアン紙
しかし、告発といっても相手は国家権力。
しかも、NSAという国家機密を扱う巨大組織が相手とあってはそう簡単にはいきません。
彼がもっとも心配したのは、自分が誇大妄想家にされたり、持病のてんかん症状などを原因にされかねないこと。
探したのは、自分の内部告発を正しく受け入れてくれるマスメディア。
結果、彼が選んだのはイギリスのガーディアン紙でした。
映画では、その過程と取材場所となった香港のホテルで秘密裏に会うまでをスリリングに紹介。
大きな見どころとなっています。
スノーデン本人をインタビューした映像
計画通り、ホテルに立てこもるスノーデンと取材スタッフ。
カメラを前にして、ついに、スノーデンはすべてを語り始めます。
映画では、実際にガーディアン紙が本物のスノーデン氏にインタビューした映像が挿入され臨場感が溢れています。
公開された暁には、国家を裏切った犯罪人として葬られるのか。
いや、全世界に事実を訴えた英雄として受け入れられるのか、瀬戸際の緊張感がひしひしと伝わってきます。
さまざまなメディアに、正当性の訴え!
その後、世界の人々はガーディアン紙の大スクープに驚きます。
ニュースソースは、情報そのものを扱うNSA職員本人だったからです。
さまざまなメディアはほぼ好意的に受け入れ、追随する報道や出版物は人権を無視した国家権力の横暴を一斉に非難。
彼の告発をきっかけに、インターネット上にあふれるSNSをはじめとするビッグ・データへの国の関りはもとより、あらゆる通信情報の盗聴・傍受にも警鐘が発せらました。
ロシアでの愛妻との蟄居(?)が続くエドワード・スノーデン。
彼が「英雄」か「犯罪人」か、まだ結論が出ていない中、アメリカのCNNは「容疑者」の肩書を外しません。
参考記事:監視社会に警鐘を鳴らすディストピア映画、プライバシーを切り売りする善人たち
参考記事:ディストピアとは?映画が予見した意味。「監視社会」の恐怖と未来は?
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ドキュメンタリー感 ★★★★★
個人情報の保護感 ☆☆☆☆☆
スノーデンのその後の情報 ★★☆☆☆
self-portrait artistリンゼイ ★★★☆☆
事実は、映画より奇なり! ★★★★★
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