テイラー・ペイジ&ライリー・キーオ主演、映画『Zola ゾラ』異色の世界観より普遍性を強調!

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『Zola ゾラ』左:ライリー・キーオ 右:テイラー・ペイジ

今回紹介する作品は、映画『Zola ゾラ』

アメリカのとある女性が投稿したツイートをもとに物語を構成、映画化したという異色の現代ドラマムービーです。

作品を手掛けたのは黒人女性監督ジャニクサ・ブラヴォー

人気ブランド「miu miu」による女性監督のショートフィルムシリーズ公開企画に抜擢されるなど、現在さまざまなジャンルより注目を集めています。

(冒頭画像:(C)2021 Bird of Paradise. All Rights Reserved)

映画『Zola ゾラ』:作品情報

2015年にアメリカの女性アザイア“ゾラ”キングが、自らの実体験を物語としてTwitterに投稿した<148のツイート>をスタジオA24が映画化した物語。

デトロイトのウェイトレス兼ストリッパーのゾラが偶然出会ったダンサーの女性に誘われ出稼ぎに出かけ、悪夢の時を迎える様を描きます。

全米では1500スクリーンで公開され、サンダンス映画祭でも大喝采を浴びるなど多くの話題を呼びました。

主人公ゾラ役を『ホワイト・ボーイ・リック』『マ・レイニーのブラックボトム』(NETFLIX)などのテイラー・ペイジが務めました。

ゾラの相棒となるダンサー、ステファニ役には、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『アンダー・ザ・シルバーレイク』などのライリー・キーオ

男性陣には、ニコラス・ブラウン、アリエル・スタッチェル、コールマン・ドミンゴら個性派俳優が集い脇を固めています。

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(C)2021 Bird of Paradise. All Rights Reserved 
映画タイトルZola ゾラ
原題Zola
監督ジャニクザ・ブラヴォー
音楽ミカ・レビ
出演テイラー・ペイジ、ライリー・キーオ、ニコラス・ブラウン、アリエル・スタッチェル、コールマン・ドミンゴ他
公開日2016年8月26日(金)

■公式サイト/https://transformer.co.jp/m/zola/

■2021 /アメリカ/カラー/ビスタ/5.1ch/86分/字幕翻訳:石田泰子/R18+

映画『Zola ゾラ』:あらすじ

左:ステファニ(ライリー・キーオ)右:ゾラ(テイラー・ペイジ)(C)2021 Bird of Paradise. All Rights Reserved

とあるレストランでウェイトレスとして働く女性ゾラ(テイラー・ペイジ)

彼女には、ストリッパーとしてステージでパフォーマンスを繰り広げているという別の顔がありました。

ある日、そのレストランに客として一人の男性とともにやってきたステファニ(ライリー・キーオ)

ゾラに興味を持ち、「ダンスができる」という共通点があることを知って意気投合します。

その場で連絡先を交換した二人。

翌日、ゾラのもとにステファニより「ダンスの仕事がある」と旅に誘われます。

ゾラは急な話に困惑しますが、思い切ってその話に飛びつくことを決心。

それが彼女にとって最悪の事態となることも知らずに…

「ストリップ」という非現実性から問う「普遍性」

(C)2021 Bird of Paradise. All Rights Reserved

ストリップダンサーのイメージは、その言葉からくる印象としてはどうしても俗物、エロティックなものと敬遠されがち。

しかし、少し踏み込んでみるとまた国ごとの印象が違って興味深いところがあります。

例えば日本、同じくストリップダンサーの姿を描いた作品としては、2022年に公開された邦画『彼女は夢で踊る』

この作品では、美しくも切ないストリップダンサーたちの核心に近い姿を描いており、「ストリップ」という協業に対してどこか俗っぽい雰囲気を払拭するようなイメージが垣間見られます。

日本的印象とは異なる、アメリカ「ストリップ」

一方、アメリカで「ストリップ」というと映画などで描かれるのは、どこかの贅沢なバーに併設された、まさに男性のための俗っぽいステージの印象。

その中で、ある意味アスリート的なジャンルであるポールダンスなどと絡めて、どこか俗っぽさを残すものであれちょっと複雑なステータスにある印象です。

むしろ逆にポールダンスを志すからこそ、「単なる風俗的なイメージのものではない」とプライドも高くその職に携わっている人も。

先述の日本的な印象とは違ったものであることは、意識すべきであるといえるでしょう。

(C)2021 Bird of Paradise. All Rights Reserved

そんな「ストリップ」というイメージを前提に本作を見ると、自身のステータスというものに対する意識としてさまざまなことを想起させられます。

主人公ゾラは、レストランで働きながらストリップダンサーとして働く女性。

しかしあくまで「ステージで踊る」ということにこだわりを持ち、

「裸になるからと勘違いしないでほしい、あくまで体は売らないから」

と、ある意味高いプライドを持って毎日を過ごす人物であります。

遠い場所と見られがちな世界から展開していくが…

そんな彼女が悪夢の時に巻き込まれていくわけですが、それでも彼女はかたくなに自身の信念を通していきます。

物語の展開としては病的な暗い結末に向けて進んでいくわけですが、その彼女のストリッパーというステータスは、社会的な認識と自身の持つ信念との間のギャップのなかで揺らいでいます。

それだけに物語の側面の一つからは、その二つの面に挟まれながらも戦う一人の人間の姿が見えてくることでしょう。

本作は「ストリップ」という、どこか普通の人からすれば遠い場所と見られがちな世界から展開していく物語。

しかし反面、意外に普遍的な生活、意識の中に垣間見られる日常、そして葛藤の一面と同調するものであるともいえます。

重要なポイントといえる、サブヒロインの位置づけ

(C)2021 Bird of Paradise. All Rights Reserved

主人公ゾラを演じたテイラー・ペイジは、どちらかというと全編通して「意志の強い女性」を演じた印象であり、どの表情も

「彼女は自身を譲らない、変わらない部分をもった人間である」

ことを感じさせます。

一方でライリー・キーオが演じるステファニという女性は全く正反対。

力関係を含めあらゆる意味で「弱い人間」を演じています。

それだけに演技としてはかなりハードなシーンも多く、役柄として「弱い人間」のわりにハードで、キーオは体当たりで演技に向き合っています。

ライリー・キーオならでは、「ステファニ」の核心を

このあたりは、まさに『マッドマックス 怒りのデス・ロード』出演あたりから伺えます。

アクション、サスペンス、ホラーなど体当たりで役に向かう必要のある作品に続けて出演しているキーオならでは。

なお、キーオは自身が映画監督としても活躍。

第75回カンヌ映画祭では、「ある視点部門」にてデビュー作『WAR PONY(原題)』が新人監督賞「カメラ・ドール」を受賞。

製作側としても高い評価を受けており、ハードな演技を「大変だった」で終わらせない、ステファニという女性の核心を描いた演技を見せています。

ゾラ,ライリー・キーオ
https://twitter.com/Zola_movie/

●ライリー・キーオ(Riley Keough)

誕生日:1989年5月29日生まれ

星座:ふたご座

身長:170cm

出身:アメリカ・カリフォルニア州

▶ライリー・キーオの出演映画一覧

▶おすすめの代表作品


マッドマックス 怒りのデス・ロード(予告編)

※アクション満載!誰もがまさに体当たり演技の結晶。


ハウス・ジャック・ビルト(予告編)

※ラース・フォン・トリアーの問題作!ショッキングなサスペンス風味が光ります。

ダークな雰囲気をよりダークに見せる「ポップな表現」

(C)2021 Bird of Paradise. All Rights Reserved

ドギツく、毒々しく、そして時に鮮やかなストリップダンスのステージ。

本作ではこのイメージに、ツイッターなどSNS的な印象を絡めた映像手法をベースとして物語を描いています。

具体的には、実写のみで構成せず要所で使用されるプレゼンテーション的なコメントやデザインの使用部分。

単に実写映像のみの構成であれば、いわゆる「ネット社会の闇」のような社会問題を取り上げた、シリアスで暗い雰囲気のものとなったことでしょう。

このあたりはある意味「ツイートから描かれた物語」を意識した画作り、映像構成とも見られる部分であり、今の時代における映像だからこそ作られた作品といえます。

テイラー・ペイジ,ゾラ
https://twitter.com/Zola_movie/

ジャニクサ・ブラヴォー監督の、光る起用効果

一方で「ネット社会の闇」的なテーマをこのような表現としたことで、映像からダイレクトに受ける印象とは裏腹にかえってその問題をおぞましく、恐ろしいものと感じられるところもあります。

その観点からはまさに、

「今の時代だからこそ強く訴える力を持った作品である」

といえ、新進気鋭の映像監督として注目されるジャニクサ・ブラヴォーの起用効果が強く光っているといえるでしょう。

《ライター:黒野でみを》 クリックで担当記事一覧へ→

黒野でみを,プロフィール40歳で会社員からライターに転身、50歳で東京より実家の広島に戻ってきた、マルチジャンルに挑戦し続ける「戦う」執筆家。「数字」「ランク付け」といった形式評価より、さまざまな角度から「よさ」「面白さ」を見つめ、追究したいと思います。

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