2.Herself/邦題『サンドラの小さな家』
2020年アイルランド・イギリス合作のamazonオリジナル映画です。
監督は『マンマ・ミーア』『マーガレット・サッチャー鉄の女の涙』を手がけたフィリダ・ロイドで、脚本には、女友達が3人の子供を連れてホームレスになった話を聞いた主演サンドラ役のクレア・ダンも携わっています。
『サンドラの小さな家』:キャストとあらすじをご紹介
- サンドラ役/クレア・ダン
- ゲイリー役/イアン・ロイド・アンダーソン
- ペギー役/ハリエット・ウォーカー
- モリ―役/モリ―・マッキャン
- エマ役/ルビー・ローズ・オハラ
- エイド役/コンリース・ヒル
サンドラ(クレア・ダン)は二人の娘モリ―とエマと楽しく遊んでいた。
夫ゲイリー(イアン・アンド・アンダーソン)が帰ってきて、サンドラと話があるので二人の娘に外で遊ぶようにいう。
サンドラは、娘エマに「ブラック・ウィドウ」と耳打ちした。それはDVを受けていると第三者に助けを求める暗号だった。
エマが助けを求め必死に走っている間、家の中ではサンドラがゲイリーに殴る蹴るの酷い暴力を受けていた。
「もう無理。」
サンドラは2人の娘を連れて家を出て、ゲイリーには接近禁止令が出た。
ゲイリーは娘たちの面会権を要求し、サンドラに復縁を迫るが、彼女にその気はさらさら無かった。
安いホテルに滞在しているサンドラだったが、子供たちのためにはきちんとした家を探さねばならない。
公営住宅に応募し、長い順番待ちをしやっと斡旋された住居は、”ごみ箱の方がマシ”なほどの劣悪な環境だった。
サンドラはエマが学校で覚えた物語をヒントに、自分で家を建てようと思いつく。
サンドラは図書館に通い、3万5000ユーロで自分で家を建てる方法を見つけた。
役場に交渉しにいくが、早くも土地探しでつまづいてしまう。
しかし家政婦の仕事先の雇い主ペギーの好意で、裏庭の土地を分割払いで譲ってもらえることに。
建築に関して全くの素人のサンドラは、善意あふれる周囲の人々に助けてもらいながら、自ら小さな家を自ら建てていくのだが…
見どころ1.壮絶なDVを受けるサンドラ
映画は、アイルランドのダブリンが舞台。
冒頭から、夫ゲイリーが帰宅した途端、娘と過ごしていた和やかな雰囲気はサッと消え去り、嵐の前の静けさのような緊張感が漂います。
主演のクレア・ダンの左目の下のアザは生まれつきのもので、このアザは、夫から受け続けた暴力のシンボルマークにも見えました。
クレア・ダンは「アザのせいで役者にはなれないと言われ続けていたが、今作品でこのアザを物語に織り込んで自分自身をうまく表現できたと思う。」とインタビューで答えています。
見どころ2.自分で家を建てようと思う前向きな気持ち
日本でもDVシェルターという一時的に避難できる場所がありますが、サンドラ親子が避難した場所は安ホテルでした。
アイルランドの公的支援や給付制度に、一石を投じた映画ではないでしょうか。
公営住宅の長い順番待ちをするサンドラ。
娘モリ―の学校で学んだ物語をヒントに、夫の暴力から受けた腕の怪我の後遺症やPTSDに苦しみながらも自分で家を建てよう!とします。
その前向きな気持ちは、人生を立て(建て)直し子供を守ろうとする母の強さが伝わってきます。
見どころ3.元夫のひどくて執拗な嫌がらせ
セルフビルドで小さな家を建てるサンドラに、面会権を侵害していると裁判を起こした夫ゲイリー。
DV夫は、あの手この手を使ってターゲットである妻をを取り戻そうとしますが、取り戻せない事を知ると憎しみから嫌がらせが酷くなります。
サンドラの場合も例外ではありません。
映画のラストは、モリ―とエマの二人の娘たちの姿に、サンドラも視聴者も救われるでしょう。
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