母親との約束を破り寄り道してしまい、自分とお婆さんが狼に襲われてしまった、幼い赤ずきんちゃん。
彼女が大人になり、家族・友人・恋愛関係、そして村の様子はどうなっているのでしょうか?
『トワイライト』のキャサリン・ハードウィックが監督、レオナルド・ディカプリオが映画化提案及び製作に携わっている本作の、あらすじや見どころをご紹介致します。
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/redridinghoodthemovie/)
満月の夜の狼、幼なじみとの結婚を諦める主人公
舞台となる村では、「狼に襲われないように、帰り道では知らない人について行かず、満月の夜は鍵をかけなさい。」と言い伝えられています。
動物の生け贄を捧げてきたため、ここ20年間は犠牲者が出ていなかったものの、ルーシーと言う若い女性が殺され、村人たちが騒然となる所から物語が始まります。
主人公は、亡くなったルーシーの妹ヴァレリー。
よく一緒にイタズラして遊んでいた、幼なじみのピーターと相思相愛でしたが、母親にヘンリーとの婚約を決められ、狼騒ぎも相まって諦めざるを得なくなります。
ヴァレリーの家に村人たちがお悔やみを言いに集まった所で、ルーシーはヘンリーを好きだった事が発覚します。
村の男たちが狼退治に行こうと意気込む中、ヴァレリーは心配でお婆さんを訪ねると、真紅の暖かな布ずきんを着せてもらいます。
ここでも「ヘンリーとの結婚祝いよ」と言われ、「よく知らない人との結婚なんて、売られるような気分」と更に鬱々としてしまいます。
この序章では、花畑や動物など子供向け童話のメルヘンな雰囲気から、狼の再来で寒く暗い冬に一変する村の様子が見どころです。
暗転やカメラワーク等も、観ている私たちまで狼に襲われそうな不安感を演出しています。
男たちが松明を持ち「狼退治だ!」と村を出るシーンは、『美女と野獣』を連想させます。
さて、自身にも身近な人々にも危機が迫るヴァレリー「赤ずきん」を演じるのは、アマンダ・サイフリッド。
『レ・ミゼラブル』コゼット役や、筆者が以前ご紹介した『クーパー家の晩餐会』ルビー役では、どちらかと言えば可憐で可愛らしい印象ですが、本作では大人の赤ずきんを妖艶に演じています。
●アマンダ・サイフリッド(アマンダ・セイフライド)(Amanda Seyfried)
誕生日:1985年12月3日生まれ
星座:いて座
身長:159㎝
出身:アメリカ・ペンシルベニア州
▶おすすめの代表作品
冷酷な神父の一声、疑心暗鬼に陥る村人たち
男たちが「狼の首を狩ったぞ!」と戻ってきた所に現れた、ソロモン神父。
淡々と狼の生態について説明を始め、
「騒ぎを起こしているのは狼ではなく人狼で、殺されると普通の人間に戻る。
私も妻がいたが人狼だったので、娘たちに嘘をつき殺した。
今回の件も、この村人たちの中に人狼がいる。
咬まれる事で感染するため、満月が欠け始めるまで安心はできない」
と言うのです。
人狼の特徴は、孤立していて異常な振る舞い・・・
村人たちは不安や疲弊から、それでも狼は死んだと思い込みながらも、互いを疑い始め、村がよりギスギスした雰囲気になっていきます。
その夜、狼退治の宴の最中に再び狼が現れ、居合わせた友人のロクサーヌと逃げるヴァレリー。
狼は2人を追い詰めるのですが、ヴァレリーにだけ聴こえる人間の言葉で
「お前と私は似た者同士。私の仲間にならなければ、もっと多くの人を殺すぞ。」
と脅迫します。
その後狼は逃亡し、村が荒らされたまま翌朝を迎えます。
ソロモン神父は「人狼の特徴は、孤立していて異常な振る舞いをして、独特の匂いがする。周りを疑い徹底的に探せ。」
と言い渡すのでした。
本格的に人狼探しが始まる前の、最初の山場を迎えた物語中盤。
宴のシーンでは、酔っぱらい踊り狂う村人たちが、赤い月や焚き火に照らされ、大変雰囲気が出ています。
冷淡ながらも人狼探しに躍起なソロモン神父役は、ゲイリー・オールドマンです。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』では、人狼であるルーピン教授の親友の役でしたね(笑)。
●ゲイリー・オールドマン(Gary Oldman)
誕生日:1958年3月21日生まれ
星座:おひつじ座
身長:174㎝
出身:イギリス・イングランド
▶おすすめの代表作品
裏切りのサーカス (予告編:Amazon) (パンフレット:楽天)
※スパイ映画の最高傑作。ゲイリー・オールドマンの演技にシビれます。
犠牲者増加、赤ずきんが下す村を守るための決断
ソロモン神父は残酷にも、ロクサーヌの弟であり知的障がい児のクロードを怪しみ、「世の中のために神命に従い、犠牲を出す事も必要だ」と拷問にかけます。
ロクサーヌは弟の解放と引き換えに魔女の名を教えると、「狼と話ができ、赤い頭巾を被った」ヴァレリーを売るのでした。
村全体から疑いの目で見られ、窮地に立たされたヴァレリーは「狼は私の邪悪な一面を見抜いているのかも。」
と、家族・仲間の死や自身の結婚が思い通りに行かない事に関して、これ迄の自身の言動を回顧します。
恋敵であるピーターとヘンリーは協力しヴァレリーを助け出します。
これ以上犠牲者を出さぬよう、人狼と共に村を出る事を決意するヴァレリーでしたが、村人たちが「ずっと村に居ていいよ」と彼女を守ります。
ソロモン神父は人狼と揉み合い腕を咬まれ、仲間だった兵士にそれまでの冷酷な立ち居振る舞いから愛想をつかされ、そのまま殺されてしまうのでした。
その夜、ヴァレリーはお婆さんの夢を見て心配になり、翌朝訪ねていくとそこに居たのは……
「主人公が時を経て、家系と恋愛で苦悩するミステリー」と言うだけで、ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演『ダーク・シャドウ』を連想してしまいます。
しかし今作「大人版赤ずきん」はコメディ要素は殆どありません。
本格的なホラー映画が苦手な方にはピッタリなハラハラ感かもしれませんね。
木の家や食器、村人の衣装や甲冑など、集落の生活様式を再現した美術はどれも作り込まれており、人狼騒ぎが無ければこんな村で生活してみたい!と思わせる世界観です(笑)。
雪景色に映える赤、魅惑的なダーク・ファンタジー
『赤ずきん』の大筋だけをご紹介しましたが、雰囲気を味わって頂けたでしょうか。
人狼は誰なのか、その事実をヴァレリーはどう受け止め、その後の人生を誰とどこで生きるのか…
皆さんはどう予想しますか?
事件発生で他の隠れていた問題も顕在化し、人間関係が複雑化する様を狭い村を舞台に解りやすく描き、原作をよく知らなくても楽しめる本作。
雪景色に映える、焚き火・満月・赤ずきん等の鮮明な赤が気味悪さを加速させ、お正月モードから目覚めさせてくれるでしょう…。
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